定番からギャップ萌えまで。あんこも栗もお酒も全部満喫、ちょっと自由な山形の名店が提案する「牡丹餅」
桜の開花や時折汗ばむような日差しに、春の訪れを実感する今日この頃。訪れではなく、襲来と呼ぶのが相応しいものもありますが…ああ、くしゃみが。
ところで、「春告」という言葉をご存じでしょうか?「春告魚」と書いてニシン、「春告鳥」と書いて鶯。訪れ、ではなく、告げるという言葉から、若々しい生命力を感じられるような気がします。
今回のテーマは魚でも鳥でもなく、「春告餅」。
山形県の和菓子屋さん「佐藤屋」さんは、現在の八代目ご当主が手にかける「ちょっと自由な和菓子」がメディアに取り上げられたり、都内を中心とする催事にも出店なさるお店。
そんな佐藤屋さんの春告餅は、思わず心が浮き立ってしまいそうな味わいの牡丹餅。
それぞれ個性的な三つの味わいをご紹介します。
「粒餡にくるみ」は、ざくざく、もちもち、じゅわっという食感が一度に口の中で舞い踊り、忙しくて楽しい!粒あんの甘味よりも、それぞれ大きさがバラバラで大胆なくるみの香ばしさや木の香りが勝るので、あっさりペロリです。
きゅうっと舌全体が締め付けられるほど濃厚な「栗餡」。とにかく栗の素朴な味わいがぎゅっっと濃縮されているので、甘さは控えめでも凄く満ち足りた贅沢なフレーバー。珈琲にも合うのですが、日本酒やウイスキーのようなふくよかなお酒と頂いたら最高かと。
職人さんが生栗から手塩に掛けて仕込んだ栗餡は、道明寺の旨味をぐんと底上げしてくれます。
一口目と二口目からの鮮烈なギャップに揺さぶられる「ラム酒黒糖餡にイチジク」。皮だけにそっと歯をたてると、氷餅とお餅のほっこりした旨味なのに、もう一口と、ラム酒黒糖餡とイチジクが流れ込んできた瞬間、大人の装いに大変身。イチジクのやや繊維質な感じも、ほんのり艶やかな色気になっているような気がします。ラム酒+イチジクは、和菓子の世界でも新しい王道になりつつあるような気がします。
しっかり和菓子ながらも、どこかにほんの少し遊び心を取り入れるさじ加減がお上手な佐藤屋さん。
こちらの春告餅はあらかじめオンラインでのご予約が可能です。また、4月10日まで本店でのお渡しのみの対応となっております。