はじめてのPDCA入門 ――「ハンドスピナー」をイメージしよう!
はじめてのPDCA
目標を達成させるためのツールとして、PDCAという手法があります。PDCAとはPlan(計画)・Do(実行)・Check(検証)・Action(改善)のこと。このサイクルを正しくまわすことで問題が解決したり、目標が達成していきます。ビジネスの現場のみならず、日常の生活にも役立つツールで、ダイエットするにも、資格勉強のためにも使える手法です。
ただ、「PDCAサイクルをまわす」とはいえ、頭でわかっていても、簡単にはできないものです。「PDCAサイクルをまわしていこう」と言いながらも、実際には心がけで終わっているケースが大半なのです。
PDCAサイクルをまわすコツは、ずばり「回転数」を意識すること。どうプランニングするか、どう検証し、改善していくかで頭を悩ませる前に、ハンドスピナーをイメージし、とにかく回転させることです。そしていったん回転したら、そう簡単に止めないことです。一度や二度の回転では、PDCAサイクルの精度があがりません。
PDCAのハードルをいったん下げる
これまで、多くの方に指導した経験から、PDCAサイクルをまわすうえで一番難しいのは「Check(検証)」であることは間違いありません。正しい検証をするためには「数値化スキル」が不可欠だからです。PDCAのどの本を読んでも、「数値化された計画を立てなさい」「数字に基づいた仮説を立ててPDCAサイクルをまわさないと意味がない」と書かれています。実際に、私もコンサルティング先ではそのように指導していますので、正しい見解です。
ただ、そばにプロの指導者がいれば可能かもしれません。が、慣れない初心者がひとりで行うにはハードルが高いのです。このことも、膨大な現場経験からわかっています。誰もが「数値化が必要だ」と知っていても、いざやろうとすると、どう数字に落とし込んで計画を立てたらいいのか、わからなくなるのです。そうすると、PDCAサイクルはまわらなくなります。
思いきって数値化をあきらめる
そこで私がお勧めするのが、最初から精度の高いPDCAをしようとせず回転だけを意識する、というやり方です。そのためには、一番ハードルの高い「数値化」をまずやめてしまいましょう。なら、どのように「Check(検証)」するのか? 「〇」「△」「×」でやってみるのです。
たとえば「今月中に業務を効率化する」というPlan(計画)を立てたとします。プロからすれば、100点満点で10点ぐらいの「Plan(計画)」ですが、初心者ならしかたがありません。やらないよりはまし、と受け止めます。そして実際にDo(実行)してもらいます。そして翌月の初旬、Check(検証)するのです。先月中に業務を効率化する、という計画を立てたが「〇」なのか「△」なのか「×」なのか、検証するのです。
断言しますが、このような曖昧なPlan(計画)で目標が達成するはずがありません。「〇」になることはないのです。なぜなら目標も行動計画も数値化されておらず、感覚的だからです。「△」か「×」になることでしょう。しかし、いったんはこれでいいのです。
「先月中に業務効率化する、という計画を立ててやってきたが、何をもって効率化されたかがわからないな」
このように検証・評価することができます。
「よし、今月はもう少し具体的な行動目標を決めよう。たとえば一週間に2回は定時で退社するとか」
これがAction(改善)になっていきます。どうすれば「一週間に2回は定時で退社できるのか」具体的なアクションはわかりませんが、これでいいのです。とにかく精度が低くてもPDCAサイクルを「一回転」させたことは間違いないからです。
できれば、ここまでやりたい
しかし、これぐらいハードルを下げると「回転」はするでしょうが、PDCAの精度が上がるまでに時間がかかります。1日1回ならともかく、1カ月に1回ぐらいのペースで回転させていると、いつまでたってもゴールに到達しません。
ですから、計画を立てる段階で、どうなれば「〇」なのか「△」なのか「×」なのか、評価の基準も考えておきたいです。たとえば先述した、業務効率化の目標であれば、
「一週間に2回、定時退社するのが目標だから、そのために毎日Todoリストを見返すことができたら〇、二日に1回のペースで見返すようになったら△。途中でやめてしまったら×にしよう」
このようにするのです。こうすることで自然と「数値化」することに慣れてきます。PDCA初心者の方には、数値化の検証をあきらめ「〇」なのか「△」なのか「×」なのかで評価することをお勧めします。まずは慣れることが何より大事です。