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東京の日中は真冬なみ 予報6度は「あす日中の最高気温」

饒村曜気象予報士
東シナ海の前線を伴った低気圧に伴う雲(平成31年(2019年)4月9日18時)

南岸低気圧

 前線を伴った低気圧が、東シナ海から九州を通って本州の南海上を東進する見込みです。

 このため、九州を中心に南海上から暖かくて湿った空気が流入し、まとまった雨が降ります。落雷にも注意が必要です。

 また、低気圧によって日本の東海上に抜けた寒気が関東甲信地方に流入しますので、気温が上がりません。 関東北部・西部の山沿いや甲信地方では雪の可能性があります。

 気象庁ホームページでは、4月10日の東京の天気予報は、「雨 明け方までくもり」で、朝の最低気温4度、日中の最高気温6度となっています(図1)。

図1 気象庁ホームページにある東京地方の天気予報(平成31年(2019年)4月9日17時発表)
図1 気象庁ホームページにある東京地方の天気予報(平成31年(2019年)4月9日17時発表)

 4月10日の一日(0時から24時)の最高気温と最低気温の予報ではありません。

2種類ある最高気温の予報

 天気予報では、あさって以降の最高・最低気温は該当日の最高・最低気温ですが、あすの最高気温は「あす日中(9時から18時)の最高気温」、あすの最低気温は「あす朝(0時から9時)の最低気温」です。

 つまり、同じ最高気温の予報といっても、予報対象時間帯が違っています。

 多くの日は、朝方に最低気温を記録した後、日中に最高気温を記録するという日変化をしますので、「あすの最高気温」と「あす日中の最高気温」は同じ値になります。

 「あす朝の最低気温」と「あすの最低気温」も多くの日は同じ値です。

 しかし、4月10日の関東地方は、多くの日とは違います。

 東京では4月10日0時32分に9.7度の気温を記録したあと、気温がどんどん低くなり、日中に最高気温といっても、未明に観測した9.7度よりは低い温度である6度という予報です。

 また、朝の最低気温4度という予報より、日中の気温が低い可能性もあります。

 ウェザーマップによる東京の気温変化は、図2のようになっています。

図2 東京の気温変化と3時間降水量、3時間ごとの天気
図2 東京の気温変化と3時間降水量、3時間ごとの天気

 もし、このように気温が変化したとすると、4月10日の最高気温と日中の最高気温は違いますし、4月10日の最低気温と朝の最低気温は違います。

4月10日の天気予報

 日本列島を通過する低気圧の影響で、4月10日は西日本から東日本の広い範囲で雨となっており、関東北部から甲信地方にかけては雪となっています(図3)。

図3 4月10日6時の雨と雪の範囲
図3 4月10日6時の雨と雪の範囲

 低気圧の東進とともに雪の範囲は東北地方南部に広がりますが、低気圧があまり北上しないことから、北海道はおおむね晴れの予報となっています(図4)。

図4 各地の4月10日の天気予報
図4 各地の4月10日の天気予報

 平成最後の寒波が襲来中で、今は真冬ですが、寒さは今週までです。

 来週は、その寒波が日本に東海上に去って、本格的な春を迎えます。

タイトル画像、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者加筆。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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