Yahoo!ニュース

西田直斗選手がプロ3本目の満塁ホームラン!しかし9回に悪夢が…《8/20 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
満塁ホームランを放った西田選手(左)は、その前に3連打した3選手とハイタッチ!

20日に北神戸で行われたウエスタン・オリックス戦に出場していた上本選手は1軍の試合後に昇格が決まり、約1ヶ月ぶりの1軍へ。21日の巨人戦(東京ドーム)でさっそく先発出場して、8回に同点ソロホームランを放ちました。そこから延長10回の勝ち越しとつながったと言える一発。駆けつけ一番で素晴らしい貢献です。それにしても、北條選手ってビックリ箱みたいだなあ。次は何が出るかワクワクしますよね。

ファームは21日、奈良県橿原市の佐藤薬品スタジアムに場所を移してのオリックス戦。先発は阪神が竹安投手、オリックスが青山投手と同い年のルーキー対決でしたが、明暗を分ける結果となっています。竹安投手はいきなりクラーク選手に2ランを浴びるなど2回までに5失点、青山投手は8回まで無失点で、阪神は9回にようやく西田選手のタイムリー二塁打などで反撃したとか。5対2でオリックスが勝ち、阪神はこの3連戦で3連敗です。

敬遠のボールが暴投となって同点…

さて、ここからは20日(土)に行われたオリックス戦の模様をご紹介します。上本選手の先頭打者ホームランなどでリードしながら中盤に逆転された阪神ですが、8回に西田選手の満塁ホームランで再逆転!ところが9回に、まさかの結末が待っていました。

《ウエスタン公式戦》8月20日

オリックス-阪神 22回戦 (北神戸)

阪神 101 000 040 = 6

オリ 000 140 002x = 7

◆バッテリー

【阪神】歳内-伊藤和-山本-鶴-桑原-高宮-福原-●筒井(4勝1敗5S)-二神 / 岡崎-小豆畑(7回~)

【オリ】吉田凌(5回)-佐藤峻(1回)-八木(2/3回)-大田(1/3回)-塚田(1回)-森本(1/3回)-○大山(1勝1敗)(2/3回) / 山崎勝

◆本塁打 上本7号ソロ(吉田凌)、クラーク3号ソロ(歳内)、武田5号2ラン(山本)、西田2号満塁(塚田)

◆二塁打 吉田雄

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

1]三:上本  (5-4-1 / 0-0 / 0 / 0) .313

2]中:俊介  (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .250

3]左:ペレス (4-1-1 / 0-1 / 0 / 0) .305

〃走左:緒方 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .265

4]右:横田  (4-2-0 / 2-1 / 0 / 0) .286

5]一:新井  (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .305

6]指:柴田  (4-3-0 / 0-0 / 0 / 0) .273

7]二:西田  (4-1-4 / 0-0 / 0 / 0) .223

〃二:坂   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .179

8]捕:岡崎  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .200

〃遊:小豆畑 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .194

9]遊:植田  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 1) .128

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

歳内  3.2回 54球 (3-1-0 / 1-1 / 5.11)

伊藤和 0.2回 16球 (1-0-1 / 2-2 / 7.91)

山本  0.2回 29球 (4-1-1 / 2-2 / 2.48)

鶴    1回 14球 (0-1-0 / 0-0 / 1.57)

桑原   1回 14球 (0-0-0 / 0-0 / 4.05)

高宮   1回 13球 (0-0-0 / 0-0 / 4.40)

福原  0.0回 5球 (1-0-0 / 1-0 / 5.27)

筒井  0.1回 12球 (0-0-2 / 1-0 / 3.08)

二神  0.1回 1球 (0-0-0 / 0-0 / 2.25)

試合経過

先頭打者HRを放ち、そして1軍へ駆けていった上本選手。
先頭打者HRを放ち、そして1軍へ駆けていった上本選手。
ちょうどカメラを構えたら、西田選手がHRを打ちました!
ちょうどカメラを構えたら、西田選手がHRを打ちました!
もしかして…これ、いったんちゃう?と言っていたかも。
もしかして…これ、いったんちゃう?と言っていたかも。

1回に上本の先頭打者ホームランで先制した打線は、3回にも上本の中前打と俊介の犠打で1死二塁として、ペレスが右前タイムリー。2対0とします。先発の歳内は1回、2死から駿太に左前打されボークで二塁へ進めるもブランコを左飛に仕留めて無失点。2回はクラークの一直(新井がジャンプして好捕!)のあと奥浪に左前打されますが後続を断ち、3回は三者凡退でした。

