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オートバイのあれこれ『スズキのやらまいか精神!』

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。

今宵は『スズキのやらまいか精神!』をテーマにお話ししようと思います。

皆さんは、「やらまいか」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

「やらまいか」とは、静岡県西部地域の方言( 遠州弁)で、「やってみよう」という意味。

チャレンジングスピリットを表す言葉ですね。

この「やらまいか精神」はオートバイの文脈でもしばしば語られ、浜松発祥であるホンダ・ヤマハ・スズキの企業解説などで用いられることも少なくありません。

今回は、そんなやらまいか精神から生まれたスズキ独自の技術をひとつご紹介しましょう。

◆ロータリーダンパー

▲TL1000S(1997/画像引用元:スズキ)
▲TL1000S(1997/画像引用元:スズキ)

スズキが1997年に発売したオートバイ『TL1000S』には、『ロータリーダンパー』という独特なサスペンション機構が備わっていました。

基礎知識として先にダンパーの説明をすると、バイクやクルマのショックアブソーバー(サスペンション)には、路面からの衝撃や車体の荷重によって伸縮するスプリング(バネ)と、その伸縮の動きをコントロールするダンパーが付いています。

《サスペンション=バネ》

と覚えている人もいるかと思いますが、バネだけだと、衝撃が加わった時にいつまでも「ビヨンビヨン」してしまいます。

その「ビヨンビヨン」を抑えるのが、ダンパーの役割になります。

▲バネの内側にあるのがダンパー。一般的にはこのように筒状(画像引用元:ヤマハ発動機)
▲バネの内側にあるのがダンパー。一般的にはこのように筒状(画像引用元:ヤマハ発動機)

そして、バイク・クルマ用のダンパーというのは、筒状になっていることがほとんど。

筒の中にピストンとオイルが入っていて、オイル内を動くピストンの抵抗によりスプリングの動きを統制するというわけです。

バイク・クルマ用としては現状最適解の筒形ダンパーなのですが、スズキはやらまいか精神を発揮して、筒状ではなく丸い箱形をしたロータリーダンパーを開発。

▲ロータリーダンパーの外観(画像引用元:スズキ)
▲ロータリーダンパーの外観(画像引用元:スズキ)

ピストンの代わりに羽状の部品が内蔵されており、それがグルグル回転することで抵抗を発生させていました。

このロータリーダンパーはオートバイの世界では後にも先にもスズキしか実用化しておらず、今のところ『TL1000S』『TL1000R』のみに使われたシステムとなっています。

技術としては斬新で興味深かったロータリーダンパーですが、やはり未知の形状のものを完成度高く仕上げることは難しく、結局ロータリーダンパーはメジャー化することなく消えていってしまいました。

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

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