「SoftBank」契約数が前年同期比で減少、値下げ影響続く
11月4日、ソフトバンクが発表した第2四半期決算では上半期(4〜9月期)の比較で全セグメントの売上高が増加。しかしその中身を見ていくと「携帯値下げ」の影響が続いている実態が浮かび上がってきました。
ソフトバンクは自社の携帯電話ブランドとして「SoftBank」「Y!mobile」「LINEMO」の3つを展開しています。第2四半期(7〜9月期)には、メインブランドであるSoftBankの契約数が前年同期比で減少しました。
契約数の内訳は公表されていないものの、グラフからは33万回線ほど減った可能性が見て取れます。最近5年くらいの決算資料を振り返っても、「前年同期比」で減少したことはなく、かなり異例の事態といえます。
一方、スマホ契約数全体としては2650万件と順調に伸びており、Y!mobileやLINEMOの人気の高さがうかがえます。SoftBankからの移行を含め、Y!mobileが数字を稼ぐ傾向は第1四半期から続いています。
ソフトバンクによると、無制限プランを求めて「Y!mobileからSoftBank」に移行する人も存在するそうですが、それよりも「SoftBankからY!mobile」に移行する人が多いため、こうした結果になっているとのことです。
その背景には2020年末から進む「携帯値下げ」の影響があるとみられます。ahamoや楽天モバイルが安さを競い、家電量販店には料金見直しを促す掲示物が増えています。その結果、価格とサービスのバランスが良いY!mobileが選ばれている印象です。
この傾向はこの先も続くのでしょうか。宮川潤一社長は「リッチコンテンツが増えれば自然と無制限プランの時代はくる。5G SA(スタンドアローン)が整備され、2〜3年という単位で見ればまったく違った料金体系が出てくると想像している」と語っています。
5Gにつながるプランの契約数自体は1000万件を突破。ソフトバンク全体としては法人事業やヤフー・LINE事業が好調、コロナ禍からの反動で端末販売も回復しており、通信料金の減収をカバーできているようです。
気になる情報としては「iPad不足」がありました。半導体不足などの影響でiPadの在庫が不足しているとの声があり、年末年始の需要に応えられるか不安視されています。アップルと強いコネクションを持つ携帯キャリアでさえ仕入れは難しいようです。
0円プランは「対抗しない」
10月29日に開かれたKDDIの決算説明会では、povo2.0の基本料金を無料にした背景として、楽天モバイルに対抗する狙いがあったことが明らかになりました。LINEMOを展開するソフトバンクは、これに対抗策を打ち出すのでしょうか。
社長就任前はCTOとして技術面を担ってきた宮川社長は、否定的な考えを示しています。「ネットワークを維持するため、24時間365日体制で深夜も社員が監視をしている。機械は必ず壊れるものであり、遠隔からの操作もしているが、現地に行くこともある。こうした運用コストがまかなえなくなるような料金プランに踏み込むつもりはない」。
KDDIや楽天モバイルもコストを無視しているわけではなく、まったく使わないまま放置していると約半年で利用停止などの措置を取ることを規約で定めています。一方でソフトバンクは、こうした競争自体に乗らない姿勢を改めて示す形になりました。