宇宙は生命が存在するように都合よく調整されていた!?
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「宇宙は生命が存在するように都合よく調整されている!?」というテーマで動画をお送りしていきます。
宇宙観の変遷
太古の昔から、人類は宇宙がどのようになっているかについて探求してきました。
地上から見ると、太陽や夜空の星々は、東から昇って西に沈むように見えます。
古代ギリシャの頃から長い間、地球が宇宙の中心で、その周りを他の天体が回っているという「天動説」が信じられてきました。
16世紀になって天体観測の精度が高まると、天動説とは逆に、太陽を中心に地球もふくめた惑星が回っているという「地動説」が支持されるようになりました。
今ではさまざまな観測結果から、地動説が正しいことが確認されています。
また、太陽は天の川銀河という多くの恒星の集団のなかの1つの恒星で、銀河の中心を周回しているということが分かっています。
さらに、宇宙には天の川銀河以外にも多くの銀河があることが明らかになっています。
太陽は、この宇宙の中に無数に存在する恒星の1つです。
したがって、太陽以外の恒星にも、その周りを回る惑星が存在すると考えるのが自然です。
そう考えた天文学者たちは、太陽系以外の恒星の周りに存在するであろう惑星、系外惑星を探すようになりました。
そして1995年、初めて太陽系以外で惑星が発見されました。
現在、私たちの知っている系外惑星の数は4000個を超えています。
地球に似た惑星も数多く発見されています。
宇宙を支配する物理法則
宇宙にある全てのものは物理学の法則にしたがっています。
地上での出来事も遠い宇宙で起きる出来事も同じ物理の法則で説明することができます。
ニュートンは、地上での落体運動と天体の運動がどちらも万有引力の法則に従うことを明らかにしました。
さらに、重力を時空のゆがみとして説明したアインシュタインの一般相対性理論によって、宇宙全体を扱えるようになりました。
現在では、自然界には4つの基本的な力が作用していることが分かっています。
このように、物理学は宇宙がどのようになっているかを解明するのに大きな成功を収めてきました。
しかし、物理学や宇宙論に関して大きな問題が持ち上がってきました。
それは「宇宙はなぜこのような宇宙なのか?」という疑問です。
宇宙の微調整問題とは
「宇宙はなぜこのような宇宙なのか?」という問いは、つかみどころが無く、科学で扱う問題ではないように思えます。
このような問いに対して、運命論者なら「それは運命だ」と答えるでしょうし、キリスト教徒なら「神の思し召し」と答えるでしょう。
つまり、この問いには、どこか哲学や神学の議論のような雰囲気を帯びています。
しかし、現在の物理学の言葉でこの問いかけを端的に言い直すと、次のようになります。
「さまざまな物理定数はなぜこのような値なのか」
物理定数とは、物質の状態に関係なく常に同じ値になる物理量のことです。
具体的には万有引力定数や真空中の光速、電子の電荷などがあります。
万有引力の法則を始め、物理法則にはこうした物理定数が含まれています。
こうした物理定数の値は、実験や観測で測定して得られますが、どうしてそのような値になるかは理論では説明できません。
物理定数の多くは、その値を少しでも変えるとこの世界は大きく様変わりしてしまいます。
まずは、万有引力の法則に使われる万有引力定数について見ていきましょう。
重力はとても弱い力なので、万有引力定数はとても小さな値になっています。
重力の他に身近な力としては電磁気力がありますが、重力は電磁気力と比べると桁違いに弱いのです。
コインサイズの磁石でも小さな鉄くぎを持ち上げることができます。
これは小さな磁石の磁力が地球全体が及ぼす重力に勝っているということです。
しかし、電荷には正電荷と負電荷があるので、宇宙スケールでは正負の電荷が結合して電気的に中性になります。
それに対して質量は常に正の値なので、打ち消されることは無く、宇宙を支配する力になっています。
もしも、万有引力定数が今よりも大きく、重力がもっと強かったとしたら、地球のサイズは今よりも小さくなり、表面での重力は強くなります。
地球の重力が10倍になると人間は立って歩けなくなります。
太陽や恒星は重力で押しつぶされて今より小さくなるでしょう。
恒星の中心部では強い圧力により核融合反応が急速に進み、すぐに燃え尽きてしまうでしょう。
逆に、もしも重力が今よりも弱かったら、天体のサイズは大きくなり、中心部の核融合はゆっくり進み、星の寿命は延びます。
私たちの身体や身の回りにある元素は恒星内部の核融合反応によって作られたものです。
核融合反応が進むのが遅いと生命の材料となる元素が生成されないことになります。
いずれにしても、地球上に私たちは存在しそうにありません。
つまり、重力が今よりも強くても弱くても、宇宙の様相は今とはまったく異なったものになっていたはずなのです。
次に、重力と並んで身近な力である電磁気力について考えてみましょう。
人間の筋力や輪ゴムの張力、ものをこすりあわせたときの摩擦力など、身の回りの力のほどんどは電磁気力です。
基本的にすべてのものは原子からできています。
したがって、これらの力は原子同士の電気的な相互作用によって生じているのです。
電磁気力の強さを表す定数は、電子の電荷「電気素量」です。
もし、電気素量が今の値と少しでも違っていたら、原子や分子に働く電磁気力が変化するため、物質の化学的な性質が変わってしまいます。
それは生命にとって、とても不都合なことになります。
物質を合成し、細胞を増やし、エネルギーを得るという生命の基本的な活動は複雑な化学反応で成り立っています。
生命にとって重要な物質である水やたんぱく質などの化学的な性質が大きく崩れてしまうと、呼吸や代謝などの生命活動が維持できなくなります。
これらの例からも分かるように、物理定数が今の値でなかったとしたら、宇宙の姿はがらりと変わっています。
この宇宙の物理定数は生命を誕生させるように微調整されているかのようです。
まるで、神様が宇宙のパラメータとして物理定数を自由に変えられる機械を持っていて、宇宙に生命が誕生するように細かく調整しているように思えてきます。
この宇宙が誕生したときに、なぜそんな都合のいい微調整が行われたのか、現在の物理学の理論では答えられないのです。
この問題は「宇宙の微調整問題」と呼ばれています。
マルチバースで微調整問題は解決するか?
宇宙の微調整問題を考えたときに自然に思い至るのが、無数の宇宙が存在しているという可能性です。
これは多元宇宙もしくはマルチバースといわれる考え方です。
最新の物理学で宇宙を考えると、自然な帰結として複数の宇宙の存在が導き出されます。
マルチバースの考え方では、物理定数の異なる無数の宇宙が存在しています。
ほとんどの宇宙では生命が生まれる可能性は無いでしょう。
しかし、無数の宇宙があれば、どんなに少ない割合であってもどこかに生命が誕生できる宇宙があるはずです。
そこにたまたま私たちが住んでいることになります。
私たちは生命が誕生するような宇宙にしか存在することはできません。
この場合、なぜ宇宙が生命に都合がよいものになっているかという問いに対しては、「そういうところでしか私たちが生きられないから、私たちがいる宇宙を調べると生命に都合のいい条件になっているのは当然」というのが答えになります。
しかし、マルチバースは本当に存在するのでしょうか?
重大な問題は、他の宇宙は直接観測することが出来ないことです。
観測不可能な他の宇宙の存在を前提として科学が成り立つのでしょうか?
この問題は科学に対する永遠の謎として残るのかもしれません。
答えが出ないとしても、宇宙について疑問をあれこれ考えるのは楽しいですね。
今回の関連として、パラレルワールドにまつわる科学的な理論を以下の動画で紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください!