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小中学校の教員には子供の教育に専念させよ:教員勤務実態調査まとめ

遠藤司皇學館大学特別招聘教授 SPEC&Company パートナー
(ペイレスイメージズ/アフロ)

4月29日、時事ドットコムニュースに「中学教諭6割が過労死ライン=月80時間超相当の残業-授業、部活増加・文科省調査」と題する記事が掲載された。

教諭の平日1日当たりの平均勤務時間は、小学校で11時間15分、中学校で11時間32分であった。実に小学校では33.5%、中学校では57.6%の教員が週に60時間以上勤務し、20時間以上残業している。厚労省が定める過労死ラインである、月80時間を超える残業を行っているということだ。

教育現場で先生たちが過酷な勤務状況にあるというのは、子供の教育上、きわめて悪影響である。早急に改善しなければならない。取り急ぎデータを丸めてみたので、ここに掲載する。

教員勤務実態調査を分類化

教員勤務実態調査(平成28年度)の集計(速報値)について(概要)には、1日当たりの業務内容別の学内勤務時間が掲載されている。時間:分の形式で分かりづらいので、ひとまず分に直して、Excelでまとめてみた。

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※数字が合わないのは小数点以下を切り捨てているため

こうしてみると、教員には授業以外に細かい業務が多いことがわかる。これを授業に関係する業務と、そうでない業務で分けてみるとしよう。

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実に小学校で4時間33分、中学校では5時間40分もの時間が、子供に教育を施すこととは異なる時間に使われている。さらに分類してみた。

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授業関連、生徒指導、会議・研修の3つのみを教員が行うとすれば、小学校で8時間27分、中学校で8時間24分の勤務となる。つまり、学校運営と事務作業の大きな部分を教員ではない者が行えば、劣悪な職場環境は改善されるということである。

結論

具体的な業務内容が明らかではないため、ざっくりとしかまとめられてはいないが、今回の調査により、およそ世間で言われていることが正しいことが明らかになった。教員には子供の教育に専念させなければいけない。また、中学校の教員は休日の部活動・クラブ活動にも2時間10分という時間が割かれている。これについても、地域のボランティアにお願いするなどの措置を取らなければならないだろう。

教員は、子供たちを育てたいという大望を懐いて教師になった。彼らに自由な時間を与えれば、彼らは子供の育て方を個々に学び、連携しながら、より高い成果を上げるはずである。一人ひとりの子供の顔を見て接する機会もまた増やすだろう。そうすれば子供たちもまた、自己を肯定し、将来に希望をもって、学びに積極的になるかもしれない。否、必ずそうなる。筆者は現場の教員の力、思いを持った人の力を信じている。

小中学校の教員は、過酷な環境に置かれている。教員が潰れてしまえば、子供たちは育たない。どうか文科省には迅速な対応をお願いしたい。彼らを、助けてやってほしい。

皇學館大学特別招聘教授 SPEC&Company パートナー

1981年、山梨県生まれ。MITテクノロジーレビューのアンバサダー歴任。富士ゼロックス、ガートナー、皇學館大学准教授、経営コンサル会社の執行役員を経て、現在。複数の団体の理事や役員等を務めつつ、実践的な経営手法の開発に勤しむ。また、複数回に渡り政府機関等に政策提言を実施。主な専門は事業創造、経営思想。著書に『正統のドラッカー イノベーションと保守主義』『正統のドラッカー 古来の自由とマネジメント』『創造力はこうやって鍛える』『ビビリ改善ハンドブック』『「日本的経営」の誤解』など。同志社大学大学院法学研究科博士前期課程修了。

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