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「わかります」、その一言がワ―ママ(&ワーパパ)を救う!

治部れんげ東京科学大学リベラルアーツ研究教育院准教授、ジャーナリスト

「●●ちゃん、お熱が出て『ママがいい!』と泣いてます…」。園からの電話を受けたのは、会議の最中でした。「すぐうかがいます」と言って電話を切った後、ごめんなさいモードに入った私は、とても驚きました。

男性の意外に!?暖かい反応

「すみません、娘が熱を出してしまって…」と言った瞬間、会議に同席していた男性(きっと30代)が「分かります。僕もよくあります」と言ってくださったのです。向かいに座っていた男性(きっとこの方も30代)も「そうですよね、よくありますよね」

ここで判明したのは、3人とも、子どもの年齢が同じくらいであること。「本当にしょっちゅう、熱を出すんですよね」という会話を笑顔で見守るテキパキ仕事を進める20代女性と、うなずきながら聞いているクライアントさん。「今、流行ってるよね。午後のアポイント、子どもから風邪がうつったからキャンセルになった人がいるよ」と私のボスが受けます。

そんなわけで、申し訳ない気持ちより、ありがたい気持ちが勝った状態でお迎えに向かっています。現在、午後1時すぎ。電車の中で、この原稿を書いています。

こういう環境だと、子育てと仕事の両立が自然にできるなあ…と、身にしみて思います。ウーマノミクス、アベノミクスが花盛りの今。「2020年までに女性管理職30%」を目指して、多くの企業が頭を悩ませています。

必要なのは制度より「わかる」のひとこと

どうしたら、女性が出産後も仕事を続けられるか。どうしたら、やる気を持って働き続けてくれるか。雇用主の悩みを聞きますが、答えはめちゃくちゃシンプルです。私が、ついさっきまで一緒に働いていた人たちのように、働く親に接してくれたらいいな、ということ。

目の前の会議と熱を出した子どもがいた時、子どものもとに駆けつけようとする親心を「あまえてる」ではなく「わかります」と受け止めてくれる人が大半になったら、その職場には自然に、子どもを持って働く女性が増えるでしょう。そういう職場は当然に、男性にも働きやすいと思います。

ちなみに、私たちがさっきまで議論していたのは、こちらのサイトの連載に関してです。

25歳のあなたへ。これからの貯“金”講座」と題した連載を、1週間前から、マイナビニュースで始めました。私と豊島逸夫のコラボ連載です。

連載のねらいは、20代の男女に、マネーリテラシーを身に付けていただきつつ「金」に関心を持ってもらうこと。私は、仕事や結婚、子育てとお金にまつわる話題を、豊島は株価や国際的な経済の話題を書いていく予定です。

冒頭に描いたように、子育てしながら働きやすい雰囲気満載の中、みんなで集まって話をしたり、メールでやり取りしながら、楽しくてためになる連載にしたいと思っています。よかったら、ご覧になってみてください。

東京科学大学リベラルアーツ研究教育院准教授、ジャーナリスト

1997年一橋大学法学部卒業後、日経BP社で16年間、経済誌記者。2006年~07年ミシガン大学フルブライト客員研究員。2014年からフリージャーナリスト。2018年一橋大学大学院経営学修士。2021年4月より現職。内閣府男女共同参画計画実行・監視専門調査会委員、国際女性会議WAW!国内アドバイザー、東京都男女平等参画審議会委員、豊島区男女共同参画推進会議会長など男女平等関係の公職多数。著書に『稼ぐ妻 育てる夫』(勁草書房)、『炎上しない企業情報発信』(日本経済新聞出版)、『「男女格差後進国」の衝撃』(小学館新書)、『ジェンダーで見るヒットドラマ』(光文社新書)などがある。

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