天理大学、初優勝ならず…。感じた「経験の差」とは。【ラグビー旬な一問一答】
ラグビーの大学選手権は2019年1月12日、東京・秩父宮ラグビー場で決勝戦をおこない、7年ぶり2度目のファイナリストとなった天理大学が2年連続でこの舞台に立った明治大学に17-22で敗れた。
関西大学Aリーグ3連覇中の天理大学は前半3分に先制してからは明治大学の用意された攻撃と献身的な防御に手を焼いた。スクラムでは終始優勢を保ちながら、5-12とリードされて迎えた後半16分の一本で反則を取られるなど、勝負どころでエラーを起こした。
ノーサイド直前には自軍スクラムから最後の攻撃を試みたが、落球。初優勝を逃した。試合後、小松節夫監督と島根一磨キャプテンが会見した。
以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。
小松監督
「いい準備をして臨みましたが、やはりファイナル。届かなかった。天理大学としてはいい経験ができた。この悔しさを次の世代が受け継いでまた日本一を目指していきたいです」
島根
「きょうの試合に向けて最高の準備をして、挑む気持ちで戦いました。最初のところで少し受けてしまったのが敗因だと思います。明治大学さんのディフェンスに対し、天理大学が攻めきれなかったところもです。天理大学としては、この舞台に上りつめられたことでいい経験をさせてもらえました。来年は(現レギュラーのなかで)下級生も多く残る。天理大学として日本一を目指して頑張ってくれればと思います。ありがとうございました」
――天理大学の先制点は、ラインアウトからのサインプレー。しかしご本人は「受けた」と。
島根
「最初は用意したプレーでトライが獲れてよかったですが、明治大学さんボールになった時にこちらのディフェンスが止まってしまい、いつも通りにできなかった。フォワードがゲインを許してしまった。そこで受けてしまって相手にトライを与えてしまった」
――ノーサイド直前に組んだ自軍スクラムについて。
島根
「キープしながら押すつもりでした。ただ相手のプレッシャーも強くて崩れてしまい、ボールをアウトしました」
――スクラム全般の手応え、ミスの続いたラインアウトの感触について。
島根
「スクラムでは終始圧力をかけられましたが、最後の1本であったり、後半16分にペナルティーゴールを決められる前の1本では相手のプレッシャーを受けてしまった。大事なところでいいスクラムが組めなかったところがあります。
ラインアウトはなかなかうまくいかなかったです。相手の背の高い選手にボールを獲られたり、プレッシャーを受けて自分の(投げ入れる)ボールがぶれてしまったりしました」
――後半、キック合戦が続いた。ランプレーを選択してもよかったのでは。
小松
「前半風下で自陣の戦いが多かった。後半はキックを使ってエリアを取ろうという話をしました。そこで明治大学さんのバックスリーのキック処理がよかったものですから、効果的に風上を活かせなかった。結果的にはうまくエリアを取れなかったなという感じです」
――明治大学の防御のプレッシャーは。
島根
「ボールに絡まれてプレッシャーを受け、(ライン上は)相手の枚数が多く、人数でプレッシャーを受けてしまった。それでいいアタックができず…という繰り返しでした。絡まれているところでは、まずキャリー(ボール保持者)の仕事をやり切ろうと。また絡まれるということは(ボール保持者が)浮いているということ。アーリーサポートをしようという話をしました」
――相手と決勝戦の経験値の差があると感じたか。
島根
「いつも通りやろう、と試合に臨みました。途中、受けてしまった。それを修正して落ち着いてプレーできましたが、受けてしまったところはいつもと違う感じだったと思います」
――監督にとっては7シーズンぶり2回目の決勝戦でした。手ごたえは。
小松
「7年前よりいい勝負ができると思って臨みましたが、明治大学さんの集中力のあるディフェンスには経験の差を感じました。うちは決勝ですべきディフェンスができていなかった」
今季フッカーに転向の島根は、後半29分に強靭な足腰を活かした突破でトライを決めるなど活躍。献身的な姿勢で仲間から信頼されていたが、頂点には届かなかった。卒業後は国内トップリーグでプレー予定だ。行く末が注目される。