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安藤優也コーチ「時間を大切に」、新井良太コーチ「全力でサポート」《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
来季のファーム育成コーチ就任会見に臨んだ、安藤コーチ(左)と新井コーチ(右)。

 きのう23日の午後、阪神タイガース2018年度の監督とコーチが発表されました。1軍とファームでの入れ替えや、新しく就任した顔ぶれもあります。

 

【1軍】

監 督         6  金本知憲 (49) 

ヘッド兼打撃コーチ  81 片岡篤史 (48)

作戦兼総合コーチ   70 高代延博 (63)

チーフ兼守備走塁コーチ78 平田勝男 (58)

投手コーチ      90 香田勲男 (52)

投手コーチ      73 金村 曉 (41)

バッテリーコーチ   82 山田勝彦 (48)

打撃コーチ      76 平野恵一 (38)

内野守備走塁コーチ  71 久慈照嘉 (48)

外野守備走塁コーチ  87 中村 豊 (44)

トレーニングコーチ  91 伊藤敦規 (54)

【ファーム】

監 督        88 矢野燿大 (48)

投手コーチ      72 高橋 建 (48)

投手コーチ      85 福原 忍 (40)

バッテリーコーチ   89 藤井彰人 (41)

打撃コーチ      79 濱中 治 (39)

守備走塁コーチ    74 藤本敦士 (40)

守備走塁コーチ    96 筒井 壮 (43)

育成コーチ      86 安藤優也 (39)

育成コーチ      83 新井良太 (34)

 このほど現役を引退したばかりの安藤優也氏新井良太氏の2人が新しく加わりました。きのう就任会見があり、早速きょう24日から甲子園球場で始まった秋季練習に参加しています。新しいユニホーム姿で、ぴかぴかの新コーチを見に行けなくて残念ですが、きょうは23日に行われた新コーチ就任会見の模様をお伝えします。

安藤コーチ「厳しくしていこうかなと」

 会見は安藤氏、新井氏の順にお昼を挟んで行われました。できるだけ全コメントを再現しつつ、言い回しなど細かい部分を少し変えたところもあります。ご了承ください。まず安藤優也新コーチ(以降も“コーチ”と表記)です。

就任会見に臨む安藤コーチ(右)と高野本部長。
就任会見に臨む安藤コーチ(右)と高野本部長。

 安藤コーチと2人で着席した高野栄一球団本部長から、最初に経緯の説明がありました。なお高野本部長のお話は、まとめさせていただいています。

 「長年、阪神タイガースで選手として大活躍してくれた安藤さんを見ていて、人柄とか野球に対する真摯な取り組みとか、契約更改の場でも野球に対する指導者としての素質十分だと感じておりました。大いに阪神タイガースに貢献してくれるということを確信しております。ぜひ安藤新コーチをよろしくお願いいたします」

 続いて、テレビの代表インタビューが行われました。質問は要約していますが、質疑応答の形式でご紹介します。

★コーチとして来シーズンを迎えることになりました。率直な今の気持ちを。

 「初めてのことなので多少、不安はありますけども、タイガースのユニホームを着られるということで、楽しみな部分が大きいです」

★具体的にはどういったところが楽しみですか?

 「またタイガースのユニホームを着て、若手と一緒に野球ができるというのが嬉しいですね」

★金本監督から何か言葉は?

 「厳しくしてくれという話がありましたので、厳しくしていこうかなと思います」

★理想の指導者像はありますか?

 「そうですね。初めてなので、理想というのはまだ正直わからないんですけども、これから僕もいろいろ勉強していって、自分の理想を見つけていきたいなと」

★近いところで選手を知っているため指導しやすのでは?

 「ことしずっとファームで若手と一緒にやって、性格とか投げるボールとかわかっていますので、そのへんはすごく入っていきやすいのかなと思います」

★どんなピッチャーを育てていきたいですか?

 「ことし1年見ていて、ブルペンではすごくいいボールを投げるピッチャーが多いので、そのブルペンで投げるボールを実戦で投げられるように、自分のボールを試合で出せるように、そういう指導をしていきたいです」

★それは心の面も、ということですか?

 「技術プラス心の面、精神的な面というところが、かなり重要になってくると思うので。ピッチャーは。はい。精神的な部分もいろいろ教えていけたら」

★今のタイガースの投手陣全体を見て、課題は何でしょう?

 「ことしに限っていえば…リリーフは12球団でトップクラスの力があると思うので、課題というのであれば、ことしに限っていえば先発投手陣かなというふうには思っていますね」

★若い選手もどんどん先発できるように?

 「そうですね。先発、長いイニングを投げられるピッチャーが出てきてほしい思いはありますね」

★特に期待する投手を、もし可能なら挙げていただけますか?

