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実はノルウェー生まれ!『3びきのやぎのがらがらどん』続編が現地で大人気

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
Gry Moursundによる子どもの落書きのようなイラストも好評

3匹のヤギが山へと出かける途中、橋の下にいる妖怪トロルに邪魔をされる物語を読んだことはあるだろうか。

『3びきのやぎのがらがらどん』は、実はノルウェー生まれ。

今、この続編『Bukkene Bruse』(ブッケネ・ブルーセ)シリーズが、現地の子どもたちの間で大人気!ベストセラーとなっている。

2作目の山へ出かける編 Illustration: Gry Moursund
2作目の山へ出かける編 Illustration: Gry Moursund

3匹のヤギと、なにかしらイタズラをしてくるトロルという設定は同じ。

カラフルで、まるで子どもが落書きしたかのような絵のデザインが、以前の作品とは違う。現地では4~8才向けとされている。

生まれ変わった作品はBjorn F. Rorvik作、Gry Moursund(イラスト)によるもの。

1作目はヤギたちがプールへと遊びに行く話(2009)、2作目は山へと遠足に出かける話(2016)、3作目は学校に始めて登校する日の話(2017)だ。

ウサギ、ウマ、ブタなど、たくさんの動物の友人たちが登場する。1ページに何匹もの動物が描かれており、ごちゃごちゃとした風景は見ていて飽きない。

この絵本は発売当時から話題となり、地元の新聞などでも絶賛され、今でも本屋にはおすすめのシリーズとして店頭に目立つように並べられている。

生まれ変わった1作目プール編 Illustration: Gry Moursund
生まれ変わった1作目プール編 Illustration: Gry Moursund

Cappelen Damm出版社の担当者アンネ・オステゴール氏に、人気の秘密を聞いた。

人口がおよそ520万人のノルウェーでは、初版の発行部数は2000~2500部が一般的だそうだ(少ない時には1500部)。3冊目の学校編はすでに6万部発行され、3シリーズ全部では40万部という驚異の数字を叩き出しているという。

本の人気の秘密は何だと思いますか?

「恐らくすでに有名だった絵本が、予想もしなかったストーリー展開を迎えること。3匹のヤギとトロルという親しみあるキャラクターが再登場し、大人と子どもの両方が楽しめるイラストが人気の理由ではないでしょうか。カラフルで無邪気なイラストは、子どもの落書きのようです」。

「作家のロールヴィクは、非常に上手な語り手でもあります。学校、図書館、幼稚園や保育園など、子どもと大人がいるところに頻繁に出かけています」。

「善と悪の闘い、小さなものが大きいものと闘うという、全世界共通の昔話ならではの要素もあり、他国でも好評です」。

日本では未翻訳

3作目の学校編 Illustration: Gry Moursund
3作目の学校編 Illustration: Gry Moursund

絵本は現在、デンマーク、フェロー諸島、スウェーデンなどの北欧各国、フランス、ドイツ、中国、韓国で翻訳された。日本ではまだ翻訳されていないが、出版社側は日本でもぜひ翻訳版を出せれば、と希望しているそうだ。

ノルウェーではすでに劇場化もされている。

筆者も小さい頃に『3びきのやぎのがらがらどん』を読んだ。まさかノルウェーからの話だったとは思わなかったので、こちらに引っ越してから知り、驚いたことを覚えている。

ノルウェーでは妖怪トロルが親しみある生き物として生活に溶け込んでいる。お土産屋などでも販売されており、当時はこのトロルと、『3びきのやぎのがらがらどん』のトロルが同じものだと、リンクするまでに時間がかかった。

お土産屋などで売られているトロル Photo: Asaki Abumi
お土産屋などで売られているトロル Photo: Asaki Abumi

ノルウェー語のストーリーがわからなくとも、イラストを見ているだけでも楽しめるのではないだろうか。

Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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