念願の一戦へ!田口良一が3階級王者 田中恒成に挑戦【インタビュー後編】
今週土曜日にWBO世界フライ級王者の田中恒成(23)と元WBA&IBF世界ライトフライ級統一王者の田口良一(32)が戦う。私と対戦経験がある田口選手にインタビューを行なった。
元統一チャンピオン田口良一が持つ執念と殺気【インタビュー前編】
後編では、日本王者時代に戦った井上尚弥選手との試合、ジムメイトの存在、防衛戦で強かった相手などについて聞いた。
また、田口から意外な告白を受けた...
運命のワタナベジム
ーーー好きなボクサーとか、憧れのボクサーはいる?
田口:最初に憧れたのは畑山さんですかね。かっこいいなと思って。
ーーーそうだよね。僕らも見てたけど、カリスマ的な存在だよね。
田口:新井田さんも好きでしたね。その2人が横浜光ジムだったので、自分も最初は横浜光ジムに行ったんです。結局、辞めちゃうんですけど。
ーーーその後、ワタナベジムに入ったの?
田口:そうですね。高校卒業して、ジムに行かなかった時期がありました。でも、ちゃんとボクシングやりたいなと思い直しました。
そんな中、電車に乗っていたら、たまたま今のジムが見えて、何となく直感でここにしようと思いました。そこからという感じですね。
ーーーすごいね。ワタナベジムを選んでいなかったら、チャンピオンになれたか、どうかも分かんないね。
田口:たぶん、なっていないですよ。
ーーーワタナベジムの雰囲気とかはどう?
田口:今もそうですけど、当時からアットホームな感じだったんですよね。だからそれが自分に合っていました。
あと優しい先輩もいて、雰囲気も良かったです。トレーナーもいい教えをしてくれて、強くなっていったという感じです。
世界チャンピオンの内山高志、京口紘人の存在
ーーー同じジムの内山高志さんとか、京口紘人選手とか、そういう選手たちはどういう存在?
田口:内山さんがいたからチャンピオンになれたというのはありますね。
内山さんがいて、あとホンさん(元田口選手のトレーナー)もいて、そういう人たちと出会えたから、チャンピオンになれたと思ってます。だから本当に大きな存在です。
ーーー京口選手は弟分みたいな感じ?
田口:そうですね。あいつも入ってきてまだ3年ぐらいですかね。でも来た当初から、上に行く選手だなというのを感じてました。
ーーー京口選手とはスパーリングとかはする?
田口:昔はちょいちょいやっていましたけど、最近はないですね。
ーーーやっぱりパンチが強いとかはありますか。
田口:パンチは強いですね。あと横に行きながらの左アッパーとか、うまいですね。彼もまた、田中選手のように、考えながらやっているなという印象を受けますね。
ーーーじゃあ、彼からも結構刺激を受けますか?
田口:そうですね。
田口選手から意外な告白
ーーー例えば国内で意識するライバルとかはいますか。
田口:木村さんはライバルです。
ーーーありがとう。木村さんがライバルということで(笑)。
田口:はい。それは、いずれやるんじゃないかというような思いで、ランキング表を観てました。
ーーー八重樫さんとかもいて。
田口:八重樫さんとは自分の中では、やるという感じはあまりなかったです。けど、木村さんとはいずれやるかもしれないというのはありましたね。
ーーーすいません、先に負けてしまって(笑)。僕は昨日で、引退してちょうど3年かな。
田口:もうそんなに経つんですか。
ーーーそんなに経つんですよ。時間が経つのは早いね。田口選手と試合をしたのが、懐かしいなと思うね。
田口:戻りたくなりませんか。
ーーー練習するのは好きだけど、やっぱりあの過酷なリングで戦う覚悟はもう、持てないかな。けど、現役時間は貴重だから大事にしてほしい。
井上尚弥は別次元だった
ーーー田口君は、井上尚弥選手と日本タイトルの時にやっているけど、彼に対して意識することはある。
田口:いや、もう意識はしてないですね。
ーーーやっぱり強かったですか。
田口:強過ぎですよ。当時、チャンピオンになった時とか、意識してましたが、彼がとんでもなく上に行き過ぎてしまって...
