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勝利を引き寄せたホットライン。なでしこリーグ開幕戦で日テレ・ベレーザが示した勝負強さ(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
決勝ゴールをアシストしたMF上辻佑実(ベレーザ)(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

3月26日(日曜日)、なでしこリーグ1部が開幕。

リーグ3連覇を目指す日テレ・ベレーザ(以下:ベレーザ)は、2年ぶりに1部に昇格したちふれASエルフェン埼玉(以下:埼玉)を迎え、試合はベレーザが2−1で接戦を制した。

勝利を引き寄せたホットライン。なでしこリーグ開幕戦で日テレ・ベレーザが示した勝負強さ(1)

以下、試合後の監督・選手コメント。

監督・選手コメント

森栄次監督(ベレーザ)

ーー新しいフォーメーションを採用した意図を教えていただけますか?

選手の特徴を踏まえて、どの形が一番良いのか模索しています。他のチームから研究されている中で、いろいろと試したい考えもあります。今日は中盤をダイヤモンにしたのですが、(上辻)佑実の特長を考えると、センターポジションで活きると思い、トップの真ん中に彼女を起用しました。(FWの植木)理子も脚力がありますし、ワイドよりセンターで裏を狙った方が彼女の特徴が出やすいので、途中で交代するときに佑実と理子を変えたら、(中盤が)ダイヤモンドのままでいけるかな、と考えたんです。ただ、なかなかうまくいかず、いつもの4-2-3-1に戻したら、ボールの回り方もスムーズになりました。

ーー左サイドバックの中里選手には、どのようなことを期待して起用しましたか?

(長谷川)唯とのコンビネーションで、左サイドを崩してほしいと期待しました。相手を見ながらうまくいなしてゲームを作るために、テクニックがある彼女を左サイドバックに置きたいと考えました。

ーー相手のプレッシャーの強さも、序盤の流れに影響しましたか?

そうですね。失点は想定外で、相手が高い位置からプレッシャーをかけてきた中で、セットプレーのカウンターからやられてしまいました。特に前半は最終ラインからの配給がいつもと違う中で、出し手と受け手の感じが合わなかったですね。サイドバックの(中里)優や、センターバックとの連携も今シーズン新たに作っていかなければ、と思っています。

ーー先制されながらも、逆転勝利を掴みました。

後半は、サイドと裏へのボールを増やそうと話していました。サイドから崩して決めた、2点目の形は良かったですね。

MF 阪口夢穂(ベレーザ)

ーー2点目の決勝ゴールを振り返ってもらえますか?

クロスを上げるのが(上辻)佑実じゃなかったら、あの位置に入っていなかったです。彼女はあのタイミングで(クロスを)上げてくれる確信がありました。シュート(の瞬間)も、逆サイドが空いているのが見えていたので、うまく流し込めて良かったです。

ーー攻撃参加するタイミングはどのように考えていましたか?

4-4-2の中盤がひし形で、私は(ひし形の)底(のポジション)やったから、前に上がったらそこがぽっかり空いてしまうので、前半はなかなか上がる機会がなかったんです。失点してからいつも通りの形に戻して、それからは上がる機会もありましたね。点を獲らなければいけない時間帯は、「自分が獲ってやろう」といつも考えていますし、ポジションは高めに取ります。

ーー埼玉のプレッシャーの強さはどうでしたか?

前半の最初から、「ベレーザをやっつけてやろう」という気持ちがすごく伝わってきましたし、私たちも相手を見習わなければいけないプレーがたくさんありました。前半は1-1で折り返して、後半に逆転できる自信はあったので、(追加点が)早い時間帯で良かったです。

MF 上辻佑実(ベレーザ)

ーー2点目のアシストを振り返っていかがですか?

中に(田中)美南がいて、その後ろで(阪口選手が)走っているのが見えたので、滞空時間も考えて高目のボールにしました。あの辺だったら(阪口選手なら)合わせてくれると思いました。

ーー阪口選手とは中学時代から一緒にプレーしている中ですが、どのような面でやりやすさを感じますか?

考えていることとか、どこにパスが出てくるかということや、(パスを出してほしい)タイミングも分かります。今日のようなゴールは嬉しいですね。

ーーベレーザはショートパスで試合を作ることが多いですが、長いパスで流れを変えた場面もありましたね。

長いボールを蹴るのは好きなので、蹴れそうな場面はいつも狙っています。

ーー前半の途中に、ポジションをトップから右サイドに移しました。どのようなことを意識していましたか?

