グーグル、主力の検索広告が成長鈍化か 広告主は費用対効果の高いフェイスブックを選ぶ?
米グーグルが先週発表した7〜9月期の決算は、売上高が165億2300万ドルとなり、1年前から20%増加した。
一方純利益は28億1300万ドルで同5%減少。また特別費用を除いた1株利益は6.35ドル。7〜9月期の決算は売上高、1株利益ともにアナリスト予想を下回った。
同社の主力事業である検索広告の収入の伸びを示す指標の1つ、広告単価は下落に歯止めがかかったものの、もう1つの指標であるクリック数は伸びが鈍化した。これにより「金を生み出す機械」と言われてきた同社の広告事業は、成長鈍化が始まったのではないかと見るアナリストもいるという。
クリック数の伸び、17%増にとどまる
7〜9月期の業績を詳しく見ると、傘下のウェブサイトによる売上高が112億5000万ドルで1年前から20%増加した。提携サイトからの売上高は34億3000万ドルで同9%増加。
またクラウドサービスやコンテンツ販売を含むその他の売上高は18億4000万ドルで同50%増加した。
前述のとおりグーグルの主力事業は検索連動広告だが、その広告単価(クリック1回当たりの広告料金)は、1年前から約2%低下、前の四半期と比べてほぼ横ばいだった。この広告単価は、過去4四半期に6〜11%の範囲で前年割れが続いていたが7〜9月期は小幅な落ち込みにとどまった。
これに対し、検索連動広告のクリック数は1年前から17%増となった。このクリック数の1年前に比べた伸び率は、過去4四半期に20%台後半から30%超で推移していたが、この7〜9月期は20%を下回っており、これが市場の失望を買ったと言われている。
費用対効果はフェイスブックが勝る?
米ウォールストリート・ジャーナルによると、その理由は米フェイスブックなど、ほかのネットサービス企業との競争激化。過去1年で主要な広告媒体を、グーグルからフェイスブックに切り替えた企業も少なくないと、同紙は伝えている。
同紙によると、そうした広告主は、グーグルよりもフェイスブックの方がより的を絞った顧客にアプローチできると考えている。
例えば子供向けのネットサービスを手がけるリトル・パスポートは従来その8割の広告をグーグルに、残り2割をフェイスブックに掲載していたが、今年はその比率が逆転した。
また美容関連企業のジュレップでは、これまでグーグルに充てていた大部分の広告支出をフェイスブックに充てるようになった。
フェイスブックでは利用者が美容の話題や写真などを共有しており、性別、年齢、興味などをもとに利用者を絞り込みやすい。結果としてより低コストで顧客を獲得できたと同社の経営者は話しているという。
(JBpress:2014年10月21日号に掲載)