主な新興国/米国経済ニュース(8月9日)
ロシア携帯電話ビンペルコム、9月から上場先を米ナスダック市場に鞍替えへ
ロシア携帯電話大手ビンペルコムの親会社、ビンペルコム(本社・アムステルダム)は9月10日からグローバル預託証書(GDR)の上場先をニューヨーク証券取引所(NYCE)から米ナスダック店頭市場(NASDAQ)に鞍替えする。ロシアのプライム通信(電子版)などが7日に伝えた。
米ナスダック店頭市場への移行後も同社の証券コードは「VIP」で変わらない。同社は1996年の米国での初上場以降、これまで約20年間にわたってNYCEで株式売買が行われてきたが、ジョー・ランダーCEO(最高経営責任者)は、米ナスダック店頭市場への移し替えで上場コストの削減や、ハイテク株が集中する同市場でさまざまな株価指数に採用される可能性があり株主にとってメリットが大きくなると指摘している。
また、同社が7日に発表した2013年4‐6月期決算は、純利益が前年比17.4%増の5億7300万ドル(約560億円)となり、アナリスト予想の5億0680万ドル(約490億円)を上回った。売上高は同0.47%減の57億1800万ドル(約5550億円)となったものの、アナリスト予想の57億0200万ドル(約5530億円)を上回った。携帯電話契約者数は5%増の2億1500万人となっている。
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ロシア自動車大手アフトバス、低価格車「ラーダ・グランタ」の欧州輸出を開始
ロシア自動車大手アフトバスは、低価格の新型乗用車「ラーダ・グランタ」の欧州輸出を開始した。今回の輸出先はチェコとドイツの2カ国となっている。ロシアのニュースチャンネルRT(電子版)が7日に伝えた。
今後、アフトバスでは欧州向けに年間で最大5000台を輸出したい考え。ただ、同車との競合車種は価格帯が1万3000ドル(約126万円)の仏自動車大手ルノー傘下のルーマニア自動車大手ダチアの「ローガン」やチェコ自動車大手シュコダの「ファビア」などがあり、欧州の自動車市場も6月の新車販売台数が前年比5.6%減と、1996年以来の最悪の状況となっていることを考えると、ラーダ・グランタの価格はロシア国内では1万ドル(約97万円)と格安とはいえ、この価格では欧州市場で顧客の獲得は難しいと見られている。
このため、アナリストは、アフトバスによる今回の欧州輸出は、ラーダ・グランタに対する国内消費者向けのイメージアップが主な狙いで、直接の経済効果よりもむしろ、政治的な側面が強いと分析している。
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S&P、インドネシア石炭大手ブミ・リソーシズを格下げ―流動性懸念で
米信用格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は5日、インドネシア財閥バクリー・グループ傘下の最大手炭鉱ブミ・リソーシズの長期発行体格付けを「B-」から「CCC」に引き下げた。また、格付け見通しを引き下げ方向で見直す「レーティング・ウォッチ・ネガティブ」のまま据え置いた。
格下げの理由について、石炭価格の低迷で内部キャッシュフローが抑制されて流動性資金が低下し、今後6カ月間に満期が到来する社債のリファイナンス(借り換え)が困難となり、利払い停止や債務の分割払いなどの事態に陥るリスクがあるためとしている。
S&Pのアナリストザヴィア・ジャン氏は、「ブミはもし、資産売却を通じた債務減額や債務の再構築ができなければ資本構造は不安定な状況になる」と述べている。
S&Pはまた、ブミが債務保証している優先債務の格付けも同様に、「B-」から「CCC」に引き下げたほか、ブミのアセアン(東南アジア諸国連合)地域内での長期債務格付けも「axB-」から「axCCC」へ引き下げた。
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独BASF、ベトナムの農薬販売を直販方式に転換-専門家派遣も倍増へ
化学世界最大手の独BASFはベトナムで自社の農薬製品を直接販売する方式に転換する。これは同社の東南アジア地域担当のレオン・バン・ミュルコム取締役が明らかにしたもので、同氏によると、毎年、導入される新製品をベトナムの農家に現在よりも一段と定期的に安定したペースで供給することが可能になるとしている。ベトナム通信(電子版)が7日に伝えた。
