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来日したサッカー北朝鮮代表は本当に謎なのか!?女子代表のキム・グァンミン監督を平壌で直撃!

金明昱スポーツライター
2005年から女子代表指揮官に就任し、数々の大会を制してきたキム・グァンミン監督(写真:Maurizio Borsari/アフロ)

 サッカーの朝鮮民主主義人民共和国代表(以下、北朝鮮代表)が来日する際、必ず言われるのが「謎だ」「不気味だ」というフレーズだ。

 だが、彼らは決して謎でもなんでもない。ただ、圧倒的に情報量が少ないため知らないことが多い。そのため、そういうイメージが常につきまとうのだろう。

 北朝鮮の女子サッカーの成長ぶりは目覚ましく、近年では2016年のU-17W杯の決勝で日本を下し、同年のU-20W杯でも決勝でフランスを下して、1年に2度もW杯を制覇している。

平壌でインタビューに応じてくれたキム監督。現役時代は北朝鮮代表としてプレー。1992年広島アジアカップで、カズやラモスがいた日本代表と対戦(1-1)しゴールを決めた人物だ
平壌でインタビューに応じてくれたキム監督。現役時代は北朝鮮代表としてプレー。1992年広島アジアカップで、カズやラモスがいた日本代表と対戦(1-1)しゴールを決めた人物だ

 今回の東アジアE-1選手権では、W杯を制したメンバーも来日しており、優勝候補の一角に間違いはない。

 そこで11月、北朝鮮の平壌で”名将”と呼ばれる同国女子代表のキム・グァンミン監督に話を聞くことに成功した。

 チームの状況やE-1選手権で対戦する日本、韓国、中国をどのように分析しているのか。さらに同大会での目標などについて聞いた。

――東アジアE-1選手権には、どのような女子メンバーが来日するのでしょうか?

 昨年のU-17W杯を制したときの選手は1人、U-20W杯を制したメンバーは半分以上を占めています。平均年齢は21歳で、A代表としての公式戦出場はほとんどの選手が初めてです。若い選手が多いので勢いはありますが、国際試合の経験が足りないことが懸念材料でしょうか。ただ、選手たちはこれまで培ってきた朝鮮の女子サッカーの伝統を引き継ぎ、今大会でもすべてのチームに勝利する気持ちでいます。

――今回、対戦する日本、韓国、中国をどのように分析していますか?

 まずは中国との初戦がとても大事になります。この試合での結果が、その後の試合を大きく左右するのは言うまでもありません。そこで勝利することが大切です。2試合目は南朝鮮(韓国)と対戦しますが、過去にも何度も試合をしているので、選手の特徴やどのような試合をしてくるのかはよく知っています。日本も我々同様、世代交代を進めているところだと聞いています。

15万人が入るメーデースタジアム(5・1競技場とも呼ぶ)で調整していた女子北朝鮮代表
15万人が入るメーデースタジアム(5・1競技場とも呼ぶ)で調整していた女子北朝鮮代表

――“なでしこジャパン”にはどのような印象をお持ちでしょうか?

 日本は2011年のW杯で初優勝してから、これまで大きく世代交代が進んだことはよく知っていますし、また今もその過程にあると認識しています。現在の日本代表チームも、かつての戦力に劣らない力を持っているのではないかと思います。今回、E-1選手権では最終戦が日本との対戦になりますが、我々が日本のウィークポイントを見つけて、そこをいかに突いていくのかが勝利の鍵を握っていると思います。本来の力を発揮できれば、勝利を手にいれられるでしょう。

――女子代表監督を長らく務めているのでお聞きしますが、日本の高倉麻子監督のことはご存じですか?

 現在の日本代表監督のことは、まだよくわかりません。以前の代表監督だった佐々木(則夫)氏のことは試合で何度も対戦したのでよく知っていますよ。今の日本代表も佐々木氏が築いてきた伝統を引き継ぎ、いいチームを作り上げていると聞いています。

真剣に練習に取り組むなかでも、時折笑顔も見られ、和気あいあいとした雰囲気が印象的だった
真剣に練習に取り組むなかでも、時折笑顔も見られ、和気あいあいとした雰囲気が印象的だった

――女子北朝鮮代表は年代別のW杯で優勝も経験しており、とても力があるチームと認識しています。優れた選手を育てる秘訣があるのでしょうか?

 私は2005年から女子代表監督に就任して、今年で13年目になります。男子と違い、女子の場合は細かい部分で指導法が変わってきますが、基本的には男子と同じトレーニングメニューをこなすようにしています。女子選手は男子選手よりも当然、体力的に劣る部分があるので、最初はついていくだけで精いっぱいです。練習がハードなときは、とても辛いはずです。ただ、それについて来られるようにならないと世界の頂点は見えてきません。これは私が監督なってから一貫して変えていないことです。

――今回大会は優勝を狙っていると思います。自信はありますか?

 もちろん、3戦全勝が目標です。選手たちの士気はすごく高まっていますし、みんなが優勝する気持ちでいます。日本に住んでいる同胞たちや観戦に訪れる多くのサッカーファンにいい試合をお見せしたいです。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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