45階3LDKで5億円超えでも「価格が抑えられている」 白金の超高層マンション買う心理
「SHIROKANE The SKY(以下、白金ザ・スカイ)」というマンションが、異例ともいえる人気ぶりになっている。7階部分の約35平米1LDK・5000万円台が43倍で抽選販売となり、最上階にあたる45階の約140平米3LDKは分譲価格5億3580万円で6倍の抽選に。そして、昨年11月から販売が始まり、すでに300戸を超える住戸が供給済みとなってしまった。
なぜ、そのような人気になっているのか、分析を試みた。
都心マンションとして、販売のテンポは速い
白金ザ・スカイは総戸数1247戸の大規模マンションで、建物が完成して入居できるのは2023年の予定。まだ3年先だ。現在の都心マンション市況は、「建物が完成するまでに完売すればよい」というスタンスが広まっている。そのことを考えれば、白金ザ・スカイの販売テンポは速い。
総戸数が1247戸といっても、非分譲住戸が477戸あるので、一般に売り出されるのは、770戸。そのうち半数近くがすでに供給済みとなってしまったからだ。
人気の理由は、まず、便利な立地であること。建設地は港区白金1丁目で、東京メトロ・都営地下鉄の白金高輪駅から徒歩3分。港区内の便利な場所で、住宅・商業・医療施設などが一体化する複合再開発となる。マンションの足元に商業施設や医療施設、子育て支援施設もあり、公園も整備される。
山手線内側で、最大戸数となる複合開発マンションで、「山手線内側」「港区内」「駅徒歩3分以内」「大規模」「複合開発」といった人気要素を多く備えることで、抽選住戸が多発したものと考えられる。
人気の理由に加わる、高利回りと眺望のよさ
白金ザ・スカイがテンポよく販売を進めている理由は、そのほかに、賃貸に出したとき高利回りが期待できる住戸が多いことと、眺望が開ける住戸が多いこともありそうだ。
利回りが高いことは、「約35平米の1LDK・5000万円台が43倍で抽選販売となった」ことで、うすうす感じた人も多いだろう。
白金ザ・スカイには、想定家賃から計算すると表面利回りで5%を超える住戸がある。現在の都心新築マンションとしては、破格に想定利回りが高い。
中古であれば、もっと高い利回りも期待できるが、物件の魅力は下がる。新築で、大規模、駅近、商業施設一体などの条件を勘案して、この価格設定と想定利回りは魅力的、と判定する人が多いわけだ。
もう一つ、「眺望が開ける」という特徴は、最上階の約140平米3LDK・5億3580万円が6倍の抽選になったことで証明できそうだ。
白金ザ・スカイの建物は地上45階の東棟と地上19階建ての西棟で構成されるのだが、地上40階を超え、総戸数1000戸以上となると、港区内の分譲マンションとして久々のもの。新橋駅に近い汐留エリアの東京ツインパークス(地上47階建て)以来だ。東京ツインパークスが分譲されたのは2001年(完成は2002年)なので、ほぼ20年ぶりとなる。
じつは、超高層マンションの上層階居住者には、買い替えを繰り返す人が多い。今住んでいる超高層よりも眺めのよい超高層が分譲されれば、そちらに買い替える。今住んでいるマンションの眺望を遮る超高層がつくられれば、眺望を遮った超高層に移る、という動きも都心超高層を好む“上空族”の「あるある」だ。
「白金ザ・スカイ」の上層階は眺望が開けた住戸が多く、東京タワーと都心の夜景を満喫できる住戸もある。この東京タワーと都心を向いた最上階住戸が人気住戸となったようだ。
最上階5億3580万円は、安い?
ちなみに、6倍の抽選になった最上階約140平米3LDKは、それほど高額ではない、という評価が多い。もちろん、5億円台の分譲価格は高い。が、超高層マンションの最上階特殊住戸はもっと高額になるケースが多い。
たとえば、同じ港区の六本木で分譲された超高層マンション最上階住戸は、約200平米が15億円だった。横浜のみなとみらい21隣接地の超高層マンション最上階の約210平米は8億円。広さや立地条件が異なるので単純な比較はできないが、白金ザ・スカイの最上階住戸は、価格が抑えられている、との評価が生まれるのだろう。
高級マンションであるため、販売の様子を知ることができない白金ザ・スカイだが、残念ながら「売れずに、暴落」は期待できそうもない。
そして、都心マンションが、庶民の手が届かないところで活発に取引される時代になったのも事実のようだ。