アイドルによるTM NETWORKカバーが話題となる理由 〜 DREAMING MONSTERの考察
●TM NETWORK「Self Control」30周年
ふと、ネットを見渡していたらアイドルがTM NETWORK「Self Control」(1987年)をカバーしていた動画を発見した。
カバーしていたのは、8人組アイドル・グループDREAMING MONSTER。
メンバー全員が20歳以上の大人系アイドルユニットであり「夢の続きをもう一度」をコンセプトに『何かを始めることはいくつになっても遅くはない』事をグループの活動を通して体現していく、王道系アイドル・グループである彼女たち。
本作は、TM NETWORKの1987年のヒット曲として知られているが、『焼肉の教科書』(宝島社)のベストセラーなど肉マイスターとしておなじみの田辺晋太郎氏がDREAMING MONSTERに合わせて再構築(田辺氏、実は音楽プロデューサー!)。2017年はTM NETWORKの代表曲「Get Wild」が30周年ということで、TM NETWORK=Get Wildなイメージが再燃中だが、同じく30周年である「Self Control」も名作であることを思い出させてくれた。
●漫画家 新條まゆ先生が作詞参加
田辺氏は、2001年に3人組ユニットChangin' My Lifeとして東芝EMI(現ユニバーサル ミュージックジャパン)からデビューしたミュージックマンだ。作家活動も順調で、2012年には、AKB48 渡辺麻友のソロ・シングル『ヒカルものたち』へ楽曲提供しオリコン・ウィークリー・チャートで1位を獲得している。
DREAMING MONSTERは先日台風の中、赤坂ブリッツでワンマン・ライブを成功させ、2ndシングル『ココロに、雨。』をリリースしたばかり。しかも、オリコン・ウィークリー・チャートで9位にランクイン。
表題曲である「ココロに、雨。」は、田辺晋太郎プロデュースであり作曲も担当。作詞は、田辺氏とともにFANKS(TMファンの意)としても知られる漫画家 新條まゆ先生が参加という豪華な布陣。世界中で累計発行部数1000万部を超える大ヒットとなったコミック『快感フレーズ』を生み出した新條まゆ先生による“言葉の魅力”は健在だ。
●傑作アイドル・カバーが生まれ続けるTM NETWORK
TM NETWORKのアイドル・カバーといえば一世を風靡した鈴木あみ「BE TOGETHER」(1987年)の大ヒットが知られている。さらに、昨年アイドルネッサンスがアニメ『シティーハンター2』「STILL LOVE HER(失われた風景)」(1988年)エンディング・テーマをカバーされたことも話題となった。
先日、海外からの注目も高いマネキン・ダンス&ラップ・デュオFEMMが「SEVEN DAYS WAR」(1988年)をカバーしているなど、TM NETWORKらしい未来派サウンドは、アイドルにアップデートされ近未来的ポップソングとして継承され続けている。
TM NETWORKの歌詞は、“時代を特定しない普遍的な情景描写”と“性別を意識させない本質的なメッセージ性の強さ”を兼ね備えている。アイドルがカバーしても違和感なく聴けるのは、そんな理由なのかもしれない。本体であるTM NETWORKは2015年3月の横浜アリーナ公演をもって活動休止中だが、作品は30年経った今でも古さを感じさせない。