台風1号、日本に接近のおそれ 昨シーズン5日先予報の誤差は最小に
台風1号は9日(土)正午、太平洋西部のカロリン諸島を北上しています。台風1号の発生は昨年(2021年)より一か月以上遅く、4月の発生は2017年以来5年ぶりです。
台風は今後も発達しながら北上し、12日(火)にはフィリピンの東海上で、非常に強い台風となる見込みです。来週後半(14日以降)は日本列島に近づくおそれがあります。
日本に接近した台風1号は?
シーズン最初の台風が日本に接近するのは稀で、台風の記録が残る1951年以降では8個しかありません。内訳は沖縄に3個、小笠原諸島に5個です。年代では1997年、1999年、2000年、2001年、2004年、2009年、2011年、2016年とこの20年あまりに限られているのが特徴です。
なぜ、日本に接近するのか
台風は夏の高気圧(太平洋高気圧)の縁に沿って北上するため、台風の進路は高気圧の位置に大きく左右されます。台風1号が発生する時期は高気圧が日本列島から遠い位置にあり、台風が日本に近づくことはほとんどありません。しかし、今年は季節の進みが早く、高気圧が日本に近い位置で強まり始めていることが影響しているようです。
5日先予報の誤差が最小に
台風進路予報の成績は年を追うごとに向上していますが、昨シーズン(2021年)は5日先予報の誤差が過去最も小さくなりました。これは台風の中心位置が予想と実際でどれくらいずれていたかを調べたもので、2021年の誤差は平均して264キロと台風予報が5日先まで延長された2009年の528キロと比べ半分になりました。
そのほか、あすの予想で約90キロ、あさって(2日先)で約160キロ、3日先で約230キロの誤差があります。これまで3日先と5日先では200キロくらい差がありましたが、この10年余りで両者の差はだいぶ縮まりました。
タイムラインは5日前から
最近は災害が発生することを予め予想し、数日前から時間ごとに、さまざまな対策や準備を行う「防災行動計画(タイムライン)」を作成することが求められるようになりました。台風の場合、3日くらい前にならなければ、具体的な計画は立てられないと思う方は多いと思いますが、5日先予報の精度はここ数年で、かなり向上しています。この夏は災害や影響が予想される5日前(120時間前)から、これまでよりも一歩踏み込んだ行動計画を作成してみてはいかがでしょうか。ただ、台風の強さ予報は進路ほど目立った進展はないのが現状です。
【参考資料】
気象庁:2021年の台風について(確定)、2022年2月24日
気象庁ホームページ:台風予報の精度検証結果
気象庁ホームページ:過去の台風資料
国土交通省ホームページ:タイムライン