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ジャパン今季国内初戦に向け、エディー・ジョーンズヘッドコーチが意気込み語る【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
会見後のジョーンズHC(写真右)。Tシャツの柄は「私から要望したわけではない」。

ラグビー日本代表は5月2日、東京・秩父宮ラグビー場で香港代表戦に挑む。アジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)の、チームにとっての2戦目となる。

今季の国内初戦を迎えるエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)、4月30日、都内で試合登録メンバー発表記者会見に臨んだ。9月には4年に1度のワールドカップ(W杯・イングランド)を控えている。

以下、会見中の発言の一部。

「今回もベストな23人を選びました。山田(章仁・ウイング・現在、スーパーラグビー=南半球最高峰リーグのウエスタン・フォースに在籍中)は本来、練習するためだけに帰国しました。ただ、彼のパフォーマンスをテストする絶好のチャンスだと思ったので、今回出て、その後、ウエスタン・フォースに戻ることになります。松井(千人・ウイング・4月19日、韓国代表とのARC初戦でテストマッチ=国同士の真剣勝負デビュー)はもう一度試合に出してみたい。2015年のワールドカップのスコッドに入る可能性を秘めた選手。村田(毅・フランカー・4月19日、韓国代表とのARC初戦でテストマッチ=国同士の真剣勝負デビュー)は、先発としては初のテストマッチ。このチャンスに値する努力をしてきた。リザーブには5人の若い選手がいます。有田(隆平・フッカー・26歳)、垣永(真之介・プロップ・23歳)、宇佐美(和彦・ロック・23歳)、内田(啓介・スクラムハーフ・23歳)、藤田(慶和・ウイング・21歳)です。そして、その逆で、キャプテン(畠山健介代理キャプテン・プロップ)は今回、62キャップ目です。日本代表の歴代5位。すばらしいと思います。イングランドから戻ってきて(19~23日にW杯会場の現地視察)、このゲームのためにタフなトレーニングを積んできました。まだ時差ボケに苦しんでいる選手もいますが、いい練習ができました。完璧とは言えませんが、前の試合よりもいいパフォーマンスができると信じています。秩父宮の試合、楽しみにしています。(以下、日本語で)イジョウデス」

――山田選手とのコミュニケーションについて。

「ウェスタン・フォースでプレーはしているけど、試合に出られずにフラストレーションがたまっていると思います。ただ、フィジカルの準備は上手くいっている。W杯に向け、力を証明するチャンス。ウイングは6人います。藤田、松井、福岡(堅樹)、松島(幸太朗)、(カーン・)ヘスケス。W杯の31人のなかで、6人も入れません。枠はたぶん、3くらいです。その3枠に入ることを証明するチャンスです」

――村田について。

「フィジカルが強い。ラインアウトのジャンピングスキルも優れています。取り組みも一級品です。W杯がプレーするオプションも(考えている)。力を証明するチャンスは与えたい」

――次戦の位置づけ。

「全ての試合はW杯への積み上げ。香港は何が何でも試合をスローにさせてくる。あさっても同じでしょう。我々は、我々がどういうプレーをしたいかに重点を置きます。試したい戦術も何点か、あります。それもW杯への準備です。1つひとつの試合を単独では考えていません。特に香港に対して何かを考えているわけではありません。9月にピークを持っていくための準備段階です」

――スクラムについて。

「上達はしているが、W杯へはまだまだ。新しい試みにチャレンジしています。完成している状態とは言えません。ただ、準備の経過だと思います」

――控えのフロントローは、前の試合から3人とも入れ替わっている。

「いまのスコッドには、フロントローが9名います。全員にゲームタイムを与えなければいけません。新しいスクラムのタクティクスにどう対応するか。ボールを持っていないところの仕事がどう向上しているかも観なければいけません」

――山田以外のスーパーラグビー組について。ほとんどが試合に出ていないが。

「(状態は)各個人によります。稲垣(啓太・プロップ・レベルズ)は試合に出ていませんが、ストレングスが20パーセントほど向上しています。体脂肪も5パーセント、下がった。いい準備ができている。チーフスのリーチ(マイケル主将・フランカー)は(試合に出て)いいパフォーマンスをしている。田中(史朗・スクラムハーフ)はあまりいいコンディションではなく、若干、不安があります。ハーフは、どのポジションよりもランニングボリュームが多いので。(現在のジャパンでプレーする)日和佐(篤)はトレーニングで8キロ、走っている。強度の高い走りの割合は25パーセント…。(スーパーラグビー組が)皆、いい選手なのは知っている。帰ってきた時に、彼らそれぞれのいいコンディショニングプログラムを調整します。帰ってきた時に(W杯の)すぐにスコッドに入れるとは限りません。コンディショニングプログラム(への注力)が必要かもしれない」

――イングランドでの視察について。

「イングランドでまったく変わっていないのは、食事のクオリティです(場内、笑)。食べ物を目的に行くところではないです。ツアーを通してわかったのは、『コントロールできることはコントロールして、できないことは仕方ないと考える』こと。いまそれを理解できたのは、大事なことだと思います。日本では常にいい食事が出ますが、W杯でそうなるとは限りません。2007年(フランス大会)で覚えているのは、(チームアドバイザーに就任していた南アフリカ代表の)バッキーズ・ボタ。身長2メートル以上で、体重は120キロあります。小柄だった食事を担当するフィジオを捕まえ、『次、チキンを出したら殺す』と(場内、笑)。フランスではチキンをよく出すので。でもその日以降、チキンは出ませんでした。改善できるところは、改善します。ブライトンスタジアム(9月19日、南アフリカ代表戦の会場)に入った時、選手たちは興奮していました。それで興奮できなければ、何を見ても興奮しないでしょう」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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