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芸人さんが売れるために必要なものとは

中西正男芸能記者
(写真:アフロ)

 毎年、この時期になると「来年、売れるする芸人さんは誰ですかね」といった企画のお話をいただきます。

 ここ何年かで、そんな企画でよく名前を挙げさせてもらっていたのがお笑いコンビ「ネイビーズアフロ」です。

 もう、今となっては、そういう企画で名前を出すのは“後出しじゃんけん”感が出るくらい、売れるレールに乗っているとも言えますが、やはり、売れるニオイは以前からプンプンしていました。

 京都市立堀川高校の同級生で、ともに神戸大学出身という経歴を持つコンビ。どこまでもストイックな皆川さんと、どこまでもマイペースなはじりさんというコントラストもよくできていますし、今年の「第50回NHK上方漫才コンテスト」でも優勝しました。

 客観的に見ても、売れるポイントは多いとは思いますが、僕が個人的に売れることを確信したのは、皆川さんの“かわいげ”を度々見てきたからです。

 ラジオやテレビ、書き物でも何度となく主張してきましたが、芸人さんが売れるために、面白さ以外で最も大切な要素だと考えているものがあります。それが、かわいげです。

 もちろん、プロがプロとしてプロの世界で活躍することを目指すわけですから、最低限の能力がないとどうしようもありません。

 プロ野球のピッチャーでたとえると、ストレートが少なくとも140キロは出ないと話になりません。

 それをベースにした上で、どういう芸人さんが売れるのか。

 “腕もあって、人間性もいい”。こんな芸人さんはほぼ確実に売れます。

 “腕もないし、人間性も良くない”。こんな芸人さんは絶対に売れません。

 では、

 “しっかり腕はあるが、人間性は良くない”

 “腕はそれほどでもないが、人間性が良い”

 どちらが売れるのか。20年以上芸人さんを間近で見てきて、この二択には即答できます。

 “腕はそれほどでもないが、人間性が良い”。こちらの方が確実に売れます。

 芸能界は人が人を選ぶ仕事です。そして、面白さというものは、陸上競技のタイムやプロ野球の打率のように数値化はできません。

 そうなると、仕事相手に「なんとなく、この人といるといい感じだな」「この人がいると空気が良くなるな」と思わせる能力が大切になってきます。

 「またこの人と仕事をしたい」と相手に思わせ、その状況が続くことを“売れる”というわけで、逆に「気難しい人だな」「感じの悪い人だな」「この人がいると空気が悪くなるな」と思うような相手と、普通は「また、仕事がしたい」とは思いません。

 かわいげという要素は売れるために非常に大きな要素であり、ナチュラルにそれを持っていることは強い武器でもあります。

 回り道が長くもなりましたが、僕が見てきた皆川さんのかわいげを綴りたいと思います。

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芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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