【野菜スイーツ】ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルが挑むベジスイーツブッフェ
2回目となるベジスイーツブッフェ
ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルのラウンジ&バー「マリンブルー」で、東龍とのコラボレーションによる「ベジスイーツブッフェ」が5月1日に始まりました。2014年の今年で2回目となる試みで、デザートブッフェにしては珍しく、野菜を使ったスイーツをテーマにしています。
「ポタジエ」「どんぐりの木」「ル クール ピュー」「dono」「ヨロイヅカファーム」など、野菜スイーツを中心にしたパティスリーは増えてきましたが、野菜スイーツを中心にしたブッフェは少ないです。というのも、ブッフェに訪れる客は、スイーツを気兼ねなく存分に食べたいと思うものなので、そこであえて普通のスイーツではなく野菜スイーツを食べたいと思わないからです。
では、それなのに何故、ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルはベジスイーツブッフェを行うのでしょうか。
野菜だらこそおいしい
マーケティング部 マーケティングコーディネーター 川井優子氏は「みなとみらいは、お客さまにわざわざ足を運んでいただく場所」であることを念頭に置き、それ故に「興味を持っていただけるように、常に新しい企画を考えている」と述べます。
そういった背景もあり、マリンブルーのデザートブッフェは1~2カ月単位でテーマを変えて行われており、人気があってリピーターも多いです。
そのデザートブッフェでも何か新しいことをできないかと考えていたところ、「野菜スイーツをテーマにした企画がマリンブルーのスタッフから持ち上がった」と川井氏は振り返ります。未踏領域への挑戦でしたが、マーケティング部長 井上真澄氏は「野菜でもおいしいスイーツではなく、野菜だからこそおいしいスイーツを目指した」と高い志があったと語ります。
全くオリジナルの野菜スイーツを
2013年に引き続き2014年も開発の中心を担っているのが、料飲部調理 ペストリー 石山倫氏です。昨年初めてベジスイーツブッフェを行うと聞いた時には、「突然、野菜をテーマにすると聞いて戸惑った」とし、さらに「準備期間は1ヶ月程度しかなかった」と時間の余裕がなかったことを明かします。
石山氏は「調べてみると定番の野菜スイーツはいくつかあった」としながらも、「定番をアレンジするのではなく、全くオリジナルの新しい野菜スイーツを作りたかった」と初心を語ります。
主役の野菜はあきらめない
石山氏は業務の合間を縫って野菜スイーツを考案し、試作品を作りました。「臭みを抜くためなど、下ごしらえに手間を要する」と話しますが、「主役に据えると決めた野菜は絶対に諦めたくなかった」とこだわりを述べ、「おいしい野菜スイーツに仕上げたい一心でひらすら作った」と話します。
石山氏だけではなく、ペストリー シェフの内藤智義氏やペストリー シェフ ド パルティエの手塚淳氏、マリンブルーのマネージャーである藤澤亮氏やキャプテンである杉山茜氏、他のスタッフ、私も加わり、何度も試食会を行った結果、16種もの野菜スイーツが完成し、昨年のベジスイーツブッフェが開催される運びとなったのです。
石山氏は「他の人の意見がとても重要だった。新しいアイデアを得ることができた」と述べ、チームワークによるところも大きかったと話します。
2013年の野菜スーツ
2013年に提供された野菜スイーツの中で、2014年も引き続き提供された人気メニューは以下の通りです。
パプリカキャラメル
パプリカの苦味を何とか生かそうと考えたスイーツです。石山氏が「パプリカの苦味はキャラメルの苦味と相性がよい」と気が付いて作りました。ヘーゼルナッツも使って本格的に仕上げています。
ラディジュレ
ダイコンとアロエを涼しげなグラスゼリーに仕立てています。石山氏が「煮物を作っている時にアイデアが浮かんだ。ダイコンは味がよく染みる食材なので、味を入れればおいしいスイーツになる」と閃いた一品です。
2014年の野菜スイーツ
2014年のベジスイーツブッフェについて、石山氏は「早い段階から開催が決まっていたので、事前に考える時間があった。私生活では料理を作ることが好きなので、何か野菜スイーツに利用できないかを常に考えていた」と意欲的だったと述べます。
川井氏が「昨年よりも進化しなければならない」と言ったことを受けて、石山氏は「昨年使用した野菜は使わないようにした。食材のマリアージュにこだわった」と、今回は野菜のポテンシャルを引き出しただけではなく、他の食材と組み合わせて相乗効果を高めたと述べます。その結果、新たに10種類もの野菜スイーツを創り出し、昨年以上に魅力的な品揃えとなりました。
2014年における主な新作野菜スーツは以下の通りです。
トウモロコシコーヒームース
石山氏が「コーヒーがトウモロコシの甘味を引き立てている」と最もおすすめする野菜スイーツです。プライベートで訪れたレストランで食べたコーンポタージュがもとになって、アイデアを思い付いたと言います。
かぼちゃさといも豆乳ムース
石山氏が「さといもはすりおろして臭みを抜く下ごしらえが特に大変」と述べるように、手間をかけたスイーツです。試食段階では、さといもの分量が議論されるなど、様々な意見が飛び交いました。さといもの食味と食感を楽しめる意欲作です。
赤じそジンジャーゼリー
赤じそを使った珍しいスイーツです。テーブルを回ってサーブする方法も考えられましたが、ラディジュレと同じく美しいグラススイーツとしてブッフェ台に並べることにしました。
コンディメント
石山氏が「色々な味の組み合わせを試して、存分に楽しんでいただきたい」と述べる通り、野菜スイーツに好みでトッピングできるように、ブラックペッパー、ゲランドの塩、オリーブオイル、スイートトマトジャム、黄色トマトジャムが置かれています。ゲランドの塩などで野菜スイーツの甘味を引き立てるのは面白いです。
来年に向けた構想も
今年のベジスイーツブッフェはまだ開始されたばかりですが、石山氏は「タマネギは炒めると甘くなっておいしくなる。タマネギで野菜スイーツを作りたかったが、生地に加えてみたらイメージと違った。時間的な制約もあって仕方なく断念した」と残念そうに振り返ります。
しかし、既に来年を見据えた構想を練っていて、同ホテルのフランス料理「アジュール」をプライベートで利用した際に「新タマネギのポタージュがおいしかった。タマネギは生地ではなくムースにすればよいのではないか」と新しいヒントを得ているのです。
全てのスタッフが誇りを持つ
野菜スイーツは、健康面がクローズアップされることが多いですが、ベジスイーツブッフェでは「野菜でもおいしい」ではなく「野菜だからこそおいしい」、さらには「野菜ならではのマリアージュ」へと昇華させています。
川井氏は「ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルでは全てのスタッフが誇りを持つことを目指している」と話しますが、新しいことに挑戦していくことで誇りを持つことができるのではないでしょうか。石山氏が誇りを持って創り上げる野菜スイーツに今後も期待したいです。
情報
詳しくは公式サイトをご確認ください。