デジタルラジオは実際どうなの?とある人々の話/ノルウェーでFM放送を廃止
ノルウェーの首都オスロから離れ、西部を移動していた時のことだ。この地域ではすでに国営や大手民間ラジオ局でのFM放送が終了し、デジタルラジオDAB+(以下DAB)が導入されている。
オスロではまだFM放送が続いているため、この地域ではどうなっているのか興味があった。
山の中を走る中、タクシーの運転手に「DABラジオはどうですか?不便なことはありますか?」と聞いてみた。
「氷や雪が出る寒い時期に、フロントガラスを電熱線であたためようとすると、窓の外側に付けているDABアンテナが濡れて、ラジオの音が途切れ始めるよ。ほら、助手席側の窓の外側についているのが最初のDABアンテナ。でも電熱線を使うときは調子が悪いから、運転手席側の窓の内側にも2個目のアンテナをつけた。これならラジオを以前のようにきくことができる。そのくらいかな」。
ノルウェーの電化製品店エルショップの公式HPをみてみると、車用のDABアンテナは現在1個349~399ノルウェークローネ(およそ4894~5595円)だ。DAB放送をきくための、車、別荘、自宅、船などでのラジオ取り換え費用は国民の自己負担となる。
7月14日のAマガジン紙には作家のラルセン氏によるこのような寄稿記事が掲載されていた。タイトルは『DABと過ごす夏』。
それでもノルウェーは、速度を落とすことなく、FM放送全廃へと向かう。
Photo&Text: Asaki Abumi