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またも高温世界記録 米デスバレー「史上もっとも暑い月」

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

連日アジア・欧州などの記録的高温が伝えられている今夏ですが、アメリカ西部でも異常な暑さが続いています。7月にはロサンゼルス近郊で日中の気温が47℃に達するなど、所々で観測史上最高気温を記録しているのです。

中でもカリフォルニア州東部のデスバレーでは、世界でこれまで観測されたことのない暑さが続いています。

今年7月、最高気温が53℃の日が4日間連続して記録されるなど高温が続き、月間平均気温(最高気温と最低気温の平均)が42.3℃となりました。これは世界の観測史上もっとも高い月間気温の記録です。これまでの記録は同じくデスバレーで去年観測された41.9℃でした。つまりデスバレーでは2年連続して世界記録が作られているのです。

NOAAのデータを元に筆者作成
NOAAのデータを元に筆者作成

山火事の大発生

高温と少雨の影響で、カリフォルニア州では多数の山火事が発生しています。

ロイター通信によると、これまでのところ1,800軒が焼失、少なくとも8人が死亡したとのことです。また焼失面積はロサンゼルス全体、もしくは横浜市3つ分の広さに匹敵する1,300平方キロに及んでいます。山火事のピークを迎える前にこれほど甚大な被害が発生していることから、今年はここ10年間で最悪の山火事の年となる可能性が指摘されています。

アメリカ西部では近年、山火事の発生数が増加しています。ワシントン大学の調査によると、アメリカ東部などでは大気汚染レベルが1988年から劇的に改善しているものの、カリフォルニア、オレゴン、ワシントン、ネバダ州などの西部では急激に悪化しているとのことです。

(↑カリフォルニア州の山火事で発生した火災旋風の様子)

デスバレーが暑い理由

デスバレーといえば、世界一暑い場所として知られています。1913年7月に日中の気温が56.7℃まで上がり、これが世界最高気温記録として登録されているためです。

ではなぜデスバレーは暑いのでしょうか。

それはこの場所が高い山に囲まれ、海抜がマイナス86メートルと、アメリカでもっとも低い場所であるためです。このために熱い空気が溜まって高温となるのです。かつてデスバレーでは地表面の温度が93.9℃に達したこともあり、文字通り死に至るほどの過酷な環境を持つ谷なのです。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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