4回は1死からブランコがピッチャー返し!この打球が歳内の左足を直撃したものの、すぐに拾って送球。アウトにしています。かなり強烈な打球だっだにもかかわらず、歳内は続投。ところがクラークにライトへのホームランを浴び、続く奥浪に1球投じたところで降板。左足をかばいながらベンチへ下がったので、やはり痛みが相当あったものと思われます。代わった伊藤和が抑えて1点止まり。

しかし5回、伊藤和は四球とヒットで1死一、二塁として交代。そのあと山本が吉田雄に左中間への2点タイムリー二塁打を浴びて逆転、さらに武田の2ラン…。以降も2本のヒットと四球で2死満塁としながら抑えた山本ですが、この回4点を与え(失点は伊藤和2、山本2)、5対2とひっくり返されました。

ホームインして平野コーチとハイタッチ。
ホームインして平野コーチとハイタッチ。
次に小豆畑選手と。あれ?平野コーチが体勢を崩して
次に小豆畑選手と。あれ?平野コーチが体勢を崩して
コケそうになったけど大丈夫、持ち直しました。
コケそうになったけど大丈夫、持ち直しました。

そして8回、阪神は横田の内野安打、新井と柴田の中前打で1死満塁として西田。フルカウントから塚田の真っすぐをセンターへ。打球はぐんぐんと伸びてバックスクリーンにガツン!と当たりました。今季2号はなんと逆転の満塁ホームランです。

後半に入ってリリーフ陣が三者凡退でキッチリと抑え、9回の攻撃では先頭の上本が4本目のヒットで出たものの、俊介はバント失敗。後続も抑えられて追加点なく裏を迎えます。まず福原が先頭の代打・宗に左前打され、代わった筒井が代打・岩崎のバントを一塁へ悪送球…(記録は犠打失策)。これで無死二、三塁となってしまいました。

1死を取ったあと、武田を敬遠。のはずが3球目を大きく外して暴投!これで宗を還し、同点とされます。武田はそのまま敬遠、次の駿太も敬遠気味の四球で1死満塁となったところで筒井は降板。代わった二神の初球をブランコがセンターへ。飛距離十分な打球で岩崎が生還。サヨナラ犠飛で試合終了です。

サード守備が奏功?上本

上本選手を迎える掛布監督、コーチ、選手たち。
上本選手を迎える掛布監督、コーチ、選手たち。

掛布監督が「きょうはいろんなプレーがあった。あそこは俊介がバントを決めておかないと」と振り返ったのは9回の攻撃でした。先頭の上本選手が中前打で出て、続く俊介選手のバントは捕邪飛になり、結果0点で終わった場面。「あれで点が入る入らないじゃなくて、やることをやって入らないのと、やれずに入らないのとは違う。最後に詰めの甘さが出る。筒井がまさかの…。野球の怖さですよ。あのバント1つが、ああいうゲームの結果を呼ぶんじゃない?」

炎天下で黙々と打ち、走り、守った1ヶ月でした。
炎天下で黙々と打ち、走り、守った1ヶ月でした。

また上本選手について「動きがいい。声も出ていたし、サードの方が落ち着いてプレーしてる。慣れないポジションだし、今までと違う景色だと思うけど、それが上本のいいリズムを作るのかもしれない。もうちょっとサードをやって、状態がよくなれば(1軍に)それなりの報告をしなくちゃね」と掛布監督。そのすぐあとに上本選手の昇格が決定したわけです。

では、先頭打者ホームランに始まり、5打数4安打と気を吐いた上本選手本人のコメントをご紹介しましょう。ただし相変わらず控えめというか、センテンスがとても短め。調子は上向きだと思うのですが、それについて聞かれると「まあわからないですねえ」のひとこと。とはいえ、この日の結果には満足?「…結果なので」。守備に関しても掛布監督がいいリズムでやれていると。「どうなんですかねえ。まあ余裕はないですねえ」。こんな感じでした。

先発で好投の歳内、左足は打撲です

先発の歳内投手。力強い投げっぷりでした。
先発の歳内投手。力強い投げっぷりでした。

久保投手コーチは、まず歳内投手を「よかったね!闘争心が前に出たピッチングだった」と評価。ブランコ選手の打球を左足に受けて交代となりましたが、あのアクシデントがなければ「もちろん」続投だったとのことです。続けて山本投手に話が移り「彼の場合、エイヤーってのが一番怖い。自分のタイプを考えていかないと。相手の裏をかいて真っすぐでいったと思うけど、ボールが全体的に高かった。低い変化球、ボール球を振らせるタイプ。自分を知らないとね」と分析。

何かあった時には山本投手というくらい、ここまでしっかり抑え「早く1軍から声がかからないか」と話していただけに、二塁打とホームランでの4失点は堪えますね。ここからまた0を積み重ねて、いつか来るときに備えてください。それに1イニングを3人ずつで片づけた鶴投手、桑原投手、高宮投手もいい仕事ぶりでした。

好守備を見せた新井選手(右)。これは歳内投手へのポーズ?
好守備を見せた新井選手(右)。これは歳内投手へのポーズ?

