ブラジルの名門に加入したウルグアイ屈指のストライカーが早くもハットトリック!
おそらく最後のW杯になるであろうカタール大会で、ルイス・スアレス(35)はゴールを挙げられなかった。ウルグアイは1勝1敗1分けでグループステージ敗退。得失点差で韓国に2位の座を奪われ、彼の4度目となるワールドカップは終わった。
そのスアレスが母国の雄、ナシオナル・モンテビデオを退団し、ブラジル1部リーグのグレミオへと移籍した。そして現地時間17日に、リオグランデ・ド・スル州スーパーカップのサン・ルイス戦で現地デビュー。38分間でハットトリックを飾った。
開始5分に左サイドからボールを受け、キーパーの頭上を越えるループで先制点ゴール。32分にも左サイドからボールをもらい、キーパーの動きを見ながら冷静にグランダーのボールを蹴り込む。その6分後には、クロスを味方がヘディングで落としたところに待ち構えてのボレー。前半だけで3度ネットを揺らした。
サン・ルイスは格下だが、グレミオファンを狂喜させるには十分なパフォーマンスで、チームも4-1で勝利した。
グレミオは2021年末に2部に落ちた。1991年、2004年に続き、クラブ史上3度目となった降格は、当然のことながらファンを失望させた。クラブ再建を託されたのは元セレソンで、ヴィッセル神戸でプレーした経験もあるホージェル・マシャド・マルケス。
昨シーズンは2部内で好調を維持しながら、ずっと1年での返り咲きを狙える位置にいた。とはいえ、2部リーグの試合を見るためにスタディアムに足を運ぶファンは激減。コロナ禍もあり、スタディアムは閑古鳥が鳴いていた。
そこで、グレミオの会長であるロミルド・ボルザン・ジュニアがとった策は、クラブのレジェンドであり、監督としても同チームをリベルタドーレス杯で勝たせたレナト・ポルタルッピに、また指揮を執らせることであった。
マルケスには気の毒だが、レナトの存在感は流石の一言であり、チームの士気を大いに高め、今季は1部リーグを戦う。そして、新シーズンを迎えるにあたって、グレミオが点の取れるストライカーとして白羽の矢を立てたのが、ウルグアイ代表の背番号9だった。スアレスは2年契約を結んだ。
レナト監督もスアレスのグレミオ・デビューを絶賛した。
「これ以上の結果は無いね。ファンも我々も彼を信じている。ルイスは、自分がいかなる目的でここに来たのかを示した。彼はとても謙虚で、すぐチームに溶け込んだよ。彼は目立つことや特別扱いを求めず、他の選手と同じようにやりたいんだ」
スアレスと言えば、アヤックス時代の2010年、PSVのオトマン・バッカルを、リヴァプール時代の2013年、チェルシーのブラニスラフ・イヴァノヴィッチを、2014年のW杯ブラジル大会のイタリア戦ではジョルジョ・キエッリーニに噛みつきを行ったことでも有名だ。
7つ目となる所属チームの監督、レナトも現役時代は女性遊びの度が過ぎ、セレソンのキャンプ中に門限を破って代表を外された過去を持つ。エゴイストでありながら、超一流のFWである点が共通している。
レナトがブラジルの地でスアレスの良さをどのように引き出していくか。ウルグアイが誇る稀代のストライカーが、グレミオのユニフォームを着てどんなプレーを見せ続けるか。心が躍る。