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一時的な暖かさの雨の週明け

饒村曜気象予報士
日本海と黄海に広がる雲(令和元年(2019年)12月1日8時50分)

暖気流入の日曜日

 令和元年(2019年)の師走の入りは、日本列島に真冬並みの寒気をもたらした高気圧が日本の東海上に去り、日本海と黄海で発生した低気圧によって暖気流入で始まりました(図1、タイトル画像参照)。

図1 地上天気図と気象衛星画像(12月1日3時)
図1 地上天気図と気象衛星画像(12月1日3時)

 このため、12月1日(日)は、最高気温は11月末のほぼ全国的に平年を下回った状態から、北陸や九州・沖縄では平年より高い状態まで、その他の地方でも平年並みの状態まで上昇する見込みです。

 ただ、気温は上がりますが、北日本は日本海にある低気圧の通過によって日本海側を中心に昼前から雨か雪が降る見込みです。

 また、西日本も黄海にある低気圧によって日本海側を中心に雨となり、所により雷を伴って激しく降るでしょう。

 そして、西日本に雨を降らせた低気圧は、発達しながら週明けの2日(月)に北海道に進みますので、沖縄で晴れる他は、ほぼ全国的に雨、北海道は雪が降るでしょう(図2)。

図2 予想天気図(12月2日21時の予想)
図2 予想天気図(12月2日21時の予想)

 最高気温は、北海道で平年並みの他は、平年より高いところが多い予報となっていますが、週明けの暖かさは一時的です。

 次の寒気が南下してくるからです。

次の寒気南下

 寒気の南下を見るのに、上空約5500メートルで、氷点下30度以下の温度に着目したり、上空約1500メートルで、氷点下6度の温度に着目したりします。

 日本列島が真冬並みの気温となった11月下旬は、上空約5500メートルの氷点下30度の等温線は佐渡島まで南下していました。

 その氷点下30度の等温線は、12月1日(日)にはサハリン島の中部まで北上していましたが、3日(火)には津軽海峡付近まで南下してきます(図3)。

 北海道は、上空約5500メートルで氷点下30度の寒気に覆われますので、北海道の厳しい寒さはしばらく続きます。

図3 次の寒気南下(12月3日朝)
図3 次の寒気南下(12月3日朝)

 また、上空約1500メートルで見た寒気の南下は関東北部までと、関東南岸まで南下してきた11月末の寒気に比べれば、南下は弱いものです。

 このため、東日本も寒くなりますが、その寒さは長続きしません。

東京の12月の気温

 東京の11月は、中旬までは最高気温、最低気温ともに平年より高い状態が続いていましたが、下旬になると周期的に寒気がはいって平年より下回る日が出現するようになりました。

 今週は、週明けこそ気温が高いのですが、週の中頃以降は最高気温が平年より低くなります。

 ただ、最高気温は平年を下回っても最低気温は平年並です(図4)。

図4 東京の最高気温と最低気温(11月30日~12月6日は気象庁、12月7~15日はウェザーマップの予報)
図4 東京の最高気温と最低気温(11月30日~12月6日は気象庁、12月7~15日はウェザーマップの予報)

 そして来週は、最高気温、最低気温、共に平年を上回ってきます。

 東京の16日先までの天気予報を見ると、降水の有無の信頼度が5段階評価で一番低いEや、2番目に低いDが多いのですが、曇りの日が多いのが目立ちます(図5)。

図5 東京の16日先までの天気予報
図5 東京の16日先までの天気予報

 西高東低の冬型の気圧配置によって寒気が南下し、太平洋側では晴れの日が続くという教科書通りの冬ではなさそうです。

タイトル画像、図1、図3、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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