BASFはこうした直販式への転換に合わせて、各農家を訪問しながら収穫量を増やす農薬に関する知識の普及にあたる専門家チームの構成人数を今後2年間で現在の30人から2倍増にする方針。また、同社は現在、タイやフィリピン、インドネシアなど世界各国で展開している先端農業モデル事業「Agソリューション・ファーム」をベトナムでも展開することを検討している。
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米司法省、JPモルガン・チェースを不適切なMBS組成・販売で調査開始
米金融大手JPモルガン・チェース<JPM>は7日、同行が2005-2007年にサブプライム住宅ローン(信用度の低い顧客への融資)を裏付けとしてMBS(住宅ローン担保証券)を違法に組成し販売した疑いで、米司法省が刑事と民事の両方での提訴を視野に入れて調査を開始したことを明らかにした。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)などが8日に伝えた。
これより先、米金融大手バンク・オブ・アメリカ<BAC>は1日に米証券取引委員会(SEC)に提出した四半期報告書(FORM 10‐Q)で、米司法省とSEC、ニューヨーク州検察局がバンク・オブ・アメリカを相手取って、民事訴訟を起こす可能性があることを明らかにしていたが、前日の6日に、司法省とSECがノースカロライナ州連邦地裁に対し、バンク・オブ・アメリカが2008年に総額8億5000万ドル(約820億円)相当のジャンボ住宅ローン債権を裏付けとした担保証券を組成し売却した際に、投資リスクを十分に説明せず投資家をだましたとして民事提訴している。
また、JPモルガン・チェースはこうした司法省や証券当局による提訴に起因する損失見込み額を前期(1‐3月)時点の60億ドル(約5820億円)から68億ドル(約6600億円)に引き上げたことを明らかにした。
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米電気自動車テスラ、4‐6月期売上高は15倍増―調整後損益が黒字転換
米電気自動車専業大手テスラ・モーターズ<TSLA>が7日に発表した2013年4‐6月期決算は、売り上げが前年に比べ15倍増となったことや租利益率も前期(1‐3月)の17%から22%に改善で、純損失額が前年同期の1億0560万ドル(約100億円)から3050万ドル(約30億円)と、3分の1以下に縮小した。1株当たり損失額(希薄化後)も1ドルから26セントへと、大幅に縮小した。また、一時的項目を取り除いて前年との比較を可能にした調整後1株当たり損益は前年同期の89セントの赤字から20セントの黒字に転換し、アナリスト予想の19セントの赤字を上回った。
売上高は同社の旗艦モデル「モデルS」の北米市場での販売台数が5150台と、会社予想の4500台強を上回り過去最高を記録したことで、前年比15倍増の4億0510万ドル(390億円)となり、アナリスト予想の3億8690万ドル(約375億円)を大幅に上回った。同社では今期(7‐9月)のモデルSの販売台数は欧州での販売が開始することで、5000台強になると予想しており、通期では全世界で2万1000台の販売は可能だとしている。
同社の株価は7日の引け後に発表された同社の四半期決算の好調な結果を受け、引け後の時間外取引で終値比14.13%高の153.2ドルに急騰している。
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ホンダ、ブラジルに第2工場建設へ―年間生産2倍の24万台
ホンダ<7267.T>のブラジル現地生産法人、ホンダオートモーベイス・ド・ブラジル・リミターダは7日、ブラジル・サンパウロ州イチラピーナに10億レアル(約430億円)を投じて、第2工場を建設し、現地生産規模を現在の年間12万台から2倍に拡大する計画を明らかにした。
新工場は今年末から建設に着手し、2015年からの操業開始を目指す。生産車種は小型車「フィット」の次世代モデルで、年間生産能力は同州スマレにあるホンダの既存工場と同じ12万台となる見通し。従業員数はスマレ工場の約3500人に対し、約2000人となる。ホンダが新工場の建設を決めたのは、1996年に操業を開始したスマレ工場では生産設備の拡大の余地がないため、2年前から新工場の建設を検討してきた。
ホンダは発表文で、「グローバルで需要が高いフィットクラスの小型車を生産する予定で、製造工程のショートプロセス化や塗装工程へ最新技術を投入して環境への取り組みを進めるほか、最適な自動化技術を投入することなどにより、高効率な生産体制を目指す」と述べている。(了)