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いま韓国人の好きな韓国歌手は? 1位は「トロット歌手」…K-POP勢でダントツにスゴイのは「IU」

(写真:Lee Jae Won/アフロ)

2024年6月のいま、韓国人の好きな韓国歌手は誰? 

K-POP勢ではIU、BTS、NewJeans、BLACKPINKがランクイン。また世代別にみるとSEVENTEENが上位に入った。

韓国大手世論調査会社「韓国ギャラップ」が2024年3月から4月にかけて全国13歳以上1,777名を対象に実施した調査「韓国人が好きな50のもの」。今回はこのうちの項目「好きな歌手」のご紹介を。

同社は毎年年末に「今年韓国で活躍した人物」を紹介しているが、こちらの調査は「活動期間や生存に関係なく好きな歌手」を記すもの。2004年から調査を実施しており、同社は「こんなこともわざわざ調べるのかと思うかもしれませんが、いざ資料を探してみると意外とない」としている。さらに「この20年間でどのような変化があったのかを振り返り、しばし微笑んでいただけたらと思います」とも。

日本からこれを見ると「ちょっとした驚き」といったところか。全世代での1位はトロット歌手で、それ以外にも多数が同ジャンルとなった。一方K-POP勢で圧倒的にスゴイのはIUだった。調査結果のサマリーでは「10代から40代の男性、そして若い世代の女性はよりIUを好む」とレポートされている。

トップ10の歌手を「韓国はどう見ているのか」

では早速ランキングを。

韓国人が好きな韓国歌手(トップ10)
イム・ヨンウン (2016): 10.3%
IU (2008): 9.0%
BTS (2013): 4.9%
ナ・フナ (1966): 4.0%
NewJeans (2022): 3.5%
チャン・ユンジョン (1999): 3.4%
ジンソン (1994): 2.7%
ヨンタク (2005): 2.4%
ソン・シギョン (2001): 2.2%
BLACKPINK (2016): 2.2%
(カッコ内はデビュー年)

「韓国ギャラップ」は各歌手の評価についてこう伝えている。

イム・ヨンウンは2016年にデビューし、2020年の「TV朝鮮」のオーディション番組「ミスタートロット」で優勝して以降、公演、放送、広告などで最も脚光を浴びるスターとなった。特に女性や中高年層から厚い支持を集めている。

一方、2位に入ったIU(アイユー)は、2008年のデビュー以来、歌手活動と並行して女優としても着実にキャリアを積んできたシンガーソングライター。IUは男性や10〜30代から高い人気を得ている。

3位はBTS(防弾少年団)の4.9%だった。彼らは2019年の同調査で1位に輝いたが、一昨年6月にアンソロジーアルバム「Proof」をリリースした後は、メンバーがそれぞれの個人活動に専念。さらにその後、メンバーたちが相次いで兵役に就いたことで、グループとしての活動は事実上中断状態に入っている。それでも変わらぬファンの愛を集めており、2025年にはフルメンバーでの復帰を果たす予定だと伝えられている。

4位はベテラン歌手のナ・フナで4.0%。そして5位には、2022年にデビューしたばかりの5人組多国籍ガールズグループNewJeansが3.5%で初のトップ10入りを果たした。多国籍メンバーの透明感のあるルックスと確かな歌唱力、キュートなダンスが魅力のNewJeansは、デビュー曲「Attention」が世界的なヒットとなり、日本でも社会現象を巻き起こした。若者だけでなく幅広い層からの支持を集めている。

6位はチャン・ユンジョンの3.4%、7位はジンソンの2.7%と続いた。8位にはヨンタクとソン・ガインが2.4%で並んだ。そして10位にはBLACKPINKが2.2%でランクインした。

これもまた「韓国人の見る韓国歌手評」といったところ。

性別・年齢別に見ると…「40代・50代女性の”圧倒的支持”」が特徴に

いっぽうでこの結果を「今回の調査対象者の年齢別」および「2004年以降の年代別」で見てみると、今回の統計結果がより理解できる。

◆韓国人の好きな韓国歌手<性別・年齢別>

13-18歳:

