オスプレイ「不時着ではなく墜落」、視察の翁長知事―「日米地位協定の下では法治国家あり得ない」
沖縄県名護市の海岸に墜落した米軍のオスプレイを18日午後、翁長・沖縄県知事が視察した。米軍や日本政府は「不時着」という表現を使っているが、「これは墜落だ」と現場を見ての感想をのべた。また、改めてオスプレイの飛行禁止を求めていくと共に、人々を脅かす米軍の航空機の事故が起きても、日本の捜査当局が現場検証すらできない異常さに「この日本の状況を考えてもらいたい」と訴えた。
◯不時着ではなく墜落
米軍普天間基地所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、13日夜に墜落した沖縄県名護市安部の海岸。現場周辺には規制線が張られ、報道陣すら遠目にしかオスプレイを見ることができない。18日午後、沖縄県の翁長雄志知事が現場を視察。報道陣よりはオスプレイに近づき、双眼鏡で現場の状況を確認していた。翁長知事は集まった報道陣に、「米軍や政府はあれを『不時着』としているが、『墜落』というのが現場を見ての認識だ」と語り「オスプレイの飛行禁止、配備撤回を強く求めていく」とした。
◯日米地位協定の下で法治国家はあり得ない
墜落現場には沖縄県警や海上保安庁の職員らがいたが、彼らの主な仕事は「一般人や報道陣の立ち入り規制」のみ。本来、航空危険行為処罰法の捜査対象であり、墜落現場は浅瀬であるため、海上保安庁の管轄となるが、米軍に対して全く強く出れず、「証拠品」を米軍が回収していくのを、指をくわえて見ているだけだ。
日米地位協定では、17条の6に「日米当局は、犯罪についての必要な検査の証拠の収集・提出について、相互に援助する」とあり、今回、日本の捜査当局は、現場検証や証拠品の収集を米軍側に求めているが、無視されているかたちだ。フライトレコーダーなど事故の原因を究明する上で、重要な証拠物件も、オスプレイのコクピットごと米軍は早々と回収している。
事故の原因究明すらできず、19日にはオスプレイが再び沖縄の空を飛ぶとみられていることについて、翁長知事は「日米地位協定のもとでは法治国家はありえない」「改めて日米地位協定の不条理さを全国民に知ってほしい」と訴えた。
(了)