先発の歳内投手は「よかったです。真っすぐでファウルとか取れていて、前回に比べると、そのへんがよかったと思います。ただ去年に比べたら、まだまだです。(去年は)ファウルで粘られても空振りを取れていたので」と投球内容を振り返っています。今後は?「スライダーの精度をもうちょっと上げていきたい。欲をいえば空振りを取れたりするように」

なお4回に打球を受けた左足は「当たった直後で痛いけど、歩けているので大丈夫です」と言いながらも「大丈夫な打球じゃなかったですけどねぇ」とポツリ。そりゃブランコ選手のあの打球が直撃ですよ。よく素早く処理したなあと思います。しかも続けて投げたわけで。すぐ交代していたらクラーク選手のホームランはなかったかも、なんてタラレバですみません。山下トレーナーによると患部は左足の甲。打撲で済んだのが幸いでした。

プロ3本目の満塁弾!すべてオリックス戦

三塁へ到達したところ。藤本コーチと目が合って、笑ってる?
三塁へ到達したところ。藤本コーチと目が合って、笑ってる?
藤本コーチと手を合わせて、さらに白い歯が。
藤本コーチと手を合わせて、さらに白い歯が。

5対2と逆転されたまま進んだ試合の終盤に、再逆転の満塁ホームランを放った西田選手。今季1号はつい4日前のサヨナラホームランで、これが第2号です。印象に残る1発が続いて…というところで思い出しました。2年前、2014年の5月7日に1号の満塁ホームランが出て「人生初です」と話していた西田選手が、10日後に放った2号もまた満塁ホームランだった件!シーズン1号、2号がともにグランドスラムなんて、なかなかないですもんね。

ちょっと脱線しますが、西田選手の公式戦ホームランは全部で7本。1年目はなく、2年目の2013年は5月16日のオリックス戦(鳴尾浜)でマエストリ投手から1号ソロ、同5月29日の中日戦(鳴尾浜)で若松投手から2号ソロで計2本です。2014年の満塁弾2本は5月7日がオリックス戦(神戸第二)で東明投手から、5月17日もオリックス戦(鳴尾浜)で森本投手から打ったもの。

もう笑いが止まりません。気持ちはわかります。
もう笑いが止まりません。気持ちはわかります。

昨年は8月30日の広島戦(姫路)で野村投手から放った1本だけでした。今季は8月17日のソフトバンク戦(鳴尾浜)のサヨナラアーチが1号ソロで星野投手から、そして21日のオリックス戦(北神戸)で塚田投手から2号満塁ホームランとなっています。7本のうち4本がオリックス戦なんですね。というか、7本のうち3本が満塁ホームランってすごい確率!しかも全部オリックス戦とは…。

負けても記憶に残る大きな一発!

先に還った3人と。新井選手(右)がバンザイ!左上は持ち場に戻る平野コーチ。
先に還った3人と。新井選手(右)がバンザイ!左上は持ち場に戻る平野コーチ。
盛り上がる4人にベンチから「早く来い」の声があったのかな?みんな爆笑です。
盛り上がる4人にベンチから「早く来い」の声があったのかな?みんな爆笑です。
ようやくベンチ前へきて、掛布監督に迎えられました。
ようやくベンチ前へきて、掛布監督に迎えられました。
まだやっています(笑)。手を合わせる西田選手と横田選手。
まだやっています(笑)。手を合わせる西田選手と横田選手。

掛布監督は「西田の逆転満塁ホームラン。あれはビックリしたねえ!」と驚きのまじった笑顔でした。「外にスライダーが来るかと思ったら真っすぐだった。向こう(のバッテリー)に、ここはフォアボールでもいいという余裕がなかったかな。打った西田もすごいんだけど」

その西田選手は、三塁を回る前から白い歯を思い切り見せていたんですが、思わぬ結末に試合後は「何もないですよ。負けたんで…」と暗い表情。左ピッチャーから打って、バックスクリーン直撃のホームランですよ!8回の1発は相手に大きなダメージだったはず。と言っても「たまたまです。風があったから。試合は負けたんで…」と繰り返すばかりです。

バスに荷物を積みながら、ようやく重い口を開いてくれて「3-2だったけど、カウントを考えず打ちにいきました。もしボールだったら振らなければいいと。フォアボールとか思ったら三振してしまうんで、考えず積極的に攻めました」と、その時の心情を語っています。なお「たぶんスライダー」と言っていた球種ですが、オリックスの方によれば「真っすぐです。塚田投手の直球はスライダー回転なので、よくそう言われます」とのことでした。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事