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タティースJr.とキムがいるのに、パドレスは「FA遊撃手に3億ドル以上を提示」!? その狙いは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ハソン・キム(左)とフェルナンド・タティースJr. Jun 11, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフのFA市場に揃った「遊撃手ビッグ4」の一人、トレイ・ターナーは、フィラデルフィア・フィリーズと11年3億ドル(2023~33年)の契約を交わした。ただ、ジ・アスレティックのマット・ゲルブによると、ターナーがサンディエゴ・パドレスに提示された契約は、フィリーズの総額を上回っていたという。ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンは、パドレスのオファーは3億4200万ドルだったと報じている。

 パドレスには、フェルナンド・タティースJr.ハソン・キムがいる。昨シーズンまでは、タティースJr.が遊撃を守っていた。今シーズンは、故障と薬物違反で全休のタティースJr.に代わり、キムが遊撃の守備についた。来シーズンの年齢(6月30日時点)は、24歳と27歳だ。それぞれ、14年3億4000万ドル(2021~34年)と4年2800万ドル(2021~24年)の契約3年目を迎える。

 また、三塁手のマニー・マチャドは、来シーズンが10年3億ドル(2019~28年)の契約5年目となる。二塁手のジェイク・クローネンワースは、長期契約こそ交わしていないが、2025年のシーズンが終わるまでFAにはならない。来シーズンの年齢は、30歳と29歳だ。

 1ヵ月前に「昨年は「本塁打王」、今年は故障&薬物で「全休」の遊撃手は、来年どこを守るのか」で書いたように、タティースJr.を他のポジションへ移すにしても、今オフ、パドレスが遊撃手を手に入れる必要はないように思える。キムの守備は、ゴールドグラブに選ばれてもおかしくない。

 にもかかわらず、ターナーに大型契約を申し出たのは、キムの打撃が理由ではないだろうか。メジャーリーグ1年目の昨シーズンより上とはいえ、今シーズンのOPSは.708だった。パドレスは、タティースJr.の代役ならともかく、通常モードのレギュラーとしては物足りない、と考えているのかもしれない。新たな遊撃手が加わった場合も、キムを単なる控えとするのではなく、クローネンワースと二塁で併用することも可能だろう。クローネンワースは左打者、キムは右打者だ。

「遊撃手ビッグ4」のあと3人、カルロス・コレイアザンダー・ボガーツダンズビー・スワンソンは、まだFA市場に残っている。

 彼らについては、こちらで書いた。

「昨オフの「FA遊撃手ビッグ4」が得た契約は計7億ドル以上。今オフのビッグ4はそれを超える!?」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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