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不必要に積まれている国の基金は、見直しによって国庫返納がどれだけ進んだか

土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)
政府は「無駄の温床」とも揶揄される国の基金の見直しを進めたが、その結果やいか(提供:イメージマート)

拙稿「『無駄の温床』とも揶揄される国の基金は、どう見直されたか」(Yahoo!ニュース・エキスパート)で取り上げた基金の点検・見直しによって、どれだけ国庫返納が行われることになったか。

そもそも、国の基金は、複数年にわたって実施すべき事業の財源として公益財団法人などに設置される。基金が一旦設置されると、支出するまではそこにお金が貯められている。

基金として余分にお金が貯められていて、すぐには使わないということなら、それを有効活用するためには、基金を取り崩して、他の費目に使えるよう国庫に返納することが必要である。

前掲拙稿でも述べたように、コロナ禍で、国の基金残高が2022年度末には16兆5733億円にまで急増した。すべてが無駄に貯められているというわけではないとはいえ、すぐには使わなさそうな基金もありそうなほど、残高は多い。

そこで、政府は152の基金(対象の基金事業は200)について、点検・見直しを行った結果、2023年度に4342億円、2024年度に1124億円を国庫に返納することとした。

16兆円余も残高がありながら、今般国庫返納することとした額は5400億円余である。

これを、多いというか少ないというか。どう評価すればよいかというと、

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慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』中央公論新社、『入門財政学(第2版)』日本評論社、『入門公共経済学(第2版)』日本評論社。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議構成員、政府税制調査会委員、国税審議会委員(会長代理)、財政制度等審議会委員(部会長代理)、産業構造審議会臨時委員、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進会議WG委員なども兼務。

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