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二人以上世帯では平均10.7年…カラーテレビは何年で買い替えられているのだろうか(2024年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
日常生活には欠かせない存在のカラーテレビ。その買い替え年数は(写真:アフロ)

カラーテレビの買い替え年数は約10年

かつては地デジ化で大きな買い替え需要が生まれたが、新機種の発売、故障や引っ越しなどでもカラーテレビの買い替えの機会は生じる。それではカラーテレビは平均で何年ほどで買い替えられているのか。内閣府の消費動向調査(※)の結果から確認する。

買い替え状況における2014年以降の消費動向調査の調査票では「カラーテレビ 薄型(液晶、プラズマなど)」と記述されている。2013年までは単に「カラーテレビ」だったため、買い替え対象にはブラウン管・薄型テレビ双方を含んでいたことになる。地デジ化も果たし、実質的にブラウン管テレビの販売もほぼ終了したとの意向によるものだが、2013年と2014年との間に完全な連続性は無いことに注意する必要がある(とはいえ、今更ブラウン管テレビ「に」買い替える人も滅多にいないだろう)。

世帯区分は単身世帯と二人以上世帯、そして双方を合算した総世帯の3つが用意されている。ところが長期時系列としてデータが保存されているのは二人以上世帯のみ。そこで二人以上世帯について、買い替え年数推移を長期期間の範囲でグラフ化する。

↑ カラーテレビ買い替え年数(二人以上世帯、年)
↑ カラーテレビ買い替え年数(二人以上世帯、年)

中期的な動向を見るとテレビの買い替え年数は9年前後で安定。しかし2010年以降は毎年少しずつ年数が短縮されている動きを示した。2011年7月の地デジ化に伴い、チューナーで地デジ対応化したテレビを使っていても、調子が悪くなったり故障などをきっかけとして「安くなっていることもあるし、せっかくだからこの際、修理をせずに対応機種に買い替えるか」とする動きが起きた結果によるものだろう。

2014年にいたっては、取得できるデータ中ではもっとも短い6.3年を示した。これは一つに地デジ化による移行、そしてもう一つに2014年4月からの消費税率改定に伴い、それに先駆けて駆け込み的に、従来の買い替え期間よりも前倒しでテレビを新規調達した、いわゆる「駆け込み需要」によるものと考えられる。

しかしその2014年が底となり、以降は少しずつ年数は元の長さに戻りつつある。2015年では地デジ関連の仕様変更の後遺症的なもの(アナログからデジタルへの移行時における特例措置として、ケーブルテレビ事業者が提供してきた経過措置的サービスのデジアナ変換サービスが2015年3月前後に相次ぎ終了する。CATVのテレビ受信サービスに加入していれば、デジタル対応のテレビで無くともそのままテレビ視聴が出来る状況が終わってしまうため、デジタル対応のテレビを調達するかチューナーを接続しないとテレビ視聴が続けられなくなる)が生じているため、平年よりは短めの7.4年との値となったが、直近の2024年では10.7年となり、記録のある中では2023年と並び最長の値を示した。ちなみにデータが取得可能な1997年以降の全年における平均値は9.3年、直近5年間に限れば10.3年となっている。

これを単身世帯(記録があるのは2008年以降のみ)の動向と重ね、グラフ化したのが次の図。

↑ カラーテレビ買い替え年数(世帯種類別、年)
↑ カラーテレビ買い替え年数(世帯種類別、年)

2010年にややイレギュラーな動きがあり、それまでの二人以上世帯>単身世帯との流れが消え、双方世帯種類でほとんど変わらない値を示すようになった。地デジ化におけるテレビ買い替えへの圧力は、世帯構成で違いを見せなかったようだ。また上記で言及した「地デジ化に伴うテレビ買い替え年数の短縮化」そして「消費税率改定に伴う駆け込み需要による短縮化」は、世帯構成によらずに起きていたのも分かる。最近では再び二人以上世帯の方が長い傾向が出ているが、差異はほとんどない形となっている。

テレビを買い替える理由は何だろうか

次に示すのは「買い替え理由」を二人以上世帯・単身世帯それぞれ別途に算出したグラフ。いくつかの年で特殊事情による変移が確認でき、興味深い。

↑ カラーテレビ買い替え理由(二人以上世帯)
↑ カラーテレビ買い替え理由(二人以上世帯)

↑ カラーテレビ買い替え理由(単身世帯)
↑ カラーテレビ買い替え理由(単身世帯)

2021年では「上位品目」が単身世帯・二人以上世帯双方で増えている。新型コロナウイルス流行による在宅時間が増えたことでテレビ視聴時間も増え、この際だからと高性能の機種に買い替えるきっかけとなったのかもしれない。また、特別定額給付金の支給も高性能な機種への買い替えには影響しているのだろう。もっとも2022年以降も「上位品目」は高めの値を維持しているのが興味深い(二人以上世帯では2024年でいくぶん低下したが)。

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※内閣府の消費動向調査

今後の暮らし向きの見通しなどについての消費者の意識や各種サービスなどへの支出予定、主要耐久消費財などの保有状況を把握することで、景気動向判断の基礎資料を得ることを目的としている調査。調査世帯は、二人以上の世帯、単身世帯毎に三段抽出(市町村・調査単位区・世帯)により選ばれた8400世帯。調査時期は毎月1回で、調査時点は毎月15日。毎月10日前後に調査対象世帯に調査票が届くよう郵送し、毎月20日頃までに届いた調査票を集計する。

毎月調査を実施しているが年1回、3月分において、他の月よりは細部にわたる内容を調査している。その中の項目の一つ「主要耐久消費財の買い替え状況」を今件精査では用いている。これは「対象品目を回答年度(今回の場合は2023年4月~2024年3月)に買い替えをしていた場合、買い替え前の商品はどれだけの期間使っていたか」を尋ねた結果。つまり直近の買い替え実施者における「買い替えまでの年数」が示されることになる。もちろん新規に購入した場合や、買い替えが該当時期でなかった場合は回答に加わらない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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