男性: BTS (20%), IU (18%), NewJeans (15%), BLACKPINK (9%), イム・ヨンウン (4%)

女性: BTS (20%), NewJeans (15%), IU (13%), BLACKPINK (13%), SEVENTEEN (8%)

19-29歳:

男性: IU (22%), BTS (9%), BLACKPINK (4%), イム・ヨンウン (4%), チャン・ユンジョン (3%)

女性: IU (22%), BTS (9%), BLACKPINK (9%), イム・ヨンウン (4%), NewJeans (4%)

30代:

男性: IU (28%), イム・ヨンウン (6%), BTS (6%), チャン・ユンジョン (5%), ソン・シギョン (4%)

女性: IU (25%), イム・ヨンウン (10%), NewJeans (5%), ソン・シギョン (5%), イ・スンギ (4%)

40代:

男性: イム・ヨンウン (11%), IU (11%), ソン・シギョン (9%), BTS (4%), チャン・ユンジョン (4%)

女性: イム・ヨンウン (25%), IU (8%), ソン・シギョン (5%), チャン・ユンジョン (5%), イ・スンギ (5%)

50代:

男性: チャン・ユンジョン (12%), イム・ヨンウン (8%), IU (6%), ナ・フナ (5%), キム・ヨンジャ (5%)

女性: イム・ヨンウン (25%), チャン・ユンジョン (8%), ナ・フナ (7%), IU (5%), キム・ヨンジャ (4%)

60歳以上:

男性: ナ・フナ (16%), イム・ヨンウン (8%), キム・ヨンジャ (6%), チャン・ユンジョン (6%), ジン (4%)

女性: ナ・フナ (15%), イム・ヨンウン (8%), チャン・ユンジョン (7%), キム・ヨンジャ (4%), IU (3%)

どの世代にも食い込んでいるイム・ヨンウンとIUはスゴい。イム・ヨンウンは13歳-18歳の男性の5位。一方IUは60代女性の5位。そういったなかでイム・ヨンウンは40代と50代女性で圧倒的な25%という支持率を得たため、1位になったというところか。

年代別推移で見ると…一番凄いのは「あるベテラン歌手」

一方で「韓国ギャラップ」はこの20年間の推移も記している。スゴいと思わせる歌手が二人いる。ベテラン歌手ナ・フナとIUだ。

2004年5月

イ・ミジャ 5.6%

ナ・フナ/RAIN 5.1%(同率)

チョー・ヨンピル 4.8%

ヒョン・チョル 3.8%

テ・ジナ 3.6%

シン・スンフン 2.7%

ソン・テグァン 2.8%

キム・グォンモ 2.4%

ソル・ウンド 2.2%

2014年10月

チョー・ヨンピル 9.6%

イ・ソニ 4.0%

チャン・ユンジョン 3.9%

IU 3.6%

テ・ジナ 3.3%

EXO 2.9%

イ・スンチョル/イ・ミジャ 2.8%(同率)

ナ・フナ 2.5%

少女時代 2.1%

2019年5月

BTS 8.6%

チャン・ユンジョン 6.8%

ナ・フナ 4.6%

IU 3.5%

チョー・ヨンピル 4.2%

イ・ソニ 4.6%

テ・ジナ/イ・ミジャ 2.3%

キム・ヨンジャ/イ・ムンセ/ホン・ジニョン/TWICE/パク・ヒョジン 2.0%

2024年6月(前出)

イム・ヨンウン 10.3%

IU 9.0%

BTS 4.9%

ナ・フナ 4.0%

NewJeans 3.5%

チャン・ユンジョン 3.4%

ジンソン 2.7%

ヨンタク 2.4%

ソン・シギョン 2.2%

BLACKPINK 2.2%

IUが2014年から10年に渡りランクインし続けている点がやはりスゴい。とはいえ「韓国ギャラップ」が統計上「最もスゴい」と評したのは1966年デビューのベテラン歌手のナ・フナ。なにせ調査が始まった2004年以降、唯一20年に渡りランクインし続けているのだ。

(了)

同調査では「好きな俳優」「好きなYouTuber」などの統計も出ています。こちらは追って後日に。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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