Yahoo!ニュース

久保建英の「居場所」はビジャレアルにあるのか?高過ぎた期待値とポジティブキャンペーンの結果。

森田泰史スポーツライター
レアル・マドリー戦の久保(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

久保建英の周囲が、騒がしくなってきている。

リーガエスパニョーラで、久保は2試合連続で出場がなかった。ウナイ・エメリ監督の中でジェレミ・ピノ、フェルナンド・ニーニョ、アレックス・バエナといった選手の序列が上がってきており、久保は厳しい立場に置かれている。

こうなると、当然ながら、移籍の噂が立ち上る。1月の移籍市場が開くタイミングで、新天地を探すという選択肢だ。

そもそも、久保に関しては、ビジャレアル移籍に伴う期待値が高過ぎたように思う。シーズン序盤戦、久保のプレータイムが増加しない中で、不可解なエメリ監督批判が巻き起こったように、だ。当初から、なぜ久保が試合に出られないのかを入念に検討すべきだったのだ。メディアは「久保は悪くない」の一点張りで、ポジティブキャンペーンを繰り返した。その結果が、これなのである。

そして、ヨーロッパリーグ・グループステージ第5節が終わったところで久保への批判が出てきた。だが、後の祭りだった。久保のポジティブキャンペーンで大衆に掛かったフィルターバブルは、容易には解かれない。今もって、久保は悪くないと考える人は少なくないだろう。そういうメディアやファンは完全に置いていかれてしまっている。もう、追い付くことはできないだろう。

ウォーミングアップする久保
ウォーミングアップする久保写真:ムツ・カワモリ/アフロ

■高い期待とその反動

「チャンスは全員に与えている。だが、良いパフォーマンスを示せない選手を10試合連続で起用する余裕は我々にはない。試合に出るチャンスを得た時に、活躍しなければいけない。カンテラーノ、その他の選手、そこは同じだ。ビジャレアルでは高い要求がなされる。それは勝利という結果だ」

これはウナイ・エメリ監督の言葉だ。

今季、久保は19試合出場(先発7試合)で1得点3アシストを記録している。指揮官が言うように、確かにチャンスをもらっている。そのなかで、F・ニーニョ(3得点)、ピノ(3得点)が結果を残してエメリ監督の信頼を勝ち取った格好である。

この記事は有料です。
誰かに話したくなるサッカー戦術分析のバックナンバーをお申し込みください。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

森田泰史の最近の記事