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先代に肩を並べた金正恩総書記 祖父と父の肖像画と並んで「金正恩肖像画」がついに登場

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
労働党中央幹部学校内の革命史跡館に掲げられた肖像画(朝鮮中央通信から)

 昨日(5月21日)平壌錦繍山地区に建設された朝鮮労働党中央幹部学校の竣工式が金正恩(キム・ジョンウン)総書記出席の下、盛大に行われたが、朝鮮中央通信が今朝、配信した写真(37枚)をみると、学校の建物に金総書記の肖像画が先代の金日成(キム・イルソン)主席及び金正日(キム・ジョンイル)国防委員長と並んで掲げられていたことが確認された。

 肖像画は校内の革命史跡館の外壁と教室の黒板の上に飾られていた。

教室に掲げられた3人の肖像画(朝鮮中央通信から)
教室に掲げられた3人の肖像画(朝鮮中央通信から)

 朝鮮中央テレビが昨年9月に南浦にある金星トラクター工場を番組で取り上げた際に3人を描いたモザイク壁画が写し出されたことはあったが、肖像画は初めてである。それも、単なる工場ではなく、権力中枢の労働党幹部を育成する学校に掲げられたのは今後、公共機関から一般家庭にまで肖像画が普及することの烽火でもある。

 革命史跡館の向かい側の建物、即ち竣工式のテープカットが行われた建物には共産主義思想を生み出した哲学者のカール・マルクスとソ連共産党の生みの親でもある革命家のウラジミール・レーニンの大型の肖像画も掲げられていた。

 ちなみに竣工式のオープニングは北朝鮮の国歌演奏で始まり、社会主義の歌「インターナショナル」の奏楽で終わっている。北朝鮮は党関連の集会では決まって最後は「インターナショナル」の曲を吹奏する。

 金正恩総書記は今年1月8日に40歳になったばかりである。建国の父である金主席の肖像画が登場したのは還暦を迎えた1972年で、金正日国防委員長の肖像画が父親と並んで登場したのは金主席の死去(1994年7月)から3年の喪が明けた1997年、55歳の時だ。

 年齢的には偶像化も個人崇拝も早すぎるように思われるが、祖父の尊称「太陽」を引き継ぎ、かつ早くも人民に「首領様」「親しい父」と呼ばせていることから今後「金正恩偶像化」が本格的に始動することが予想される。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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