『M1』搭載の『新iPad』登場で、『PC』と『モバイル』の境界がなくなる日がやってきた
KNNポール神田です。
本日、2021年4月21日水曜日未明にAppleの発表があった。
コロナ禍での『Apple Event』は、まさにライブイベントではく、編集とエフェクトで美化されたショッピングチャンネルのようであった。
考えてみれば大企業の役員がカメラ目線ながらも、カンペを見ながら、まるで役者のように自社製品のアピールに振る舞う…。ライブイベントではジョークの一つでも言いそうなシーンもすべて映像による仕込みである。ますます、カメラのつなぎの演出なども凝りだして別の方向へ進んでいる。CMのような演出だけれども、演者は素人だから不自然に映る。経営層の生の声が凝りに凝った編集で一大コマーシャルを見させられている気になってしかたがない…。
AppleEvent2021(英語)
https://www.apple.com/jp/apple-events/april-2021/
■『新型iPad』に搭載された『M1』Soc技術の先祖がえり
なんといっても、特筆すべきは、『iPad Pro』が『Aシリーズ バイオニック』からPC用の『M1』チップを搭載したことだ。
iPhoneやiPadで培われてきた『SoC(システム ・オン・チップ)技術』の『Aシリーズ』を転用した『PC』用の『M1』を、今度は、iPad側で採用するという。
これは、もはや逆転の発想である。
PCの『Mac』上で、『iOS』アプリや『iPad OS』アプリが走るのならば、限定的であれ、『Mac』のアプリも『M1』を搭載した『新型iPad』での互換性が保たれるのかもしれないという期待が湧いてきた…。
いや、上位モデルの『iPad Pro2TB』は軽く20万円オーバーでPCのM1を搭載した『MacBookAir』よりも高価となっている。
Microsoftが、Windows OSをモバイルもPCも『OSレベル』で共用化してきたが、Appleはこれを『CPU』や『グラフィックチップ』の集積された『SoC(システムオンチップ)レベル』で共用化しようとしているのだ。
当然、『ARM(英国)』のチップデザインライセンスに『アップル(米国)』が設計・開発した『M1』を『TSMC(台湾)』が生産し、『鴻海(台湾)』が中国などでセットアップして仕上げロジスティクスまで垂直に担当し世界へと出荷する。そして、世界各地のアップル直営のAppleStoreが顧客の問題解決や修理情報をリポートするという仕組みで10数年にわたり、培ってきた膨大なシステムが成立している。
ここに『Aシリーズ』をすべて『M1』で共用にしておきたいという欲望が生まれてきてもおかしくはなさそうだ…。
■『新型iPad』に『M1』を搭載するならば『新型iPhone』にも『M1』を?
何よりもiPhoneのフラッグシップで開発したチップの転用ではなく『M1』をいれるということは『iPhone』シリーズにも『M1』という選択肢も浮上してくる。
しかし、PCの性能をモバイルに同時に求める人は少ない。むしろ、同じチップを採用することによっての『OS』レベルがサポートしたシームレスな連携だけではなく、『チップ』レベルでのサポートも可能となるだろう。『BigSur』もしくは次世代OSは、各デバイス、いや各画面サイズごとのfor iPad. for iPhoneというスクリーンサイズによる分類でPCとモバイルの障壁をなきものにしてしまう未来も十二分に考えられる。
データの基本はすべて『iCloud』連携で、個々のデバイスには、テンポラリーにデータを所有するようになるからだ。
PCのMacであれば、年間2,000万台の生産数だが、iPhoneシリーズともなれば、年間2億台と、約10倍もの出荷が見込めるのだ。『M1』で共用化が達成できた頃には、2022年には、3ナノメートルでの『M2』生産も考えられるだろう。
そう、チップの生産は数年前からスタートしているからだ。
何よりも大量産体制がとれている『M1』で『MacBookシリーズ』から『mac mini』『新型iMac』『新型iPad Pro』と導入され、今後は、『MacBookPro』や『 MacPro』にとどまらず、『iPhoneシリーズ』にまで『M1』チップが搭載されたとしたら、世界で一番利用される『SoC』になり量産コストは計り知れない効果が出てくる。
もっと想像力をたくましくすれば、さらに正式発表されている自動運転の『Apple Car』のような新カテゴリーにさらに同じチップやLiDARセンサーなどが共用されてくると『ホームオートメーション』分野や『ヘルスケア』分野などでも、個人情報をケアしながらもまわりを取り囲む事業戦略もつながってきそうだ。
■突如として登場してきた『AirTag』などもセンサーとして機能する?
今回、突如として登場してきた『AirTag』もなんだか、『超広帯域テクノロジー』としての普及が今後は何かの布石となりそうな気さえしてきている。
『TrackR』などの枯れたBluetooth技術を採用した『AirTag』は、iPhoneユーザーの所有率を考えると、紛失されたものが早急に見つけられやすくなるだけでなく、
『超広帯域テクノロジー』と呼ばれる『超広帯域無線(UWB)タグ』や60GHz帯の『超近距離無線LAN規格「IEEE 802.11ay」』なども視野を入れてくると、AirTagなどが自動運転カーの『社内センサー』としての普及を見据えているような気もしてきている。
また、サードパーティーとの損害保険ビジネスのようなものも開発が考えられそうだ。