不適切動画へのネット私刑(リンチ)の陰で広まるデマ被害。別の店や別人を晒しあげ
不適切動画が世間を騒がすにつれ、その行為をした人物や撮影者へのネット私刑(リンチ)が行われています。そのなかで、無関係の第三者へのデマの被害も広がっています。
迷惑行為が行われたと勘違いされたすたみな太郎
大きな被害にあっているのは、迷惑行為を行った客がいた店舗だというデマを流されたすたみな太郎です。
これはある若い女性客が焼肉用のコンロに大量の氷を入れたり、ボトルから焼肉のタレを直接口に入れてそれをコンロに吐き出したり、ビールジョッキが割れるほどの勢いで乾杯したりといった迷惑行為が行われた場所が、なぜかすたみな太郎であるとのデマが広がったというものです。
この不適切動画の始めの拡散元となった『Twitter』のアカウントではお店の名前は書かれていませんでしたが、拡散するにしたがってどこかで「すたみな太郎である」との尾ひれがつけられました。
デマの風評被害にあったすたみな太郎を運営する株式会社江戸一は、「内装が大きく異なり、当社ではない」とのリリースを発表しています。
なお、この迷惑行為が行われた店は後に株式会社ゼンショクが運営する焼肉でんであることがわかっています。
いずれにせよこの不適切動画はアルバイトが行ったのではなく、店舗側が客から迷惑行為を受けたというのが事実です。
異なる人物を撮影者と晒し上げ
もうひとつ大きく被害が広まっているのは、大戸屋の不適切動画の一件です。
大戸屋の不適切動画を撮影した人物はAであるとされていますが、その人物のインスタグラムのアカウントとして晒されているのは別人である可能性が高いです。
なぜなら晒されている第三者の友人2名が『Twitter』上で、「全く関係がない。住んでいる場所も違うし、名前も似ているだけで別人」だと説明した後、「撮影者のインスタグラムのアカウントはこれだ」と指摘していたTwitterユーザーがその投稿を削除したからです。
被害にあった本人と直接コンタクトを取れたわけではありませんが、発信元が情報を削除した時点でこの情報の信頼性はゼロになりました。
しかしながらこの情報が発信された時点でいわゆるまとめサイトを中心にデマが広がっており、それらの記事では修正しないものもあれば、「間違っているとの話も出ています」、「本当のところはわかりません」などと記載しつつも、その情報を消さない手法が用いられています。
そのため、これらのデマが今も拡散し続けています。
ネットリンチに参加する必要はない
不適切動画を投稿した人物や、それらを手伝った人物はバツを受けるべきだとの気持ちは否定しません。
しかし、安易な気持ちで不適切動画についての不確かなツイートをリツイートしたり、まとめサイトの記事を紹介したりすることはデマの拡散を手伝ってしまう恐れがあります。
信頼性の高い報道やプレスリリースを拡散するならともかく、個人によるネットリンチには参加しないようにしてください。知らず知らずのうちに、デマの拡散者になってしまいます。