マジで意識したら駄目だと思うんですよ。
彼は、別の人種なんだと思うようになったら、別にそんなに意識しなくなりました。
ーーー僕もこの間、小國(おぐに)選手の取材に行ったんですけど、なぜ田口選手が判定までいったかというと、スパーリングで井上選手とやっているからと話していた。
要はパンチの強さが分かっているから、耐えられたんじゃないかと言ってた。やっぱりパンチは強い?
田口:パンチは強かったですね。でもスパーリングでめちゃくちゃパンチがあると思ったんで、試合の時もそれを想定して試合に臨んだんです。だからそこがよかったのかなと思いますね。
ーーーそれ以上ではなかったと。
田口:気持ちでカバーしました。
ーーー想定できた?
田口:いや。やはり、すごく強かったです。自分がスパーリングをやった時より、さらに高く設定していました。
だから、気持ちの面でも高くしていたから我慢ができました。後は、自分自身がコンディションよく持っていけたというのもあると思います。
そのスパーリングの時は、黒田戦が終わって、練習に行ったり行かなかったりという状態だったので、ちょっと気持ちが落ちていました。
なので、試合の時はもっといい状態で臨めばいい勝負ができると思っていました。
モチベーションに左右される
ーーー僕もあの試合、同じ階級だったからライバルとして見に行って、すごいなと思ったよ。防衛戦を7回やってるけど、世界戦のときに一番強かった相手は誰かいる?
田口:やりづらさでいったら、カニサレスが強かったですけれど、バレラも強かったですね。気力というか、気持ちがすごかった。
ーーー例えば一番いい状態で臨んでいたら、ブドラーにも勝てたと思う?
田口:思ってます。これはちょっと言い訳がましいんですけど。
ーーーいや、全然そんなことはないと思うよ。それは、何か原因とかはある?
田口:減量と、あとはモチベーションが違いましたね。
ーーーメリンドに勝って、王座を統一して達成感はあるよね。その後の試合は、目標を見つけるのが結構難しかった?
田口:そうですね。コンディションをうまく持っていくのもそうですし、気持ちも持っていかないと、やっぱり勝てる世界じゃないな、と感じました。
ーーー戦う時は、モチベーションに結構左右される?
田口:自分は左右されると思います。だから井上くんの時も、やっぱりモチベーションが高かったです。
会長から言われたんですが、勝てばすぐ世界戦をやらせてやるという言葉だったり、統一戦のときも、勝てば2団体統一という部分であったりと、そういう意味でモチベーションが高かったです。
チャンピオンになってもわからない
ーーー趣味とか好きなことはある?
田口:友達とゲームをすることです。
ーーーこういう事をやりたいとか、そういうのはあったりしますか。
田口:カフェ、飲食系に興味があります。
ーーー好きな飲食のお店とかはありますか。
田口:ラーメンは好きなんですけれども、ラーメンは止めた方がいいかな。
ーーー近い階級とかで、やりたい選手とかはいる?
田口:一番は田中くんだったので、次とかは考えられないですね。まずここで勝たないと。
ーーーもう目の前の試合だけ。
田口:そうですね。
ーーー田口君にとってボクシングというのはどういう存在?
田口:人生を変えてくれたんで、本当に出会えてよかったです。
世界チャンピオンになりたいと思って始めましたが、チャンピオンになってもボクシングがどういう存在なのか分からないです。
だから一生、分かることはないと思います。
ーーー世界チャンピオンがそれを言ったら、みんな分からないと思うよ (笑)。
田口:人によってだと思うんですよね。木村さんは分かっているかもしれないですが、自分は7回防衛したけれども分からないですね。
ーーーだからこそ、楽しいと思えるよね。
田口:そうです。楽しくて、奥が深いです。
ーーー今日はありがとう。試合頑張って!
田口:はい。頑張ります。
いよいよ試合も明日に迫った。両者に取材に行ったが、田中も田口もコンディションは良さそうで、この試合に対するモチベーションは高い。
両者の意地とプライドがぶつかりあい、白熱した試合が期待できそうだ。幻の一戦がいよいよ幕を開ける!