 「全員です」

★一番これをテーマにやっていきたいということがあれば。

 「僕も40まで現役やりましたけども、現役生活はあっという間なので。その“あっという間だよ”ってことをまず伝えて、時間を大切に、そして自分の野球道というのをもっと貪欲に突き詰めてほしいですね」

★改めて、コーチとしての意気込みをお願いします。

 「初めてなので、いろいろ僕も勉強しながら若手と一緒に成長できたらいいなと思います」

対話をしながら一緒に成長できれば

「厳しくして」のあとに「いこうかな」と続くのが、安藤コーチらしいですね。
「厳しくして」のあとに「いこうかな」と続くのが、安藤コーチらしいですね。

 このあとフォトセッションがあり、最後は記者陣による囲み取材でした。

・コーチの打診を受けて、迷いはなかったですか?

 「多少やっぱりありましたね。初めてだし。コーチはルーキーなので、経験がないし、不安もありますし。多少は迷いました」

・決心したのは?

 「やっぱり16年間タイガースでお世話になって、そういう打診があった時点で、やっぱりタイガースのために僕も少しでも力になりたいなという思いはあったので、まあタイミングかなと」

・いずれは指導者という思いは?

 「そうですね、いずれは指導者という道を目指したいという気持ちがあったので、それが今のタイミングでありましたので、迷いましたけども決心しました」

・今までいろんなコーチに教わったと思いますが、自分の中でこういうコーチにというのはありますか?

 「自分の理想ってのは、さっきも言いましたけど、わからないので、まだ正直。これから自分なりに求めていきたいなっていうところですね。コーチ業を」

・ことしまで現場にいて、これから選手との距離感というのはどうなるでしょう?

 「去年まで一緒にやっていた福原さんもそうでしたけど、コーチという立場に変わるので、そこはやっぱり選手とは一線を引いて。金本監督には厳しくしてくれと言われていますので、厳しくしていきたいと思います」

・藤浪投手も、ことしファームにいましたね。

 「僕も藤浪を見ていて、いろいろ感じることもあったんですけどね。逆にコーチの立場として来年、ことしの秋から指導する機会があれば自分の思っていることを言ってあげたいなという思いはあります。まずは藤浪自身がどういうふうに思っているのか、どういうふうな気持ちでやっているのかを話しながら、対話しながら。自分の経験とか思いを押しつけるんじゃなくて選手の思いを聞いて、一緒に考えていけたらいいかなと」

厳しい表情が多かった安藤コーチですが、最後にこんな笑顔も。
厳しい表情が多かった安藤コーチですが、最後にこんな笑顔も。

・コーチとしてはいつから?

 「あした(24日)の秋季練習からは、もうコーチとして、です」

・若い、楽しみなピッチャーが多いですね

 「ほんとに、いい球を放る選手が多いんで、どうやって実戦で生かしていくかっていうのがテーマになってくる。そういう技術面とか精神面とか教えていけたらいいですね」

・会見で、ブルペンではいい球を投げるという話がありました。実戦で出せないのはなぜでしょう?

 「どうなんですかねえ。いろんな精神的な部分もあるでしょうし、精神的な部分が大きいんですかね。それも含めてアドバイスしていきたい」

新井コーチ「全力でサポートしたい!」

 お昼すぎに行われた新井良太新コーチの会見も、同じく高野本部長のお話から始まっています。

 「このたび新井良太さんにファームの育成コーチを打診し、快諾をいただきました。新井新コーチは人柄とか野球に対しての情熱がすごくあり、また年齢も若いので、ファームの方ではたくさん汗を流すといいますか若い選手とともに指導してくれるというところを最大限の理由として、育成コーチとしてやってもらうことになりました。どうかよろしくお願いします」

 続いて、代表インタビューでのやり取りです。

テレビのインタビューに答える新井コーチ(右)と高野本部長。
テレビのインタビューに答える新井コーチ(右)と高野本部長。

★コーチに就任が決まった、今の気持ちを教えてください。

 「光栄なことですし、すごく責任があるといいますか、重く受け止めて身が引き締まる思いです」

★理想のコーチ像はありますか?

 「コーチというのはサポートをする立場なので、誠心誠意、一生懸命サポートしていけたらいいなと思います」

★選手に一番歳が近いコーチになりますね。

 「そうですね。ことしずっと長いことファームにいて、若い子たちもいろいろ話を聞きにきてくれていたので、そういう面でもより親身になってサポートしていきたいです」

★金本監督から指導法について何か?

 「僕が、一生懸命サポートさせていただきますと言ったら『頼んだぞ』という言葉だけいただきました」

★こんな選手を育てたい、というのはありますか?

 「やっぱり、タイガースの勝利に貢献できて、多くのファンの方から応援してもらえるような選手を、育てていくって言ったらおこがましいですけど、そういう選手をサポートできたら」

★和製大砲を待ち望むファンも多いですが、そのあたりは?

