「ビールの味」でリーダーシップのある人の基準がわかる?
「リーダーシップ」とは何なのか?
リーダーシップとは、目標達成に向けてメンバーの士気を高め、困難を乗り越えながらチームを成長させていこうとする行動や資質のことを言います。お堅い言葉で記述するとこうなるでしょう。とはいえ実際に自分がリーダーシップを発揮できているかどうかは、主観的に判断できないものです。
メンバーが実力以上の力を発揮できているか?
目標達成に向けて計画を立てる際、必ず「仮説」を立案する場面が出てきます。
「2週間で100回この行動を実施すると、そのリターンが20になるとする」
「新しい工程で1ヶ月作業すると、不良品率が0.5%まで下がるとする」
これが仮説です。数値で表現した行動計画と成果の対比が「仮説」。この仮説の精度は過去の経験値に左右されます。同様の経験をした歴史が長いなら、仮説の精度は高いでしょう。翻って、その仮説をはじめて立案し、やってみなければどうなるかわらかない、というのであれば、どんなに頭をひねっても結果を正しくイメージできません。
現時点ではどうなるか皆目検討がつかない。それでも、いずれ行動はスタートしなければならない。こういうシチュエーションはよくあることです。
仮説の「納得感は未完了」でも、とりあえず行動を進めることで目標達成に向けた学習効果が高まることを「未完了効果」と呼びます。まだ何もスタートさせていない時点だと「わからないことがわからない」状態です。しかし、何らかの行動をはじめることで、どのような阻害要因があるのか、どのような想定外の問題にぶち当たるかが判明します。こうして仮説の精度が上がっていくのです。
組織のリーダーは、「まずは行動しよう」「たとえ結果が出なくても責任をとるから、すぐにやろう」というメッセージを日ごろから発信すべきです。このような発信力、行動力が、人も組織も成長させていくからです。リーダーは、メンバーたちがストレスを感じることなく自然とそのような行動ができる「空気」を作らなければなりません。
スポーツの世界を見ればわかるとおり、チームの雰囲気がよければ、メンバーは実力以上の力を発揮してくれるものです。メンバーそれぞれができる範囲のことしかやらず、ポテンシャル以上のことが発揮できていないようであれば雰囲気は悪くなります。期待したような成果を手に入れることもできないでしょう。
「ビールの味」でリーダーシップを発揮しているかどうかがわかるか?
私は講演中、よく「ビール」のたとえ話をします。銘柄や種類が同じでも、そのときの体の状態、飲む場所、一緒にいるメンバー次第で「ビールの味」は大きく変わるものです。
あなたが、ある組織のリーダーだとして、「一緒に飲みに行こう」と誘うとメンバーたちは気持ちよく参加してくれるでしょうか? そして美味しそうにビールを飲んでくれるでしょうか? 全員がそうでなくても、マズそうにビールを飲む人が大勢いるなら、チームの中の「空気」もよくないのかもしれません。
「ビールの味」を実力以上にさせるほどチームに良い「空気」をもたらしているか?これはリーダーシップを発揮できているかどうかの基準になると私は考えています。年末が近づき、忘年会のシーズンがやってきました。飲み会の席では、このような目でメンバーたちを観察してはいかがでしょうか。(もちろん、これはたとえ話ですので、必ずしもビールに限らなくてもかまいません)