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10年ぶりとなるポストシーズンに向け、ヒューストン・アストロズが超大物を動かした

宇根夏樹ベースボール・ライター
Taylor Swift, Jul 19, 2015(写真:REX FEATURES/アフロ)

ア・リーグ西地区でロサンゼルス・エンジェルスと首位を争うヒューストン・アストロズが、10年ぶりとなるポストシーズン進出、さらには球団初のワールドチャンピオンに向かって、この夏のトレード・デッドラインで意欲的な動きを見せた。

7月23日にオークランド・アスレティックスからスコット・キャズミアーを獲得し、その1週間後にはミルウォーキー・ブルワーズからカルロス・ゴメスマイク・ファイヤーズを手に入れた。加えて、アストロズはコール・ハメルズも、フィラデルフィア・フィリーズから得ようとしていた。ハメルズがトレード拒否権を発動しなければ、先発ローテーションには、ダラス・カイクル、キャズミアー、ハメルズの左腕3人が揃っていたかもしれない(ハメルズはテキサス・レンジャーズへ移籍)。

アストロズのポストシーズンに向けての動きは、トレードによる補強にとどまらない。7月27日には、本拠地のミニッツメイド・パークで10月13日に予定されていたテイラー・スウィフトのコンサートが、9月9日に変更された。今年のポストシーズンは、10月6日に幕を開ける。一方、アストロズは9月9日にオークランドで試合を行う。

スウィフトがミニッツメイド・パークで催すコンサートは、5月5日に東京ドームでスタートした「1989ワールドツアー」の一つだ。アストロズは昨年12月に、ポストシーズンのホームゲームとぶつかるようであれば、スケジュールは変更されるとツイートしていたが、6年続けて負け越し中とあって、当時は笑い話でしかなかった。また、「1989ワールドツアー」は7月13、14日にナショナルズ・パークで開催され、8月29日にはぺトコ・パーク、10月2、3日はロジャース・センターでも行われるが、メジャーリーグの球団が本拠地とする球場で、ポストシーズンの期間中に予定されていたのは、ミニッツメイド・パークだけだった。

スウィフトの「1989ワールドツアー」がメジャーリーグで話題になるのは、ミニッツメイド・パークのスケジュール変更が2度目だ。ナショナルズ・パークのコンサートは、マックス・シャーザー(ワシントン・ナショナルズ)のツイートでネタに使われた(「球場の照明が落ちた原因はテイラー・スウィフト? それとも'''ブライス・ハーパー'''が使ったドライヤーのせい?」)。

ややこじつけの感はあるものの、3度目の話題としては、ポストシーズンの試合にスウィフトを招き、国歌を斉唱させてもいいのではないだろうか。「1989ワールドツアー」は12月まで続くが、少なくとも、ミニッツメイド・パークでコンサートを予定していた10月13日のスケジュールは空いているはずだ。

アストロズだけでなく、ナショナルズもポストシーズン進出の可能性は高い。スウィフトはフィリーズが本拠地とするシチズンズバンク・パークで、2008年のワールドシリーズ第3戦に国歌を歌っている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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