老後破産のキーワード「NINJA」はアメリカ発祥だった
アメリカで老後破産予備軍といえば忍者である?
サブプライムローン、というのが世界経済を揺るがしたのも、もう一昔前と感じられるくらい株価の上昇は勢いがあります。あの頃、ニューヨークダウ(アメリカの平均株価)は14000ドルにタッチしていた高さが6500ドルを割り込むまで下がり、たった2年で半値以下に暴落しました。世界の経済は終わったかのように思われました。しかし、今では26000ドルを上回るまで上昇しているのですからすごいものです。
ところで、サブプライムローンの借り手であったのは低所得者層でした。返済余力も乏しいはずの低所得者層に高額の住宅ローンを高金利で貸し付けていたことが、問題の根深さを表していました。
(信用が低い以上は貸す側は高金利をつける必要がある。しかし、借りる側にとって高金利は不動産の値上がりが伴わなければ厳しい借金でしかない。銀行はそれを分かって貸しまくっていた)
住宅ローンが返せなくなって世界的な経済問題となったわけですが、個人目線で考え直してみればこれは老後破産予備軍ともいえます。別の言葉でサブプライムローンを呼ぶことがあるのですが、それは「NINJAローン」と呼ばれます。つまり「忍者」です。
「いやそれネタでしょう」と思うかもしれませんが、野村證券のホームページの証券用語辞典にも登場するほどです。
しかしこのNINJAは考えるほどに危ない状態です。最近、NINJAローンについて教わる機会があったので、これをフックに、日本の老後破産リスクについて書いてみます。
老後破産のキーワードは「NINJA」が示している
NINJAというのは No Income, No Job or Asset の略だそうです。これはまさに老後破産を招く恐怖のキーワードが込められてます。
まずNo Income。「収入源がない」ということです。これは仕事をしていることにより得られる収入もあれば、高齢になった場合にもらえる年金収入もあるでしょう。しかし、無職であったり、未納期間が多すぎて無年金(あるいはごく少額の年金)であった場合、生活は成り立ちません。生活保護に依存し、そこから抜け出すことも困難になります。
次にNo Job。「仕事がない」ということです。単純に職についていない状態と、手に職がないという意味合いと2つ考えてみたいのですが、お金を稼ぐ能力そのものの不足については大きなリスクです。誰でもできる仕事をするしか収入を得る機会にありつけませんが、より高いスキルを持つ人が面接に訪れれば蹴落とされてしまい就職できません。いずれにせよ、仕事がない、働いて稼ぐスキルがない状態では、貯蓄余力が生まれることもありえません。
最後にNo Asset。「財産がない」のですから、これは手詰まりです。資産があって老後を迎えることができれば、それを計画的に取り崩すことにより、公的年金だけでは確保が難しい老後の余裕を生み出すことができます。介護費用等の捻出にも使うことができます。また、資産を増やすチャンスは現役時代にしかありません。私はセミナーでよく「今日から定年退職日までにしか老後のお金は貯められない」と言いますが、老後に老後のお金を貯める力はないからです。資産がない老後を迎えることは相当のリスクです。
正社員としてしっかり働ければ日本人は老後に忍者にならなくていい
忍者というのは世界的知名度と人気があります。おもちゃのレゴには「NINJA GO」というシリーズがあってアニメ化もされているくらいです。しかしNINJAはまずいことはあきらかです。
忍者の起源である日本においても、NINJA問題があるのか、特に老後破産問題の観点から考えてみましょう。
まず日本人においては会社員をしているのであればまずNINJAの老後にはならずにすむでしょう。雇用を剥奪される可能性はあまり高くなく、定期的な収入源があり、かつ老後には基礎的な生活をまかなえる程度の公的年金収入が終身保障されているからです。老後のIncomeも、65歳まで働けるJobも、退職金などのAssetもあるわけです。できる限り、貯蓄をしておきAssetを増やしておけばさらに安心です。
ただし、これは正社員として働けていた場合です。非正規雇用である場合、雇用を失うリスクとそれに伴う定期収入源の喪失のリスクがあります。また厚生年金未適用であった場合老後の定期収入も少なくなってしまいます。公的年金というIncomeが少なく、Jobも不安定で、Assetを増やす力も強くありません。
自営業者もそれなりにリスキーです。Jobで稼げるときはがんがん稼げるのですが安定確実ということはありません。稼げるときにAssetとして残しておくことが必要です。また国民年金しか入っていない場合、老後のIncomeも少ないものになります。強く自覚して老後に備えておくべきでしょう。
あなたはNINJAになってはいけない
アメリカ人の誰かがたぶん、シャレのつもりで考え出したNINJAという略語は、マネープランを考えたとき、生活をしっかり維持し、老後に迎えて備えを行い、それなりに満足のいく老後を過ごすために、避けるべき3つのキーワードということになっていました。
定期的な収入源の確保、手に職をつけできるだけ長く働けけること、また安定的な立場で働くこと、そして資産を少しでも多く積み上げておくこと、I、J、Aの3つの要素が「No」ではなくなれば、きっと老後の心配は解消できるはずです。
日本人は絶対にNINJAにならないようにしてほしいものです。