「シリア革命」で息子4人を失った老婆が、残された最後の息子の釈放をアル=カーイダに懇願
息子の釈放を懇願する老婆
シリアのネット活動家らは5月12日、SNSを通じて、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構(旧シャームの民のヌスラ戦線)のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者に息子の釈放を懇願する老婆のビデオ・メッセージを拡散した。
ハートゥーン・スワイリーヤを名乗るこの老婆は、メッセージのなかで、4人の息子を「シリア革命」で亡くし、残る5番目の息子がシャーム解放機構によって、罪状を明らかにされないまま逮捕・拘束されていると語った。
拘束されている息子の名前はラーイド・スルターニー。
夫に先立たれ、4人の息子を失ったハートゥーンさんにとって、ラーイドさんは唯一の働き手で、彼女はジャウラーニー指導者にこう懇願した。
シャーム解放機構の対応
イドリブ県で「シリア革命」の主導者を自認するシャーム解放機構は、参加の治安機関が逮捕・拘束したいかなる容疑者の容疑も、司法当局の許可なくして公表しないとの姿勢を示してきた。
だが、ハートゥーンさんのビデオ・メッセージが拡散されたのを受けて、5月13日に広報関係局が異例の声明を出し、ラーイドさんが、道路封鎖、略奪強盗の容疑で審理を受けており、シャーム解放機構が管理する刑務所に収監されていると発表した。
声明はまた、「シリア革命」に参加して死亡したという4人の息子のうちの3人についても、窃盗団のメンバーで、道路封鎖に関与、シャーム自由人イスラーム運動によって殺害された12人のメンバーのなかに含まれていたと付言した。
シャーム自由人イスラーム運動は、トルコが後援する国民解放戦線(国民軍)を主導する武装集団の一つで、シャーム解放機構と同じくアル=カーイダの系譜を汲むが、自由シリア軍を自称している。
(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)