いつも攻撃が左サイドに偏っているので、右サイドからも崩していかなければいけないと思っています。今日は右サイドからのクロスを決めてもらえて良かったです。

ーーベレーザに加入して3年目ですが、ご自身のプレーの手応えはいかがですか?

(下部組織のメニーナから)ずっと一緒にやってきている選手たちは感覚的に分かっていることでも、(自分自身は)難しく感じることがあります。まだまだ、できることがあると思っています。

ーー今年、チームでの自分の役割をどのように考えていますか?

今はケガ人が多いのですが、試合に出たら、しっかりチャンスを作りたいですね。個人的には、守備の部分で(監督から)言われることが多いので、球際ではもっと強くいって、(ボールを)奪いきることを、意識してやっていくつもりです。

元井淳監督(埼玉)

ーー今日の試合の結果を振り返っていかがですか?

勝てそうで勝てないところが、今のチームの力なのかなと感じています。

ーーどのようなプランで試合に臨んだのでしょうか?

しっかり中盤でプレッシャーをかけて、奪ったらゴールに向かうというところです。相手はチャンピオンですから、押される中でも、粘り強くしのぎながらやっていこうと話していました。

ーー先制点の場面を振り返っていただけますか?

非常に良い形で、(中村)ゆしかがゴールを決めてくれました。その場面以外にもチャンスはあったので、2点目をいかに取れるかが重要です。ゲームが拮抗している中で、一本のパスや一つのプレーで局面が変わるところにこだわってやっていくことも大切だと思います。

選手は一生懸命やってくれていますが、勝ち点を積み重ねていかないと、今までと同じように(1年で)降格してしまっては意味がないので、結果と選手の成長、両方を追求していきたいです。

ーー次はホーム開幕戦(4月2日、vsINAC神戸レオネッサ)です。意気込みをお願いします。

我々にできることをしっかりと表現して、ひるむことなく、チャレンジする姿勢で臨みたいと思います。

MF 薊理絵(あざみ・りえ/埼玉)

ーーカウンター攻撃から何度かチャンスがありましたが、攻撃面でどのようなことを意識していましたか?

守備に回る時間帯が多くなるとは思っていたので、ボールを取ったら、まず前を狙うことを意識していました。奪ったら休憩するのではなく、奪った瞬間に相手より先に一歩出ることは意識しています。

ーー今シーズンはカウンター攻撃が主体になりそうですか?

最初から守備に回るという意識でやっているわけではないので、相手の戦い方によって、攻めるところは攻める、(ボールを)動かすところは動かすことを意識しています。ゲームの時間帯によっては、我慢してカウンターを狙う場面もあるので、そこは練習でも取り組んでいます。

ーー開幕戦ですが、硬さは感じられませんでした。

なでしこリーグ1部で試合をすることが初めてで緊張している選手もいましたが、試合中に「自分たちもやれる」と、手応えを感じていたと思います。その選手は、試合の中でしっかり自分の役割を果たせていましたから。でも、結果は負けなので、しっかり受け止めて次に繋げたいです。

ーー今シーズンの目標を教えていただけますか?

こんなことを言ったら失笑が起こるかもしれませんが、1位を狙っています。優勝してタイトルを獲るために準備してきたので、今日のような惜しい試合をなくして、しっかり自分たちのものにしていけば、(優勝も)夢ではないと思うので。その目標はしっかり持って、自分を磨いて行きたいですね。今は夜の6時から練習をやらせていただいていますし、以前に比べたらとても良い環境になっています。環境が先行しないように、自分たちの泥臭さをなくさないようにしたいです。

GK 浅野菜摘(埼玉)

ーー1部での開幕戦で先発出場して、手応えはどうでしたか?

もっとシュートが飛んでくるかな、と思っていたのですが、結構、前からディフェンスに行ってくれていたので、そこまで大きなピンチはなかったです。去年は(2部で)リーグ戦もほとんど試合に出ていなかったですし、ベレーザにはU-20の代表で一緒にプレーした選手も多いので、すごい試合になるだろうなと思い、しっかり準備していました。少ないチャンスをベレーザに決められてしまいましたが、自信を失うような試合ではなかったので、もっとできると思いました。

ーー今シーズン、特にチャレンジしたいことは、どんなことですか?

1失点目の場面で、(ゴールを決めた)田中選手がスピードがあることは分かっていたのですが、飛び出すタイミングを一瞬、迷って(遅れて)しまいました。自分が行くのか、ディフェンスに行かせるのか、という判断の質をもっと上げていきたいです。

ーー今後、代表に向けての思いを聞かせていただけますか?

今年はリーグ戦で試合経験を積んで、自分の力にしていけるチャンスだと思いますし、試合の中でどんどんアピールしていきたいです。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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