フィリピン沖の熱帯擾乱の動向に要注意
台湾付近へ北上の可能性も
タイトル画像にある通り、現在、フィリピンの東海上に雲域がまとまってきており、低圧部が解析されています。
低圧部とは雲の循環は認められるものの、その中心付近がはっきりとしない熱帯擾乱(ねったいじょうらん)のことで、中心付近がはっきり分かるようになると、熱帯低気圧に名前が変わります。熱帯低気圧からは台風が発生することが多々あるため、低圧部はいわば台風のもとになる種のような存在です。
気象庁の予想では、今のところ、この低圧部はあす13日(木)からあさって14日(金)にかけてフィリピンの北部付近へ進み、あまり発達するような予想ではありませんが、アンサンブル予報では気になる計算も少なくありません。
参考までに上図は気象庁が発表しているアンサンブル予報の一部です。今ある低圧部は週末までに熱帯低気圧と思われる状態に発達し、台湾付近へ北上する計算で、この熱帯低気圧に伴う広範囲に及ぶ暖湿流が沖縄から週明けには九州付近へ到達する予想です。
今のところ、このように熱帯低気圧(一部は台風の勢力)と思われる勢力に発達する計算は全体の半分くらいで、その内半分くらいは南シナ海方面を指向するため、熱帯低気圧が台湾付近へ進む計算は20%から30%くらいとなっていますが、今後これらの計算に傾いてくると、週末の沖縄はもちろん、週明けに九州付近へ活発な雨雲が北上してくる可能性もあるため、注意が必要です。
九州に暖湿流が届く可能性も
上図は週明け17日(月)の降水域の予想です。上述した熱帯擾乱ははっきりとしないものの、それに伴う暖湿流が沖縄付近に広範囲に広がり、九州付近へ到達する予想です。
太平洋高気圧が強まれば、これらの雨雲は九州へ到達すことなく、朝鮮半島の方へ北上していくため、今のところ、メインシナリオではなく、サブシナリオという状態ですが、大雨による災害が発生した九州だけに、サブシナリオがメインシナリオにならないか、最新の計算を注視していかねばなりません。
週末にかけて北陸や東北日本海側で大雨に厳重警戒か
梅雨前線は週末にかけて日本海から北陸や東北を指向し、前線の活動が活発となるため、北陸から東北にかけて、断続的に大雨となるおそれがあります。
特に15日(土)の未明から日中にかけて、東北の日本海側で危険度が急上昇するような大雨となるおそれがあり、コンピュータの計算では、新潟から秋田にかけて、局地的に300ミリから500ミリ近いような顕著な大雨が計算されています。
すでに気象庁からは大雨に関する気象情報が広範囲に発表されていますが、特に週末にかけては北陸や東北の日本海側で厳重な警戒が必要となりそうです。