採用の面接官、実は素人?採用基準を理解できていない選考担当者が大半という調査結果
新卒採用の選考官について、ADKグループによる調査が公表されています。
その調査では「新卒採用選考官を経験した人の6割が自身の会社に必要な人材像について理解できていない」という事が明らかになっています。
参考:新卒採用選考官経験者の大半が「採用基準が曖昧」なまま選考を行っていることが判明!自社にとって、本当に必要な人材を見極められていないことが大きな課題に
インターネットの調査で新卒採用の選考官経験者100名に対する調査ということで母集団はそこまで大きくない調査なのですが、導き出されている結果についてはそこまで違和感がない内容になっています。
「自社に必要な人材像が理解できてないって、それでちゃんとした選考ができるものなの?」
と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
その答えは、「半分はYesであり、半分はNo」です。
まず、このような結果が出ることはある程度は仕方がないことなのです。面接官と言っても採用を仕事にしている専任の担当ばかりではなく、大半は現場の社員です。特に新卒採用の場合、限られた時期に多くの学生を選考する都合上、人事部の人間だけで面接をしていてはとても人員が足りませんし、「現場社員の視点で選考をしたい」という意図もあります。
前述の調査リリースでも、属人的な判断基準で選考が実施されている事は問題視され、それを踏まえADKでは明確な判断基準を複数設けることでより優秀な人材の採用を目指していると明言されています。
そういった基準を設け、面接官向けにトレーニングを行う企業もありますがそこまで徹底できる企業ばかりではありません。
その場合、トレーニングを受けていない面接官はどのようにして選考を実施しているのでしょうか。
【現場社員はどのような視点で選考をしているか?】
「採用基準を理解していないなら、どうやって選考しているのか」と不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん個人差もあるため一概には言えませんが、多いパターンとしては「純粋に自分が一緒に働いてみたいか」「その会社に”いそう”かどうか」という2点です。
ADKの調査でもちょうどその事に言及されており、次点で「コミュニケーション能力が高い学生」を評価している面接官が多いという結果になっています。
明確に採用基準を把握できていないという社員でも「ウチの会社にはこういう人が多い」「こういう人は活躍できている」という感覚は持っている事が多く、言語化して説明できなくても結果的にそこそこ正しい判断をくだせる事は多いものです。
採用基準が曖昧であることを肯定するわけではないのですが、「現場社員は現場の感覚で面接してくれればそれでいい」とある程度割り切っている人事担当もいます。その上で全社的な採用基準をクリアできる人材かどうかは人事や経営層で見ていくという考え方もあるでしょう。
それが良いかどうかという議論もあるのですが、ここで就活生として気にすべきことは「面接官とのコミュニケーションにどのような影響が出るか」という部分です。
【的確な質問を期待してはいけない?】
採用基準を共有できていない企業の多くでは、面接での質問も担当者任せであることが多いものです。
テンプレ質問だけ提示されているか、完全な丸投げ…というパターンが多いのではないでしょうか。
つまり、「質問がうまい面接官ばかりではない」のです。
あなたの隠されたポテンシャルを見抜き、的確に質問ができる面接官など滅多にいないと思ってください。
隠されたポテンシャルは、自分から言わない限り大体の場合は隠れたまま面接終了となります。
このことを前提として、面接官が質問をしやすいよう誘導していくのも良いでしょう。相手が「何を聞いていいかわからない」という雰囲気になっていたら逆に助け舟を出す事も時には必要です。(助け舟だと両者が意識しているかどうかは別として、そのようなコミュニケーションを促す事が重要なのです。)
「どの企業の面接でもうまく適応して通過できる」という学生は往々にしてこの手の対応を自然にやってのけているのです。
面接官と就活生の双方がうまく噛み合わない場合、面接官も何を聞くべきか迷って不思議な質問をしてしまう事があります。
たまに、「就活でこんな質問をされたのですが、どんな意図があるのですか?」と質問されることがありますが、それらの質問に必ず意図があるとは限らないのです。
(もちろん、意図を持って変な質問をする面接官もいらっしゃるかもしれません。)
予想していなかった質問を受けるとそれだけで焦ってしまう方もいるかもしれないのですが、重く考えすぎる必要はないという事を覚えておいてもらえればと思います。
面接官を雲の上の存在と考えて過剰に緊張してしまう方もいらっしゃるのですが、就活生も、面接官も、慣れていない事に緊張するのは人間誰しも同じです。
面接官とうまく噛み合わない時は、「面接を受ける自分も緊張しているが、面接官も実は緊張しているのかも?」「面接慣れしていないのかも?」と考えてみると良いかもしれません。