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6月から1人年額1000円の「森林環境税」導入。それって増税なの?

土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)
2024年度から森林環境税が導入される(写真:イメージマート)

024年度から、1人年額1000円の「森林環境税」が導入されることとなった。6月から徴収が始まる。

森林環境税は、森林整備等のために必要な費用を国民一人一人が広く等しく負担を分任して森林を支えるべく課税することとした。

林野庁「森林環境税及び森林環境譲与税」

実は、森林環境税は、2019年3月に森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律が成立したことで、2024年度からの導入が既に決まっていた。その当時、この新税導入の是非をめぐり激しい議論があったかというと、そうではない。強い反対もなく、あっさり導入が決まったといってよい。

森林環境税の仕組みは、少し複雑だ。それというのも、森林環境税は、国税であり、税収は国に入る。しかし、国が直接課税するものではない。個人住民税均等割の枠組みを用いて、1人年額1000円を市町村が賦課徴収するものである。

そもそも、個人住民税は、都道府県と市町村が個人に課す税である。個人住民税には、所得に比例して課す所得割と、1人当たりに同じ額を課す均等割がある。その個人住民税均等割の仕組みを使って、森林環境税が課される。

個人住民税の標準的な税額は、都道府県が1人年額1000円、市町村が1人年額3000円、計4000円である(ただし、一部の県や市町村ではこれに上乗せした課税をしている)。

森林環境税は、この4000円に加えて、もう1000円上乗せして課し、市町村が一旦徴収し、それを国に納付するという仕組みとなっている。

では、森林環境税として1000円を追加して課すということは、新たな負担となる増税なのか。実はそれは、

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慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』中央公論新社、『入門財政学(第2版)』日本評論社、『入門公共経済学(第2版)』日本評論社。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議構成員、政府税制調査会委員、国税審議会委員(会長代理)、財政制度等審議会委員(部会長代理)、産業構造審議会臨時委員、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進会議WG委員なども兼務。

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