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休日はテレビ5時間近く、新聞15分…高齢層のメディアライフの実情(2023年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
テレビは楽な娯楽。高齢層が大好きなのも理解はできる(写真:イメージマート)

昨今では社会構造における高齢化に伴い、高齢層の数・対総人口比率が増え、その年齢階層の社会生活上の習慣に注目が集まりつつある。その高齢層においては、テレビなどが好まれることで知られている。これは年を取るに連れてインターネットのような双方向性メディアよりも、テレビや新聞のような一方向性メディアを多用する傾向が強くなるからであり、その理由としては自らの情報発信への気力が減少し、流されることを好むケースが多いからに他ならない。また、長年にわたる生活様式を踏襲しているのも大きな要因。そこで今回は、総務省が2023年6月に情報通信政策研究所の調査結果として発表した「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)から、調査対象としてはもっとも高齢世代にあたる60代にスポットライトをあて、その年齢階層の主要メディアの利用状況を確認する。

次に示すのは60代に限定した主要メディア、具体的にはリアルタイムのテレビ、録画して再生視聴したテレビ、インターネット、新聞、ラジオの行為者率。1日単位で該当メディアを利用したか否かを示している。例えばテレビ(リアルタイム)の平日における値は92.8%なので、60代の92.8%は平日においてリアルタイムでテレビを10分以上連続して視聴したことになる(回答用紙では10分以上連続した行為について記録する様式となっている)。

↑ 主要メディアの行為者率(60代)(2022年)
↑ 主要メディアの行為者率(60代)(2022年)

平日と休日では大きな差が出ていない。つまりメディアには平日も休日も同じように接していることになる。これは同年齢階層の多くが定年退職を迎え、就業や就学をしておらず、自宅にいる機会が多い、少なくとも就業に時間を拘束されるケースがあまりないことを意味する。

多くの人はテレビを視聴し、録画の視聴も2割台(録画は年齢階層別の差異があまりなく、全年齢階層でこの程度の比率)。インターネットの利用率はパソコン・携帯電話合わせても平日・休日ともに7割台にとどまり、残りの2割台はインターネットを常用していないことになる。一方で新聞の購読率は4割台。少なくとも今調査の限りでは、60代でも新聞を閲読するよりインターネットを利用する人の方が多いことになる。

利用時間の平均値(利用していない人=時間ゼロとした、調査対象母集団全体の平均)を見ると、高齢層のメディアライフがより一層透けて見えてくる。

↑ 主要メディアの平均利用時間(60代、分)(2022年)
↑ 主要メディアの平均利用時間(60代、分)(2022年)

平日よりも休日の方がテレビ視聴時間は長いが、それでも平日に限っても4時間強はリアルタイムでテレビを観ている。「ながら視聴」が多分にあるのでは、との推測もできるが、並行利用されうるネットや新聞の利用時間を考慮しても、テレビの時間が長いことに変わりはない。休日に至ると5時間近くはテレビを観ている計算になる。録画も合わせれば5時間半ぐらい。

インターネットは平日と休日でさほど変わらず、1時間半ほど。新聞は20分足らずでしかない。今件は利用者・非利用者も合わせた平均利用時間で、行為者率の動向にも左右されるが、全体としては新聞よりもインターネットの方が多く使われていることに違いはない。

「高齢者層はテレビに釘付け」との表現はややオーバーな感はあるものの、ながら視聴の時間が短く、注力しての視聴時間が長いことを合わせて考えても、テレビを大いに楽しんでいること自体は正しい。内容に没頭し、浸透し、盲信してしまうのも無理はない。詳しくは別途の機会を設けて解説するが、メディアの利用目的を尋ねた項目でも、高齢者ほど「いち早く世の中の出来事や動きを知る」「趣味・娯楽に関する情報を得る」の点でテレビを大いに用いている。

高齢層の人数が(絶対人数、全人口に対するシェアの観点で)増えることは、テレビに釘付けな人が増えることをも意味する。人の数そのものだけでなく、世論形成との観点でも、色々と変化が生じそうだ。

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※令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

今調査は2022年11月5日から11月11日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳~69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「経年での利用時間などの変化については、調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きを入れている。さらに2020年分の調査については「令和2年度調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、11都府県を対象とした緊急事態宣言下で行われたものであることにも留意が必要」との補足があった。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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