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42歳。後悔しないように生きて来たのに、子のいない人生になりそうです~40歳からの婚活入門(15)~

大宮冬洋フリーライター
フリーライターの上林さん。新宿の老舗中華で食事しつつ話を聞きました。(筆者撮影)

 アラフォーの独身女性は生きづらいと思う。出産のリミットを感じながらの婚活は苦しいし、既婚者とはその辛さや孤独感を共有できない。話が合う友人知人がだんだん少なくなる。シングルマザーの場合はより深刻だ。幼い子どもがいると仕事・恋愛・趣味のいずれにも時間を取れず、母子で孤立しやすい。

 筆者は昨年末に電子書籍『40歳は不惑ですか、惑ですか』を自費出版した。既婚未婚それぞれの40歳男女に偏りなくインタビューして撮影をさせてもらう予定だったが、独身女性からは取材を断られることが多かった。「今の自分を書いてほしくないし、人からも見られたくない」といった理由がほとんどである。

 だからこそ、彼女たちの話を聞きたい。匿名でいいから、その状況と胸の内を教えてほしい。同じ40代として腹を割って語り合う気持ちで本シリーズを続けている。

***フリーライター、上林志野さん(仮名、42歳)の話***

「結婚したい」なんて私は一言も言っていないのに

 専門学校を卒業してからしばらくは会社員をしていました。独立をしたのはちょうど30歳のときです。それからしばらくは仕事に必死で恋よりも大事だった、というのは言い訳でしょうか……。いつの間にかアラフォーになっていました。

 子どもの頃から、「いつか結婚して子どもを作るんだろう」と思っていたので、この年齢で独身だということにはコンプレックスがあります。「どうして結婚しないの?」なんて露骨に言われたことはありませんが、そういう目で見られているんだろうなと思ってしまいます。「お子さんは?」なんて悪気なく聞いてくる人はいますからね。

 誰かを好きになることはたまにあります。好みのタイプは「人当たりの良い変わり者」です。35歳のとき、音楽フェスでデイトレーダーの男性と知り合いました。私より2歳年上。話すことが面白くて、気遣いもできる人。もちろん男女関係でしたけど、「付き合っている」とは言わないんです。ちょっとズルいですよね。1年ぐらいしてから「結婚はできないから」と振られてしまいました。私は「結婚したい」なんて一言も言っていないのに……。

 一昨年の春ごろまでは、仕事仲間の男性が好きでした。私より4歳ぐらい下のすごく仕事ができる人です。指示が的確で、ちょっとしたことでも相談したらちゃんと返してくれるんです。仕事ばかりしているけれど、俳優の田辺誠一似のイケメンなのでモテると思います。彼が異動になってしまうとき、「一度飲みに行きたいです」とメールしたら「またお仕事があればよろしく」とつれない返信。これはダメだな、まったく脈がないと思いました。

 昨年の夏は、中学校時代の同級生と集まる機会があり、当時はほとんど話したことがなかった男性が気になりました。自分で事業をしている有名人です。有名だから好きになったわけではなく、みんなに気遣いできるところがいいなと思いました。その場にいる人を一人も置いてけぼりにしないんです。「この人はズレてない!」と思ってメールをしました。返信はありませんけど……。

スタイルの良い上林さんはロングのギャザースカートを上手に着こなしています。(筆者撮影)
スタイルの良い上林さんはロングのギャザースカートを上手に着こなしています。(筆者撮影)

明るく振る舞っているけれど、本当は根暗でネガティブな私

 私は明るく振る舞っているように見えますけど、本当は根暗でネガティブなんです。何かあるとすごく落ち込んで、お風呂の電気を暗くしてキャンドルを灯したりしています。でも、そういう暗いところはあまり人に見せたくありません。

 ある人から「仕事は一生できるけれど、子育てはいましかできないよ」と言われたことを思い出しています。でも、私は今年43歳になります。今年中に結婚できなかったら子どもはあきらめようかな。後悔しないように生きてきたつもりなのに、子どもは産めるものだと当たり前のように思っていたのに、このままでは50歳ぐらいですごく後悔しそう……。

 でも、子どもがいたら、仕事と子育てのどちらかが疎かになるとも思います。私の周囲には子育て中の女性がたくさんいますが、遠方への出張は行けません。私はどこでも行けるし泊り取材も歓迎なので重宝されています。

 結婚相談所にも登録しようと思ったことがあります。でも、面談してくれた人から「あなたはここに入るべき人じゃない。結婚よりも恋愛がしたいんでしょう。ならば、オープンな気持ちで暮らしたほうがいい」と言われました。やっぱり私はそうなんだ、と少しだけ開き直ることができました。

 最近は、40代でも参加OKなゆるい婚活サークルに参加したりしています。今のところ好きな男性はいませんが、焦らずに生活していこうと思っているところです。

***筆者より上林さんへ***

結婚はいつでもできます。モテる50代を目指しましょう

 基本的に仕事が好きで、「暗さ」を抱えながらも一生懸命に生きている上林さん。「今年中に結婚できなかったら子どもはあきらめる」という年齢を迎えて、毎日のように気持ちが揺れ動いていることが伝わってくるインタビューでした。

 子どもに関しては、大学時代の同級生と結婚して現在41歳の筆者も他人事ではありません。「子どもはいたら嬉しいし、いなくても楽しく暮らしていこう」と妻と話しつつ、お互い40歳を超えてしまいました。子のない人生はほぼ確定です。

 それでも結婚して良かったと思います。他人には言えない悩みなどを妻だけには打ち明けることができるし、日々のちょっとした腹立ちなどは2人で晩酌しながら笑い飛ばすことができます。僕も上林さんに負けないぐらい暗い性格ですが、結婚した今は少し朗らかになったと我ながら思います。

 出産には限界がありますが、結婚はいつでもできます。最近、50代60代で結婚(再婚も含めて)する女性が目立ちますよね。一人でも生きられる経済力と生活力を持ち、なおかつ美しい女性が増えた結果だと僕は思います。上林さんが結婚相談所の人にアドバイスされたように、「オープンな気持ちで暮らす」ことも大事です。「私には私なりの魅力がある。いつでも人を好きになれるし、好かれることもあるだろう」ぐらいの心構えを持ちましょう。上林さんにはそれだけの魅力があります。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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