 「とにかく若い子が1軍の舞台で、1本でも多くヒットやホームランを打てるように、全力でサポートしていくのが役目だと思っています」

★選手に伝えたいこと、テーマとしていきたいことは何ですか?

 「引退会見でも言いましたけど、気持ちだったり声だったり、そういうものは、メンタルな部分は大事だと思うので、技術ももちろんですけど両方を。メンタルと技術の両方を、少しでも伝えていけたら」

引退会見とはまた違った、少し引き締まった面持ちの新井コーチ。
引退会見とはまた違った、少し引き締まった面持ちの新井コーチ。

★期待している選手を挙げていただければ。

 「若い子、全員です!」(かぶせ気味に即答)

★また新井さんのユニホーム姿が見られて嬉しいファンの方々は多い。ひとこと

 「若い子、たくさん応援してあげてください!」(ここはしばらく考えての答え)

向かい合って、真正面からぶつかって

 安藤コーチと同じく、このあとフォトセッション、そして記者陣による囲み取材が行われています。

・コーチを引き受けるという結論はすぐに?

 「そうですね、こういうお話をいただいて。で、決めました」

・ご家族や、お兄さんは何と言われましたか?

 「相談はしていないですね。こういう話をいただいたから、やらせていただこうと思っているっていう報告というか、それぐらい。兄からは『真摯に取り組め』と。『後輩たちをしっかりサポートしていけ。今まで通り変わらずやっていけ』と言われました」

・サポートという言葉がたくさん。教えることとは、また意味が違う?

 「いや、まあ教えるのも入ると思うんですけど、やっぱり主役は選手なんでね。プレーするのは選手、主役は選手と思っているので。1軍の舞台で1本でも多くヒットやホームランを打てるようにサポートしていきたいっていう気持ちが強いですかね」

・球団から一番求められているのは何だと思いますか?

 「やっぱり選手と歳も近いですし、僕に言ってきやすい部分も多々あると思うので、そこをこう…何て言うんですかね。一個の問題に対して一緒に解決していくっていう、そういうのもやっていかなくちゃいけないのかなと思いますね、自分では」

・いわゆる橋渡し役を?

 「まあやってみないとわからないので、こればっかりは。とりあえず全力でぶつかっていきたいなと思いますね」

・ことしファームでやっていて感じた、若い子の課題は何でしょう?

 「それは人それぞれあると思うんですけど、有望な若い子が大勢いるんでね。何とか1軍の舞台で活躍してもらえるようにね。それが技術面なのか、メンタル面なのかっていうのは、たくさんコミュニケーションを取って見えてくるものだと思うので、とにかく真正面からぶつかってやっていきたい」

・楽しみですか?

 「楽しみっていうよりは、やっぱりすごく責任がありますよね。自分のことじゃないので。若い子の将来がかかってくるわけだから。なので先ほども言ったように、全力で向かい合ってやっていきたいと思います」

フォトセッションでの高野本部長(左)と新井コーチ(右)。
フォトセッションでの高野本部長(左)と新井コーチ(右)。

「時間を大切に、もっと貪欲に」

 以上が新コーチ2人の就任会見の模様です。安藤コーチは「厳しくします」と2度言い、それを実践したような表情でしたが、きっと温かくて優しいコーチになるでしょうね。指導は厳しくても、どこかで選手たちを包んでくれるようなコーチに。以前ご紹介した「聞いてくれたら何でも教えますよ!どんどん聞いてと言っといてください」という若い投手陣への言葉も忘れられません。

 新井コーチも、会見の最後で「若い子を応援してください」と締めくくったファンへの言葉に表れている通り、ファームでは「僕はいいから若い子に聞いてあげて」と取材を若手に譲ったことも何度かありました。それでいて誰より大きな声で盛り上げる。若手が慕って当然ですよね。これからは鳴尾浜で筒井コーチとともに、選手より大きな声が飛ぶでしょう。選手も負けないように頑張ってもらわないと。

 野球選手にとって技術はもちろん、メンタルな部分も、自分自身が長い時間をかけて培ってきた大切な“財産”なのです。それを惜しみなく与えてくれる先輩がいるなんて、ものすごくありがたいこと。感謝しながら、その貴重な財産を1つ残らず吸収できるよう祈っています。しっかり甘えて、しっかり教わりましょう!

 安藤コーチが会見で話した、16年間の現役生活も“あっという間”だったという言葉は印象的ですね。だからこそ「時間を大切に、もっと貪欲に」と諭してくれました。それを今すぐ理解しろというのは難しいかもしれないけど、できるだけ早く実感してほしいと思います。願わくは…若手と呼ばれるうちに。

     <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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