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大谷翔平からメジャーリーグを観ようと思っている人へ【その7】野手と投手を比較できるWARについて

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)Feb 24, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ごく簡単に言うと、WAR(ウォー)は「打撃」「走塁」「守備」「投球」の成績を組み合わせたものだ。計算は極めて複雑で、ポジションや球場なども関係する。

 正式名称はWins Above Replacement(ウィンズ・アバーブ・リプレイスメント)。容易に取り換え(リプレイスメント)が効く、メジャーリーグとマイナーリーグの境目あたりにいる選手と比べ、何勝分の貢献があったかを示す。

 他の指標と違い――この点もわかりにくさの一因だと思うのだが――WARは算出方法が統一されていない。例えば、ベースボール・リファレンス(Baseball Reference)とファングラフス(FanGraphs)、どちらのサイトのWARであるのかをはっきりさせたい場合は、それぞれ「rWAR(アール・ウォー)」「fWAR(エフ・ウォー)」として区別する。

 大雑把な数値の見方は、rWARなら、8.0以上=MVP、5.0以上=オールスター選手、2.0以上=レギュラーといったところだ。fWARはもう少し数値が低い。いずれも、マイナスの選手もいる。

 とりあえずは、ここまで知っておけば十分ではないだろうか。

 昨シーズンのトップ10は以下のとおり。rWARもfWARも錚々たるメンバーながら、多少の違いがある。また、MVPに選ばれたのは、ナ・リーグがジャンカルロ・スタントン(マイアミ・マーリンズ/現ニューヨーク・ヤンキース)、ア・リーグはホゼ・アルトゥーベ(ヒューストン・アストロズ)だった。このことからも窺えるように、WARは絶対的な指標として誰からも認められているわけではない。

ベースボール・リファレンスとファングラフスより(筆者作成)
ベースボール・リファレンスとファングラフスより(筆者作成)

 ただ、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)の登場によって、WARはこれまで以上に用いられることになりそうだ。WARであれば、「二刀流・大谷」の貢献度を、一つの指標で他の野手や投手と比較できる。

【その1】プレーオフ進出チームは全体の3分の1

【その2】アストロズはプレーオフで最も負けた王者に

【その3】田中将大と大谷の対戦は4・5月に計6試合

【その4】クオリティ・スタート(QS)について

【その5】OPSについて

【その6】チームの略称と愛称。LAAと「天使の輪」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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