関東南部は通勤・通学時間帯の春を告げる雪に注意
南岸低気圧による雨
令和6年(2024年)3月8日は、東日本の南海上を低気圧が発達しながら北東進し、日本海を別の低気圧が北東進する見込みです(タイトル画像)。
このため、西日本の日本海側や東日本~東北では雲が多く、雨や雪の降る所があるでしょう。その他の地域も雲が広がりやすく、所によりにわか雨やにわか雪がありそうです。
関東南部では雨が主体で降りそうですが、通勤・通学時間帯はみぞれや雪の降る可能性があり注意が必要です(図1)。
気象庁が7日夕方に発表した、8日夕方までの予想降雪量は、多い所で、関東北部の山地8センチ、関東北部の平地5センチ、箱根~多摩、秩父にかけて7センチ、関東南部の平地5センチ、甲信5センチとなっており、東京23区でも3センチとなっています。
低気圧が陸地から少し離れて通過することから、この予想降雪量になっています。
関東南部は、雪に慣れていないため、雪の多い地方の人にとっては、考えられないほど少ない雪で交通が大混乱しますので、積雪による交通障害や路面の凍結に注意が必要です。
一台でもノーマルタイヤの車が雪道を塞ぐと、その道全体が大渋滞となります。長続きする雪ではありませんので、雪が降りそうな時間帯は、ノーマルタイヤでの移動を避けてください。
また、雪が止んでも、路面が凍って滑りやすくなりますので、念には念を入れた運転が必要です。
西日本~東日本に上空の寒気が南下
南岸低気圧の後を追うように、日本上空に強い寒気が南下する見込みです。
寒気の強さの目安として、上空約5500メートルの気温が使われます。
上空約5500メートルで氷点下30度以下の平地で雪の可能性が高い寒気は関東地方まで、氷点下36度以下の大雪の恐れがある寒気は東北地方まで南下する見込みです(図2)。
この時期としては強い寒気を伴って日本海にある低気圧は、発達しながら東進し、3月9日朝にかけて東北地方を通過する見込みです(図3)。
西日本や東日本では、上空の寒気や低気圧に向かって流れ込む湿った空気の影響で大気の状態が非常に不安定となりますので、所々で積乱雲が発達し、雷が発生する見込みです(図4)。
西日本では8日、東日本では8日から9日にかけて、落雷や竜巻などの激しい突風、降ひょう、急な強い雨に注意してください。
発達した積乱雲の近づく兆しがある場合には、建物内に移動するなど、安全確保に努めてください。
今冬の冬日、真冬日の推移
3月7日の最低気温が0度に満たない冬日は410地点(気温を観測している全国914地点の約45パーセント)、最高気温が0度に満たない真冬日は117地点(約13パーセント)でした。
今冬一番の強い寒気が南下してきた令和5年(2023年)12月22日の冬至寒波の頃は、冬日は約85パーセント、真冬日は約29パーセントでしたので、これに比べれば、かなり減ってきています(図5)。
冬至寒波以後、1月上中旬寒波や1月下旬寒波があり、一週間程度は強い寒気の南下が続いていました。
しかし、2月中旬以降は、西高東低の気圧配置によって寒気が南下しても長続きしなくなり、冬日の観測地点数の変化が大きくなってきました。
気温の変化が大きい日々が続きますので、気象情報を利用し、こまめな服装調節などで体調維持に努めてください。
今冬の東京の最高気温と最低気温の推移
今冬の東京は、令和5年(2023年)12月上旬までは極端に気温が高い日もあったのですが、冬至(12月22日)寒波以降は、それまでの極端に気温が高い日はなかったものの、気温は高めに推移していました。
しかし、令和6年(2024年)2月中旬になると季節外れの暖かさとなり、2月20日に23.7度と、2月としては記録的な暖かさとなりましたが、その後気温が急降下しました(図6)。
2月23日の天皇誕生日を含む三連休の気温は平年より低くなりましたが、三連休後は、ほぼ平年並みに戻っています。
今週前半と後半の2つの南岸低気圧の通過で最高気温は大きく低下していますが、ただ、来週は最高気温、最低気温ともに平年より高くなる見込みです。
その平年値も、1月下旬の非常に寒い時期に比べれば、かなり高くなっています。
太平洋側の南岸低気圧による雪は、「春を告げる雪」と呼ばれることがありますが、関東の雪は、まさに春を告げそうです。
タイトル画像、図1、図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。
図3の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。
図5の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図6の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。