3つのグラフが示す、地球の異常な事態
世界のあちこちで高温記録が生まれ、かつてない巨大な森林火災や氷の融解がおきるなど、様々な異変が次々と伝えられています。
国連は「私たちは、未知の領域に入ってしまった」と、その焦りを表現しているほどです。
今地球で起きている急激な変化を表す、3つのグラフを紹介したいと思います。
①世界の日平均気温
アメリカ環境予測センターなどによる、陸海合わせた世界の日平均気温の図です。
太い黒線が今年2023年です。7月3日は17.01度となって、1979年の統計開始以来でもっとも暑くなりました。しかしその記録は翌日にはあっさり破られ、さらに6日には、またもや記録が更新されて、この日が観測史上1位の高温となりました。
専門家は、ややもすると過去12万5千年の中でもっとも暑かったかもしれないと口にしています。12万5千年前といったら、ネアンデルタール人がマンモスの肉を頬張っていたような時代ですから、我々はとんでもない歴史的な瞬間に立ち会っているといえるのです。
なぜこんなに暑いのかというと、エルニーニョ、温暖化に加え、船舶の低硫黄燃料の使用などなど、気温を上げる様々な要素が一気に働いてしまったからだと考えられています。
②南極の氷量
次の図は、南極の氷量の平年差です。今年はいかに少ないのかが一目瞭然です。
そのうえ不気味なのは、7月というのは南極にとっての冬にあたり、本来なら氷が増えていくはずなのに、なおも氷が溶け続けていることです。
現在の氷の量はこの時期の平均を約250万平方キロも下回り、これは日本の国土の6倍以上に相当します。
南極の氷の増減は北極に比べて変化が大きいため、長期的な変化についてこれからも監視する必要があるといいますが、温暖化の影響のほか、専門家もまだ気が付いていない何らかの大きな現象が起きている可能性もささやかれています。
③北大西洋の海水温
最後の図は、北大西洋の海水温の平年差です。今年北大西洋は異常に暖かく、6月21日には観測史上最高水温を記録しました。
大西洋に面するヨーロッパ各地では、気温が軒並み平年を上回り、竜巻や雹などといった激しい嵐も頻繁に起きています。さらに先月は、いつもならこの時期穏やかな海上で異例の熱帯低気圧が発生しました。
高温の原因のひとつにはサハラ砂漠からの砂の飛来が少ないために、日光が遮られず、海が暖まりやすくなっていることもあるようです。
一層の注意を
「未知な領域に入った」と叫ばれる今、日本も対岸の火事ではありません。
嵐が近づけば、いつもより大風・大雨になるかもしれない、この夏はいつもより危険な暑さになるかもしれない、そんな風に未曾有の事態を頭に入れ、心構えと備えをするべきかと思います。