極大を迎える「ふたご座流星群」 -冬の星空を見上げてみよう
気が付けば今年も残り半月余り。多くの人々にとってコロナ禍で辛い一年でしたが、2020年の天文・宇宙界は、はやぶさ2のカプセル帰還など話題が豊富な年でもありました。ゆく年を見送るこの時期に、毎年、夜空に多くの流れ星が出現します。それは「ふたご座流星群(ふたご群)」。防寒対策をして、ゆったりとした気持ちで夜空を見上げてみませんか?
最良の条件で迎えるふたご座流星群
今年、2020年のふたご座流星群の活動は、日本時間で12月14日午前10時頃に極大を迎えると予想されています。今年は、15日が新月のため月明かりの影響もなく、極大日前後の夜は良い条件で観察できます。特に今晩13日の深夜から14日の未明は、条件が整えば、1時間に50個以上出現すると予報されています。翌夜も1時間に20個以上は出現する可能性があります。
条件というのは、主に天候と空の暗さ、視野の広さなどが関係しています。快晴の夜、月明かりや街明かりも無く、周囲に視野を遮るものが無ければという意味です。実際にはそのような理想的な状態は難しいと思いますが、今年は月明かりが無いのでふたご座流星群をみるのには適した条件なのです。
リラックスして流星の出現を待とう! -防寒対策、防光対策を忘れずに-
流星を楽しむのに、望遠鏡や双眼鏡は必要ありません。少しでも空が暗くかつ安全な場所を見つけて、肉眼で観察しましょう。屋外に出てから周囲の暗さに目が慣れるまで、個人差はありますが最低でも10分以上かかります。このため、暗闇に目が慣れるまで待ちます。その間、車のライトや街灯を避けて、地上の明るい光が目に直接入ってこないように帽子やスケッチブックなど工夫して地上光を遮断し続けることが、流星を見るコツです。また、地上の光が目になるべく入らないように見上げる方向も調整します。
群流星が流れる方向は放射点(ふたご座)の方向とは限りません。空のどこを見上げていても、見られる確率は同じです。流星群の特徴としては、放射点に近いほど、ゆっくりと短い経路で流れ、放射点から遠いほど、速く長い経路で観察されます。群流星のみならず散在流星も見られるはずです。この時期、大事なことは風邪をひかないよう防寒対策をしっかり行うことです。リラックスした服装・姿勢で無理をせずに楽しんでください。
流星群とは? -母天体は彗星?-
流星(流れ星)とは、宇宙空間にある直径1mm~数cm程度の塵粒(ダスト)が地球の大気とぶつかり、地球大気や気化した塵の成分が光を放つ現象です。重さも1gよりも軽いものがほとんどで、ちょうどコーヒー豆一粒ぐらいのサイズです。
流れ星には、散在流星と群流星があります。散在流星とは、いつどこを流れるか全く予測が付かない流星で、群流星とは、ある時期に同じ方向から四方八方に飛ぶようにみられる流星のことです。一方、群流星が飛んでくる方向を放射点(または輻射点)と呼びます。放射点がどの星座に含まれているかで、その流星群の名前が決まります。
太陽に近づいた彗星は、彗星本体に含まれていた塵を彗星の通り道(軌道上)に放出していきます。このため、塵の粒の集団と地球の軌道が交差している場合、地球がその位置にさしかかると、たくさんの塵の粒が地球大気に飛び込みます。地球が彗星の軌道を横切る時期は毎年ほぼ決まっていますので、毎年特定の時期(数日間)に特定の群流星が出現することになります。
1月の「しぶんぎ座流星群」、8月の「ペルセウス座流星群」と並んで、12月の「ふたご座流星群」は三大流星群とも呼ばれ、毎年、安定してたくさん出現する流星群です。近年では、ふたご群のほうが、ペルセウス座流星群より出現数が多いほどです。ふたご群の母天体は小惑星フェートン(3200 Phaethon ファエトンとも呼ばれる)と考えられています。現在、この天体は彗星のように揮発性物質を多く放出していませんが、以前は彗星のような振る舞いをしていたのではないかと予想されています。
詳しくは国立天文台の「ほしぞら情報」もご活用ください。