Yahoo!ニュース

ひとり旅の夕食はどうする? 「ソロ温泉」の食事を充実させる考え方

高橋一喜温泉ライター/編集者

ソロ温泉(ひとりでの温泉旅)で悩ましいことのひとつに「宿での食事をどうするか?」がある。

ひとり旅の場合、地元のおいしいものをたらふく食べたいという人もいれば、ひとりだから食事はテキトーでいいという人もいる。

旅費を安く済ませたいという人は、素泊まりを選択することもあるだろう。最近は観光需要の回復と、宿の人手不足などで宿泊費も値上がりする傾向にあるから、予算面も悩ましいところだ。

筆者の場合はケースバイケースで、料理に特徴のある宿であれば2食付きで予約をするし、そうでなければ素泊まりにして、外の飲食店で食事をとることもある。

そこで今回は、ひとり旅での食事問題について考えてみたい。

「宿メシ」のメリット・デメリット

温泉旅の食事については、大きく分けて2つの選択肢がある。

ひとつは、温泉旅館など宿泊施設の中でいただくパターン。多くの温泉宿では食事付のプランを用意している。

やはり上げ膳据え膳で食事が提供されのは手間が省け、とてもラクだ。宿での食事が温泉旅の醍醐味と考える人もいるだろう。

ただ、基本的に旅館は「ご馳走でお客様をもてなす」のが基本スタンスなので、食事のボリュームは多いし、その分は当然、宿泊料金に上乗せされる。

しかも、連泊の場合は、こうした「ご馳走」をいただいていたら、あきからに過剰なカロリーを摂取する結果になる。

「泊食分離」のメリット

もうひとつの選択肢は、温泉旅館の外でいただくパターン。

いわゆる「泊食分離」で、宿泊と食事を分けて考えるスタイルである。つまり、食事代が料金に含まれておらず、食事はその宿の中のレストランや外の飲食店で食べる。

日本の温泉旅館は食事が料金体系に組み込まれているのが当たり前という文化だが、欧米の宿などは泊食分離のほうがポピュラーなスタイルである。

近年は泊食分離を積極的にアピールする宿もあり、素泊まりや1泊朝食付など夕食がつかないプランを用意している宿も多い。

これらを利用すれば、体調やお腹の好き具合によって自分の好きな食事を選ぶことができる。なにより、他の宿泊客と広間で食事をとることに抵抗を感じる人にとっては、泊食分離のほうが気がラクだ。

夕食の「価値」を吟味する

宿で食事をとるよりも、外食したほうが金銭面なメリットが大きいことも見逃せない。

たとえば、ある宿の夕食付きの宿泊プランが1万2000円で、夕食なしのプランが7000円だったとする。

この場合、単純計算すると5000円が夕食代として設定されている、ということになる。

都会でも一人5000円あれば、かなり贅沢なメニューを味わえる。その宿の夕食にそれだけの価値があるかどうかを冷静に検討することが大切だ。

温泉街にある食事処で5000円分も注文しようと思えば大変である。贅沢をしなければ、1000~2000円でもそれなりに満足のいく食事がとれる。

もちろん、「せっかくゆっくり過ごすために温泉宿に泊まるのだから、少々高くても旅館の料理に舌鼓を打ちたい」という判断もあってもよいが、温泉が主目的で、食事の優先度が低い人は、泊食分離を選択肢に入れてもいいだろう。

「泊食分離」は飲食店の存在が前提

ただし、食事を外食にする場合、温泉街の規模がそれなりに大きいことが条件となる。山あいの鄙びた温泉地や、宿が数軒しかない温泉地だと、飲食店が見つからないこともある。

昔、ある温泉地に素泊まりで泊まったときの話。小さい温泉地だが、一軒くらいは営業している飲食店はあるだろうと高をくくっていたら、廃業したお店と休業中のお店ばかりだったことがある。結局、車で30分ほどかけて街に戻って、食料を調達する羽目になった。

泊食分離を選ぶ場合は、宿泊する旅館の近くに飲食店があるかどうかを事前にチェックしておくことが肝要である。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3900超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『スーパーJチャンネル』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

高橋一喜の最近の記事